女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
上 下
1,323 / 1,519

中々の力作

しおりを挟む


 悪阻の原因は心の不安もあったりすると、以前産婆に来た誰かに聞いた気がする。なので無碍に出来ず、毛布を掛けた。

「体を冷やすと良くない。毛布被ってしような」

「はい」

抱き合って、まだ挿れられないので表面だけをプルプルと。そしておっぱいチュパチュパやって朝食へ。
スープを潰して豆乳と割ったポタージュ状のスープに野菜ジュース。そしてソーサーにテイカ以外は焼肉が供される。昨日から皆でコレ等を食すようにした。

「とろっとして美味しいですね!」

「赤ちゃんのご飯みたい。ソーサーに、のる」

「この飲み物も爽やかで、とても美味しゅう御座います」

妻三人はそれなりに気に入ってくれてるみたい。肉食のカラクレナイもコレなら胃の腑へ流し込めている。

「皆様、あたしなんかの為にありがとうございます」

「テイカよ、お前は俺の性奴隷だ。あたしなんかじゃ無い」

「みんな、家族」

「はい…。ありがとうございます」

悪阻が落ち着く迄はしっかり休んでもらう。そうでないと俺は仕事が出来無い。そう言ってテイカの隣で横になる。寝る訳では無い。《白昼夢》でミソプファンティアに行くのだ。
《白昼夢》の状態で、俺に気付くのはこの場ではリュネだけだ。ブルランさんでさえ気付いて無い模様。

『本当に見てるだけ、なんですかぁ?』

『是非やり遂げて欲しいな』

リュネがハーク達に何か言ってる。皆がキョロキョロしてるのは俺を探しているのだろう。ハークが何か言ってるが、《白昼夢》は聞こえないのだよ。

『頑張るそうでぇす』

『見守っているよ。リュネも余程危なくならない限り手を出さないようにな?』

『は~い』

とは言え直ぐに戦う訳では無い。計画を立てて準備をし、移動もせにゃならんのだから。
ハークとアルア、そしてブルランさんにメイドが二人、部屋を出る。会議室へ向かうのだろう。そしてリュネが消える。多分コッチに戻って来たな。城内を網羅する《感知》に反応が無い。
前回見た会議室にはトリントンにハーラデー。更にデュセルにエルシドが居て、円卓を囲み立っていた。そこにハークとアルアの六人で策を練ると言う事だろう。
円卓の上には地図がある。大アトール要塞付近の地図だ。エレデリマの部屋にあった物と比べると描写が簡略化されていて、実用品である事が分かる。分かるんだが…。

「ふう。ちょっと物描きして来るよ」

「「行ってらっしゃいませ」ぇ~」

やはり隣に居たか。ペニスケ隠されたので腰蓑巻いて外に出て、やって来たのは風呂場の二階。製図机に陣取って、雑木紙にペンとインク。以前入浴施設の図面を引いた時同様に、《感知》で真上から見下ろした大アトール要塞とその周辺を雑木紙へとトレースして行く。《感知》は範囲を絞るとその物を消す効果がある。例えば木、コレを感知範囲から外すと山や森は裸に剥かれる訳だ。地図を作るのにとても捗る。
とは言え等高線を引いて迄はやれないので道と建造物、水源だけに絞り簡略化させて描いた。

「ふ~」

ペン握り過ぎて指が痛い。が、中々の力作。煎餅を齧る。

「描いたは良いが、渡せないよな」

ハーク達が使っていたものより確実に正確で使い勝手の良い地図ではあるが、見守ると言った以上コレを渡す訳には行かない。俺は過保護だな。

「只今ー」

「お帰りなさいませ」

「あれ?リュネは?」

 寝室に戻ると寝ているテイカと作業中のラビアンだけ。リュネはどっか行っちゃったようだった。

「お子様達のお世話をして、自室で休むそうです」

ラビアンの一人がそう言って、部屋を出た。テイカに飲み物を持って来てくれたようだ。俺の分もある。偉い。

「何を書いていたのです?」

「お節介、かな」

「それは焼くものですよ」

「煎餅食べられるか?」

「では、少しだけ」

背中に回って抱き起こし、飲み物と煎餅を浮かせて寄せる。

「柔らかい感覚は久しぶりですね」

リュネがペニスケ隠したままだからな。






しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...