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俺の子種

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 稼ぎを増やしながらフロア内を移動して、七百匹以上の敵が湧く罠部屋前にやって来た。

「こんな部屋になんの用さ?」

「此処は罠部屋で大量の雑魚が湧くんだが、これを殺らんと下に降りられんのだ」

「うへぇ」「このダンジョン、罠もそうだけどさ、数がホント容赦無いね」

「稼ぐなら多くて六人って言ったけどさ、まあちょっと無理だよねぇ。敵が多過ぎさ」

「それにこの部屋、これだけの人数入って戦えんのかい?」

扉を開けた女が口を開く。二十一人、入る分には充分だが得物を振り回すのは難しいか。

「そうだなぁ。代表して五人、俺と一緒に頑張ってくれ」

「じゃあ、あたし達が行くよ、丁度五人だしね」

「明り取りは誰がやるのさ」

「それは俺に任せとけ」

そのくらいは忖度しても良いだろう。五人と俺が潜った扉が自動で閉まり、部屋一杯に浮かぶ魔法陣。

「とにかくっ、出る前に少しでも殺るよ!?」

「「おうさっ」」

俺は全員に弱い《耐性》を掛け、松明の代わりに光の棒を浮かせる。そしてシャムシールを振り被り頭を出した雑魚を斬り捨てた。

 魔法陣から出る前に敵を倒して行くが、とにかく数が多くそう間も無い内に全身出切って動き出してしまう。囲まれると勝ち目が無いと見て、四人は部屋の隅に陣取り得物を振り回す。敵の数は多くても馬鹿だから、それでも充分対応出来るだろう。俺は壁を背にして一人を庇いながら得物を振るう。後ろの女は魔法職で、俺から付与された魔力を使い捲って水の壁を建てる。

「魔力はあっても、こんな壁じゃ効果がっ」

「くぬっ!水に粘りを付けてみろっ」

「粘り?」

「俺の子種をイメージするんだ」

「やるだけやるさっ」

呪文を唱えて部屋の真ん中に水の壁を建てる。が、壁は敵を濡らしただけで直ぐに地面に広がった。

「クッソ、もういっちょ」

「しっかりしな!昨日あんなにもらっただろ!?」

「このおっ」

次に出た魔法は壁の形を成して居なかった。しかし糸を引きながら飛び出したドロっとした塊は敵を包んで足を掬い、周りを道連れにして転んでく。

「うわっ、こっち迄ぬるぬるがっ」

皆を浮かせて転倒を回避させ、その後はずっと此方のターン。湧き出して、動こうとする度ぬるぬると滑る敵に、チクチクと攻撃を当てて煙に変える。敵を全滅させた頃には粘液が膝程の高さ迄溜まっていた。

「ひっ、ひっ、ひぃ…」「終わった…のかい?」

「そのようだな。水を解除してくれ」

「あ、ああ。しんどい…」

今扉を開けたら外の女達がぬるぬるになるからな。水魔法が消されるのを待つ。

「カケル様、箱があるよ」「お宝かい?」

「まだ触らんでくれ。ドロップも拾わんとならんしな」

部屋のぬるぬるが消され、皆が地に足付けると誰と無く箱があるのを見付けるが、先に部屋を片付け無いと勿体無い。外に居た女達も呼んでドロップを広い、箱の前で手を繋げさせた。

「何かの呪いまじな かい?」

「この箱が転移罠なんだ。転ばないようにしゃがんでくれ」

皆で手を繋ぎ、しゃがんだ女達を確認して箱を開ける。転移罠じゃ無くなってたらどうしようかと思ったが、魔法陣が光って無事転移罠は発動した。

「うっ、此処は?」「洞窟かい、これ?」

「二十一階、洞窟エリアだな。敵が強いから少し休憩しよう」

他の面子は戦ってないのでそうでも無いが、罠部屋に居た五人は休ませないとならん。フォーメーションも四二四二三五と殿の俺の並びに変えて、息を整え上への階段を目指した。

「ろ、六人でもキツいわっ」「明かり含めたら八人だよっ」

「こんな武器じゃ埒が明かないよっ!」

「強くないと旨味が無いし、こりゃあハズレだねえ」

魔石もそこそこ大きいし、ドロップもそこそこ。けど二十人では如何程になるか。皆不安なのだろう。

「四人で殺れる迄鍛えるか」

「「「え!?」」」

「そりゃあ、有難いけど…」

「なあに、直ぐ強くなるさ」

準備もあるし、階段部屋へと急いだ。






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