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夜勤

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「上官殿…」「申し訳ありません」「同じく…」

 入室した三人がナバルの一に詫びる。

「三人はナバルの一の秘密を知っていたな?」

「そう、だな。私が唆したのだ」

「上官殿、それは何故」

黙ってしまったナバルの一の代わりに俺が答えを示すと二クリアの九は息を呑んだ。

「お、女同士で…」

「出来心、だったのだ」

「九ちゃん、この国では悪い事なのか?」

「善し悪しの話では無い。抑の話、母体の儀でしか子は出来んと聞いて育って来たのだ。しかも儀式の内容を知らされぬままでな」

「私は、母同士の話を期せずして聞いてしまったのだ」

「それで、試してみたくなったと」

「初めはお遊びのつもりだった。が、快楽はそれを遊びにしてはくれなかった」

「上官殿達が床の刻を率先していたのも…」

「察しの通りだ。公私混同、詫びて済む問題では無いな」

「上官殿。以前でしたら分かりませんが、カケルと交合った今であれば分かります。快楽は、抗えません」

「ナバルの一よ。コレが欲しくないか?三人も」

俺の言葉に視線が集まる。そこには天を衝くアイツがそそり立ち、机の上に金玉を乗せていた。

「何時もは何処で致してるんだ?」

「あ、あの、見回りの途中で…」

一人の女が口を開く。一番の欲しがりさんだな。

「ならソコへ行こうか。九ちゃんはどうする?」

「行きたいが、私は外の刻の番がある。残念だが次の機会を待ちたい」

慣れない夜勤は翌日に響く。名残惜しいが休んでもらった。

 二クリアの九が寝所へ向かい、俺はナバルの一達に連れられ彼女等が言う何時もの場所へと向かう。盗み聞きしていた三人は背丈も容姿も様々だが、基本皆顔が良く、肌が白い。顔は遺伝だろうが、直射日光が当たらない国だから肌のトラブルが少ないのだろう。

「あの、カ、カケルと言ったね?」

声を掛けてくれたのは盗み聞きの一人で、ナバルの一より背の高いパトトルの二。背の高さにコンプレックスを感じてるのか、少し猫背で、少し吃りな女の子だ。

「どうした?」

「わた、私。こんなのだけど、い、良いの…かな」

「鎧の上からでも大きいおっぱいが分かる。揉んでみたいししゃぶりたいよ」

「あの、背が…」

「胸を張って、おっぱいを揺らして歩いてくれ。お前は良い女だよ」

「う、あう…」

猫背が丸まるのを背中から腕を回して起こしてやる。革越しにおっぱいを持ち上げながら。

「早く生で揉みたいな」

「私はパトトルの二みたいにおっぱい大きく無いけど?」

そう言って拗ねた顔をするのはパトトルの三。二とは姉妹だが、仕事中は混乱が起きるのでフルネームで呼び合うのだと。全体的に小さいが、それは大きいモノと比較したらの話。頭頂部にエビフライを付けた面白ヘアスタイルな女の子だ。髪色もキツネ色だな。

「俺はおっぱいも好きだがフリフリしたお尻も大好きだぞ?」

「お尻でっかちじゃ無いわよっ」

「俺は好きだ」

「そ、そう…」

フリフリが増した気がする。そして口数少なくも此方をチラチラ見ているのは…誰だ?

「なあ、名前を聞いても良いか?」

「…上官殿…」

「此奴は少し内気でな。名を三アタリアの四と言う」

さん?数字が前後に出て来たぞ?聞くと、二クリアの九もニクリアの九では無かった。詳しくは後でと言われた。

「三アタリアの四、無理はしないで良いからな。お前の嫌な事はしないから」

「…はい」

返事して貰えた。チラチラ見るのは変わらないし、楽しみにしているだろう事は《感知》で分かる。シルケでは珍しい、かなり濃い焦げ茶の髪は項を隠す程度の長さで細く、クルクルとしたエンジェルヘアの女の子だ。

「一杯気持ち良くしてやるからな」

「…はい」

返事は変わらないが、機嫌は良さそうである。

「しかし、一人で四人を相手出来る等、母達の言葉からは聞いた事も無いが」

「逆に聞きたいね。この国の男の事をさ」

ナバルの一の話を聞くに、この国の男は扱いが良い。





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