1,294 / 1,519
ネーヴェのご飯
しおりを挟むそれから六日後、三姉妹に娘とネーヴェも付いて来て、餌の様子見が行われた。余計な所に穴を掘られないよう、壁となる場所には補強が成され、池から水路へと流れる水量も充分下流へ届く事を確認した。
トカゲの巣の排水に関しては、まだ清水が流れてるだけだ。《浄化》の属性魔石を使えば一発なのだが、匂いに仲間が寄って来るらしい。排泄物からフェロモンでも出てるのだろうか?
「アレが、えさ?」
「そうだぞ。アレを増やしてトカゲの餌にするんだ」
ネーヴェのご飯じゃ無いぞ。ジワジワ寄って行きそうなネーヴェを捕まえて、ご飯は後でと念を押す。
「カケルさぁん、餌を入れますね~」
リュネが知らぬ間に集めて来た餌を野に放つ。今度は数が多いので、池の周りにボツボツとコロニー状の塊が出来た。やはり最初は動かないな。
「主様、餌の餌は問題無く食われているが、妹が入れた後はどう減るか分からん。更に様子を見る必要があるだろう」
「様子見は終われないな。トカゲを入れたらどれだけ減るかも見なきゃだし」
「ねえカケル~、下には降りちゃダメなの?」
「餌達がびっくりしちゃうから、上から見てようね」
カラクラナイが襲われて怪我するような事なんて万が一にも無いだろうが、一があったらこの場を更地にしてしまうだろう。なので遠慮しておくれ。
「落ち着いたらトカゲの番ですね~」
「十日前後様子を見て、餌の供給が足りてるならトカゲを放とうか」
減らされる予定のグリーン氏リザルトだが、彼等は交尾から十日程で妊娠し、更に三十日程で二十~四十個程の卵を産む。巣穴に産み付けられた卵は三十~五十日で孵り、一年で交尾産卵可能な成体となる。とリュネの談。寿命は少なくとも十年以上と言われ、何歳迄産卵出来るかは調べられていない。今日迄の間にノーノから聞いた話によると、途中で投げ出した研究だけあって人の研究ではあまり生態を把握出来て無かったみたいだ。
「そう言えば、我が家の食卓には上がった事無かったよな?」
「カケル、たべる?」
「トカゲの方が美味しいですからねぇ~」
「塩と香草で焼いたら二度と生では食えなくなるな」
「人の子が食べようとしてたくらいだし、増えて来たら一匹貰って食べてみような」
「おなかすいた」「カララもなの」
まだお昼では無いのだが、飯の話しちゃうとお腹空くよね。ルドエに飛んで、子供達と一緒におやつタイムしてもらった。
「カケル殿、少し良いグアッ」
「だ~めで~す」
「リュネ、やめなさいって」
子供達のモグモグタイムを眺めていると、ボーデンフェルトが声を掛けて《威圧》された。男にまで嫉妬するなっての。
「俺だけで良いのか?女王も居るぞ?」
「うむ。女王にも話を通すべきだろうな。人買いと売られた女子供についてだ」
「場所を変えるか」
上空にUFOを出して指差すと、目の前が歪んで景色が変わる。リュネが《転移》させたのか。目ぇ閉じてないとちょっと気持ち悪い。
雑木ソファーに腰を下ろし、女王以下三人ボーデンフェルトの報告を聞く。
人買いから巻き上げた女子供は、現在フォリ・ガウチで匿われ、生活基盤を整えているそうだ。で、人買いの元の売り先はその都度ブレスで焼き払い、船の中に先着していた商売品も帰したり匿ったりしていると言う。
「ルドエは安定してやれている。だが他の集落はどうしようも無い。地を肥やし、作物が取れるようになっても未だ人売りは絶えぬ。そろそろ国として、ウラシュ島全域を治めるべきでは無かろうか」
「アフマクシアとカケラントからは国として認められているからな。治めるのも良いかも知れんね」
「ふむ、旦那様よ。どう治める?」
「先ずはミネストパレスの建国と女王のお披露目を国民に知らしめなければな。で、戸籍の掌握と税の徴収。それを使ってのインフラ整備や福利厚生…ってのが人のやり方だ」
「私は龍だ。何か変わるのか?」
変わるだろうなぁ。金要らんし。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
アレキサンドライトの憂鬱。
雪月海桜
ファンタジー
桜木愛、二十五歳。王道のトラック事故により転生した先は、剣と魔法のこれまた王道の異世界だった。
アレキサンドライト帝国の公爵令嬢ミア・モルガナイトとして生まれたわたしは、五歳にして自身の属性が限りなく悪役令嬢に近いことを悟ってしまう。
どうせ生まれ変わったなら、悪役令嬢にありがちな処刑や追放バッドエンドは回避したい!
更正生活を送る中、ただひとつ、王道から異なるのが……『悪役令嬢』のライバルポジション『光の聖女』は、わたしの前世のお母さんだった……!?
これは双子の皇子や聖女と共に、皇帝陛下の憂鬱を晴らすべく、各地の異変を解決しに向かうことになったわたしたちの、いろんな形の家族や愛の物語。
★表紙イラスト……rin.rin様より。
RiCE CAkE ODySSEy
心絵マシテ
ファンタジー
月舘萌知には、決して誰にも知られてならない秘密がある。
それは、魔術師の家系生まれであることと魔力を有する身でありながらも魔術師としての才覚がまったくないという、ちょっぴり残念な秘密。
特別な事情もあいまって学生生活という日常すらどこか危うく、周囲との交友関係を上手くきずけない。
そんな日々を悶々と過ごす彼女だが、ある事がきっかけで窮地に立たされてしまう。
間一髪のところで救ってくれたのは、現役の学生アイドルであり憧れのクラスメイト、小鳩篠。
そのことで夢見心地になる萌知に篠は自身の正体を打ち明かす。
【魔道具の天秤を使い、この世界の裏に存在する隠世に行って欲しい】
そう、仄めかす篠に萌知は首を横に振るう。
しかし、一度動きだした運命の輪は止まらず、篠を守ろうとした彼女は凶弾に倒れてしまう。
起動した天秤の力により隠世に飛ばされ、記憶の大半を失ってしまった萌知。
右も左も分からない絶望的な状況化であるも突如、魔法の開花に至る。
魔術師としてではなく魔導士としての覚醒。
記憶と帰路を探す為、少女の旅程冒険譚が今、開幕する。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる