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どっちなんだい!?

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 カケラントの次はミネストパレス。ミーネはエントランスで井戸端議会の輪の中に居た。

「ミーネ、少し良いか?」

「どうした。おっぱい吸うか?」

「うん、否、仕事の話だ。トリントンと、商業に明るい者を集めて欲しい」

「良かろう。皆、すまんが手伝ってくれ」

「あいよ。ちょっと外に行って呼んで来ますよ」

「あたいはトリントンを探して来らぁ」

女達がその場を離れ、稍あってトリントンを連れて来た。外に出たのが戻る迄更に待ち、有識者が十五人も集まった。
経緯を説明して、やはり俺は舐められてると言う認識で纏まってしまった。輸出入に関しては前向きではあるが、転移門のおかげで海運業を使う必要が無い。結果、ミネストパレスには必要無しとの判断となった。

「お断りするにも一応は挨拶しないとなりませんね」

「私が行くのだな?」

「女王様は来ない方が良いですね」

「そうか。ならば任せよう」

「はい。私とマルシアと何人かで参加させて頂きます」

カケラントでの話も纏まった。後は彼処か。

「リア、偶には孫を見せに行かないか?」

「貴方様、フラーラ達から聞き及んで居ります」

 行きはママ上殿、帰りはカロ邸からの直通転移門だったそうで、メイド達から話を聞いて来たらしい。ハイネルマールの行動についてもお冠であった。

「父か、その近くの者が噛んでいそうですね」

「戦争にも色々あるからな」

「新天地への上陸は困難だとは聞きますが、伝手と言うには些か礼に欠けて居りますわね。急ぐに越した事は無いかと」

リアの許可が出て、彼女はラビアン達を連れて準備へ向かう。俺は《白昼夢》でアフマクシア城へと飛んで、一番敏感な者に『声』を掛けた。

『久しぶりだな。其方の声は聞こえないから手振りで返してくれ』

《白昼夢》状態の俺を見詰める義姉は眉間に皺を寄せて応える。…応えてるのか?

『急で悪いがこれから孫を見せに行く。サロンの人払いを頼みたい』

孫と聞いて眉毛が動く。そして腕を組んで暫く考える素振りを見せた後、部屋を出て行ってしまった。来て良いのか悪いのか、どっちなんだい!?
厨房にて贈答用のおやつを物色し、リアとアーティエルの支度が整った所でアフマクシア家のサロンへ《転移》した。

「遅いぞカケラント王」

「お待ちしていたわ。カルメリアもお帰りなさい」

サロンには家族一同揃ってて、一斉にリアとアーティエルに群がった。

「お待ちなさい!」

「姉様っ」「姉様?」

近寄る親族に対し強い口調で止めるリアは、妹達にも容赦無い。

「アフマクシア王。先程、我が夫でカケラント王で在らせられるカケル様がアフマクシア王国の貴族に無礼な振舞いを受けました」

「勇敢だな、褒めてやらねば」

「ハイネルマール商船会社に何を吹き込みましたか?事と次第で敵と見なします。二度と此処には戻りません。返答は如何に?」

凄まれてタジタジの王と息子。此奴等が主犯か。

「て、帝国が滅んだとは言え、そこに国が残っておるのだぞ?不安に思うて悪いのかっ」

「我が夫が冒険者である事を利用し、騙し討ちのような形で場を設けさせた事。王に対する振舞いとは思えません。詫びを入れさせ、改めて国同士の話をすべきです」

「国の為だ。国の利を考えて何が悪い」

「それで戦争を起こしたのでは?国の利を思うのであれば卑怯な振舞い等愚の骨頂」

「カルメリアよ、公王は今無礼な振舞いを受けたぞ。公国から離れたお前にだ。それについてはどう致すのか」

勇気を振り絞ったロデュローンが割って入る。だが唯の揚げ足取りだな。睨まれて怯んでる。

「リア、止めよう。話しても無駄だ」

「ですが、貴方様」

「アーティエルを見ろ。此処には金輪際我が子を見せに来ないし、持って来たお菓子も家の者で食べる。帰るぞ」

「「お菓子っ」」「お待ちになって」

釣れた。

「カケルっ!カケルは可愛い姪っ子にお菓子をあげないの?」

「カケルが来るの、ずっと待ってたのよ?」

はいはい可愛い可愛い。





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