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不安になる

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 中はしっとり、外は意外とサラサラで、リュネの肌より摩擦がある感じ。

「意外と肌触りが良いな」

「私の方がスベスベですよ~?」

「スベスベ過ぎて落っこちそうになるけどな」

考えてる事がバレてしまった。リュネの特殊能力か?

「私の背中には乗った事が無いな。妹達や娘には跨るのに」

「そんな素振り見せなかったじゃないか」

ミーネの背中に抱き着いて、背中をリュネに挟まれる。

「妹よ、譲らねば尻尾を切り落とすぞ?」

「んもー、私の方が序列上なのにーっ」

「お前は何度も跨られているだろう」

「カケルさんっ、待ってますからねっ」

そう言うと頬っぺとお尻をぷりぷりさせて下に降りてってしまった。

「仲良くな?」

「旦那様が構ってくれないからだ。人の子とは直ぐ交合う癖に」

「食事が終わったら二人で少し出掛けようか」

「人の少しは本当に少しだが、まあ良いだろう」


 夕食には、午後に言っていた草食トカゲの焼肉とスープが出た。料理の腕が良いのか普通に美味そうだ。

「味、薄い?」

「クセが無いんだな。食べ易いと思うぞ?」

「水気があって柔らかいですね!」

「その分薄味に感じてしまうのかも知れません。下味を付けたり、このようにスープにしてしまえば問題無く頂けますよ」

可食部の尻尾と手足はぷりぷりとして鶏肉を思わせる。親子丼にしたら美味そうだ。玉葱さえあれば…。

「鳥肉に近い食感だし、これなら王家の舌にも合うか」

「そうですね。紛い物ではありますが、ドラゴンを食している訳ですし、それを飼い慣らしているとなれば鼻を高くして振る舞えるでしょう。全くお恥ずかしい話では御座いますが」
 
「さっきリュネに貰った皮なんだが、これも価値ある物なのだろうか」

「ギルドかエーメちゃんに見てもらいましょうよ」

「なら明日はエメラルダスの所にでも行ってみるかね」

「わたしも行きます。装備のお掃除したいです!」

「私も」「カララも」

明日はイゼッタ、サミイ、カラクレナイを連れて防具屋に行く事となった。

 食後、約束していたミーネとの空のデートを楽しむ。海竜の皮鎧を着ていないとお股と手が血だらけになる鱗に跨り空を往く。

「装備が壊れなきゃ良いんだが…」

「壊れたら、また作れば良い」

ミーネの鱗は大きな鱗に細かく鋭利な返しがびっちり付いて鑢みたいになっている。跨った時の安定感はバッチリだがザリザリと不安になる音がする。鞍か、それに代わる物が欲しい。

星空でぼんやり明るい海面に、所々暗い場所がある。多分あれは島だろう。《感知》で見ると、草木で作った家があり、船があり、人が居る。よくもまあこんな絶海の孤島に集落なんて作ったモノだな。

「気になるのか?」

「否、驚かせたら悪いから、離れて飛ぼうか」

「うむ」

あても無く飛んでいるので何処に居るのか分からんが、どうやら大陸に近付いたようだ。

「ミーネ、どの大陸か分かるか?」

「人の子の呼び方はよく分からんが、我が国では無いな」

確かにな。ヒズラーやキネイアッセンだってまだ見ぬ土地があるのだし、何れかの大陸のまだ見ぬ場所である可能性もある訳だ。

「む」

「ん?…あ」

大陸の際を迂回していたら、海に面した街があったようで、街の中からトカゲがワサワサ飛び出して来た。人が乗ってる。気付かなかったとは言え近付き過ぎちゃったか。

「旦那様、打って出るか?」

「敵にもならん。口喧嘩が先かな」

「ブレスだな?」

「言葉だよ」

街の真ん中には高い建物がある。尖った漆喰のようだが、もしかして城なのかな?竜騎兵が一杯だし、もしかする。
街との間合いを取りながら、トカゲ達が飛んで来るのを待つ。こっちの方が圧倒的に速度が上だから、待ってやるのが情だろう。速度で振り切ってドラゴンを追い返した扱いにさせるのも何か嫌だし。

「反撃するか?」

野郎、無言で魔法撃って来やがった。

「俺が殺る」

脱糞以上の《威圧》を掛けると、魔法を撃った兵士が落ちて行く。




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