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街を更地にしてやろう
しおりを挟む「カケル、魔石とれた?」
ドロップを尋ねるネーヴェに今回収したのを取り出して見せてやる。
「うっ、キッツ…」「ダメダメっソレダメっ」「ひっ!」
三人には刺激が強過ぎたようだ。俺もちょっとキツいくらいだし、人には持つ資格無いなコレ。
「ああ、魔石三つに魔剣と箱。魔剣は要らんよな?」
「魔石だけでいい」
「コレ、ちとキツいからとっとと捨てるぞ?後、一応箱の中身も確認しとこう」
魔剣を浮かせて遠くに逃がす。ふぅ。女達もホッとしたようで俺同様に息を吐く。箱に鍵も罠も無いのを確認し、開けてみる。
「何だこれ?ゴムか?」
「それ、ゴーレムの材料」
ダンジョンドロップって、倒した者の欲しい物が出て来るのか?あんまりそんなイメージ無いのだが。これはダンジョンが暗にもう来るなと言ってるのかも知れない。お土産用の魔石が欲しかったが、狩り尽くすのは止めた方が良いな。
ネーヴェはと言うと、龍まっしぐらな魔石よりもコッチが嬉しいようで、伸ばしたり厚みを見てはおーおー言ってる。この手の物は外でゴーレムから直接剥いだ物以外見た事無く、ダンジョンドロップでは初めて見る。ミスリルなんかより余程レア度が高いのでは無かろうか?
「良いのがもらえて良かったな」
「んっ」
お菓子食ってる時並に嬉し気なネーヴェであった。
ボス部屋前で昼飯?を食い、帰りは三人の適正レベル帯の階層迄は《結界》で覆って素早く上がり、二十九階からは鉢合わせた敵だけを倒してドロップを拾いながら移動した。地上に着いたのはすっかり夜である。
「こんな遅く迄潜って居たのか」
「お前等、もう街の門は閉まっているぞ?」
ダンジョン入口を守る衛兵がそんな事を言う。
「はぁ~。折角戻ったのに」
「今夜は野営かぁ。ま、草原ならゾーイくらいしか居ないから何とかなるよね」
「だな。任せとけ」
受付で延滞金代わりのチケットを渡し、帰路に着く…振りをして、人が見えなくなった辺りで《転移》した。
「うわっ、此処っ」「景色が変わった!?」「此処、街?」
「秘密な?」
ギルドの裏手、人気の無い場所に《転移》すると、その足でギルドに直行。女達は礼を述べて買取りへ。俺達はジョンを呼ぼうとしてもう帰った事を知り、街を更地にしてやろうと思った。が、ネーヴェの友達が居るから我慢する。
「明日また来ような?」
「ん。帰ってごはん」
夕飯まだだったもんな。切なくなってるネーヴェを担ぎ、ヤリ部屋から島に戻った。
「お帰りなさいませ…ネーヴェ様?」
「あらあら、お腹空いてるのねぇ。何か作ってもらいましょうか」
家主のリュネと、テイカに迎えられ帰宅するも、ネーヴェを奪われ部屋を出て行く女達。俺も腹減ってるので食堂迄付いて行く。
そして飯を食い、正座で一オコン程説教を食らった。湯に浸かり、今夜は何もせず寝る。
「やった。Bランク」
翌日は朝一でジョンの所へ向かい、サブマスがくれた新しいギルド証を見てネーヴェは喜びを露わにする。
「魔石三つも出して、良いんですか?魔石好きなんすよね?」
「もんだいない。Bランク、大事」
ランクなんぞより魔石の方が価値があると思うのだが。嫌な相手からの指名依頼とか来たらどうすんだ。
「安心しろって。成り立てのBランクに仕事なんてさせねぇよ。遠征に出てるって事にしといてやる」
俺の心配を察したのか、ジョンがフォローして来よる。
「それに人相手も魔物相手も、ネーヴェ様だと一人で足りちまう。他のモンの立つ瀬が無ぇぜ」
「そうだよな。どうしてもって時は俺と二人とかになるな」
「その時はカロさんに繋ぎを付けるぜ?」
「窓開けて、緊急依頼でカケル君に用があるんだけどな~、とか言えばきっと想いは届くよ」
「なんじゃそれは」
「カケル、遊んでくる~」
遊んで来るのか。取り敢えずギルド証はお友達以外には見せないように釘を刺し、俺用出入り口からぴょーんと飛んでくネーヴェを見送った。
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