上 下
1,306 / 1,519

ダートの母ちゃん

しおりを挟む


 リュネが何も言わないのであれば良いのであろう。泊めてもらってる礼をしないとならんし、此処は俺が折れておく。

「分かりましたよ。ご招待させて頂きます」

 朝食を済ませ、昼食を摂り、ハークの部屋へと《転移》する。今日は皆が揃っているし、メイドに刺される事は無かった。

「カケル!」「カケル様あ!」

刺される代わりにタックルされた。前後で挟まれてぐえってなる。《結界》効いてる筈なのに。

「ねーカケルー聞いてよー。タージョが無いんだってー!」

タージョって鳥だよな。幾らデュセルでも食べ尽くす程買ってはないだろ。

「お兄様、カケル様に言っても詮無き事ですよ!?」

「左様ですぞ坊っちゃま。誰が王となられるか決まらぬ以上、三方立場は同じでなければなりませぬ」

うん、鳥肉昨日食べたった。バレないようにしなければ。
挨拶もそこそこに、ゴモラン邸へと《転移》する。庭には既にリュネと夫人達が揃ってて、何時でもどうぞな状態となっていた。因みに家主のエルシド・ゴモランは夜明け前から仕事である。母屋でもしっぽりズブズブしてた様だから、夫人揃って多分寝てないに違いない。

「ハ~ク~、アルアちゃ~ん」

「あばば」「んきゅ~っ」

「行~きま~すよぉ~」

今度は二人がハグされて、そのままバルタリンドへ《転移》された。

「こ、此処は?」

「随分色の整った建物ね」

ブルランさんは辺りを見渡し、夫人は建物に興味を示す。メイド達はしれっとハーク達を中心に円陣となり、外に意識を集中させた。

「此処は俺が経営してる入浴施設ですよ。男湯は無いので交代で入って貰います」

そんな事を皆に説明していると、中からゾロゾロ女達が出て来た。営業終了の時間だ。

「おや、カケル様じゃないか。随分ご無沙汰な気がするよお」

「偶には顔出してくれないと、寂しくなっちまうよ。なあ?」

「そうさそうさ。けど仕事中なんだろ?頑張りな」

女達が優しい声を掛けてくれる。挨拶と、礼を述べて見送った。

「あれが客ですな?平民が凡そのようですが」

「貴族も偶に来ますよ。面倒事が無ければ貴賎無く利用できますので。さあ、入りましょう」

客が出て行き、皆を施設へ導くと、ラビアン達が出迎える。

「「「いらっしゃいませーー」」」

「わあ、ラビアンだっ、ダート達と知り合いなの?」

「ダートは私の息子ですよ」

白たわよ、お前ダートの母ちゃんだったのか!

「この方達は招待客だからお金取らないでね。お風呂には先に男性に使ってもらうから、準備よろしく」

「「「はーーい」」」

風呂のメンテが終わる迄、食堂で休んでもらおう。その間にブルランさんとハークの寝室を整えるのだ。

「カケル!僕此処が良い!」

中庭には時短掛かってたっけ?ブルランさんもそこで良いと言うので日陰の方にマットを敷いて、テーブル出してはい終了。風呂の支度が整う迄ベッドで寝ながらジュースでも飲んでてくれ。

 暫くして浴場の清掃が終わったと報告を受ける。

「カケル殿は入らぬのですかな?」

「カケルも一緒にお風呂入ろうよ!」

  「尊い」「ハーク様がお二人の猛りに…」「お兄様…」
やはり貴族は腐っている。仕事中であると説明し、二人に納得してもらう。今度絶対だかんね!?と約束を押し付けられてしまったが。

「カケル様…お兄様とも?」

ハーク達とメイドが数人施設に向かうと、ジト目のアルアが問うて来る。

「まさか。ハークには許嫁が居るだろ?」

「けどみんなは、男同士の愛情が…とか…」

「皆ってだれさ」

メイド達に、クラスの女子がその手の物語を持って来たり書いたりしているらしい。貴族の子女も腐っているのか。

「他は知らんが俺は女にしか勃たん」

「何時もカチカチですけどねぇ~。昨夜だって…」

リュネめ、やはり見ていたのか。昨夜のズブズブを面白可笑しく話し始めやがった。女のコミュに知られたら、拡散するのは直ぐだろう。薄い本が厚くならない事を祈る。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

第三王子に転生したけど、その国は滅亡直後だった

秋空碧
ファンタジー
人格の九割は、脳によって形作られているという。だが、裏を返せば、残りの一割は肉体とは別に存在することになる この世界に輪廻転生があるとして、人が前世の記憶を持っていないのは――

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~

白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。 目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。 今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる! なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!? 非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。 大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして…… 十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。 エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます! エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...