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不味い水
しおりを挟む島に帰ると真っ先に来る筈のテイカが集団と一緒に出迎えた。
「テイカ、悪阻キツイのか?」
左右の二人に支えられ、顔色優れぬテイカ。そろそろそんな気はしていたが、今来たか。
「お帰りなさいませ、カケル様。少し辛いです」
それは少しの時の反応じゃない。皆がテイカの言葉を待ち、それから声を発して出迎える。慕われてるなテイカは。
「皆も只今。テイカは出来るだけ休め。俺は男だからその手の事には素人だ」
「はい…」
皆にテイカの症状を聞くと、吐き気があり、それが原因で物が食べられないと言う。応急処置として先ずは水分補給。俺が以前飲んでいた、塩を混ぜた不味い水を飲むよう伝え、食事の時間からは具を磨り潰し、ポタージュにして飲むよう指導した。煎餅焼かなきゃならんけど、昼飯の時間迄は一緒に過ごそう。
「奥様達の所に行くのが先です」
「診察してからだ」
ベッドに横たわるテイカが強がりを見せるが、嬉しいって事、分かってるからな?《感知》で悪阻の程度を診て、ラビアンが作って来た不味い水を飲ませる。
「カケル様、美味しくないです」
「酸味足したりするとマシになるんだけどな。今サンの実無いんだよ」
「酸っぱい野菜はありますね。それとお酢」
「テイカは酢が飲めるのか」
「普段は飲みませんよ?此処に来る迄料理に使う事すら知りませんでしたから」
「そうだな。俺も酢の存在は知ってたが、売ってるの見た事無かったし」
酢の販売は商業ギルドが仕切ってて、バルタリンドでは海の近くの乾物屋にしか置いて無かったのだ。何故なら匂いが強い為、風通しの良い場所でしか売る事が出来無いそうな。
煮切って薄めてってするにしても厨房が大変な事になるだろうし、酸味のある野菜ジュースに塩を添加するのが良さそうだよな。
「昼迄はソレで我慢してくれ。吐いたら幾らでも《洗浄》するから、水飲んで喉の中を流せよ?」
「はい。少し休みます」
腕に巻き付かれて一緒に寝た。…回復、掛けとこ。
昼食を摂り、再び休みに行くテイカを見送った俺は風呂場の二階へ。リームに手伝いを頼みたかったが、ミーネと一緒にルドエで昼を食べたのか、島に帰って来なかった。仕方無い、一人で作る。
硬さを確認しながら生地を焼き、黒糖ダレを付けて乾かす。自分のおやつに一箱増して三箱作り、部屋を出た。
「カーケルー」
ネーヴェが待ち構えていた。どうする?《転移》を使えば逃げられるだろうか?だが今逃げ果せても後が怖い。両腕を上げて臨戦態勢のネーヴェに対し、話し合いでの解決を試みる。
「どうしたネーヴェ」
「だっこ~」
甘えん坊さんめ。抱き上げてペニスケの上に乗せた。
「ふんふん…甘い匂い~」
手足でガッチリホールドされて、逃げる事が出来無くなった。罠だったか。
「贈る用のを作ってたんだ。そっちのはまだあるだろ?」
「あれ、みんなでたべるよう」
「皆で食べなよう」
「カ~ケルゥ~」
尻を振り振りペニスケを揺らす。クソっ、こんな誘惑に負けてなるものか。
「皆で仲良く食べない子には作ってあげません」
「雪の国で、おんなだいてた…」
「……上に行こうか」
上下のお口を口封じして腹を満たしてやったよ!そして夕飯後には厨房で皆の分を焼き増しし、風呂場の二階で福利厚生を施した。鼻からバレてやがったぜ。
翌日は、朝の仕事に行ってから、ゴモラン邸にお邪魔して、黒糖煎餅一箱贈る。そして準備中の入浴施設で女達とエッチして、お昼を食べて午後の部へ。営業が終わると夫人達をゴモラン邸へと帰し、アルア邸、ハーク邸と回ってお菓子を贈り、両家のメイド達を入浴施設で労り労い楽しんで、夜の部を終えるとメイド達を両家に帰し、帰宅した。
「んっ…ん…」
目が覚めて、誰かがアイツを擦ってる。まだ目は開かんが誰かは分かる。
「おはようテイカ。気分はどうだ?」
「おはよう、ございます。何もしてないよりはずっと、い、良いです」
本当は止めたいけど、やらせてやろう…。
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