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金食い虫

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 早速鳴子の罠の前で立ち止まった先頭集団。前に酷い目に遭ったので、場所を覚えて居た模様。

「やらない方が楽だけど」

「ドロップはあるんだよねぇ。どうする?」

「やってみたらどうだ?今回は交代出来るしパーティー全体で戦えるからな」

そう進言すると、明り取り以外が得物を構え、小手調べの準備は整った。

「良いね?行くよっ」

カランカランカランカラン

罠を踏み抜くとカラカラと耳に響く音が鳴り、ヒタヒタペタペタ足音が聞こえて来た。

「明かりの元迄引き付けるよ」

「「「おう」」」

魔法の詠唱が始まり、前衛が盾になる。俺達を見付けたブフリムがバラバラと走り出して来た。

「ウォーターバレットッ!」

前衛の隙間を抜けて、水魔法が二つ飛んで行く。中々やるじゃないか。ダメージはそんなでは無さそうだが、当たった敵が吹き飛ばされて後続の足を止めるのに役立った。
魔法の詠唱終わりに合わせ、弓での攻撃。これも上手い事命中して足を止める。そして前衛が前に出て、突出したブフリムに斬り掛かった。

「水の壁は使えるか?」

「え?ああ、出来るけど」

「戦ってる敵の後ろに出して足止めしてみ」

「後続を減らすんだね!?みんな、行くよ!」

「「「おうさっ」」」

背後に水の壁が現れた所でダンジョンの敵は怯まない。だが通過するのに多少なり時間を取られれば、その分増援が遅くなる。突破するのに水の抵抗が掛かり、視覚を鈍らせる効果もある。実際、効果の程は中々で、水の壁から頭を出したブフリムに放たれた矢が命中すると、水の中を掻き回して後続の侵入を阻んでくれた。

「三人と二人、用意しとけ」

「「「おうっ」」」「お手柔らかに頼むよ」

この五人は前衛四の中衛一。戦い終えた四人が下がると同時に前衛四人が前に出て、二対一の状態を作ろうとする。その調整を残った中衛が投げナイフでサポートする感じだ。

「壁のおかげでっ!遠くに転がっちまわなくて、良いねっ!」

「もう一発行くかい?」

「切れたら頼むよっ」

 戦闘時間は掛かったが、皆大した怪我も無く、大量の雑魚を狩り切った。

「こんなに相手したの、初めてさぁ」

「最初は途方に暮れたけど、ドロップ見たら報われるね」

小さな魔石と臭い袋、そしてガラクタ金属。それぞれ二十そこらの数でしか無いが、それでも二百ヤン程にはなるし、皆の連携の練習になった。

「皆の動き方も分かって来たようだし、早めに下って行こう」

「「「おうっ」」」

そこからは罠を避けたり暴発させたりで奥へと進む。ウォリスや少し大きいブフリムが混ざりだしたが、連携が取れ出した女達に隙は無かった。
中・遠距離の一斉射撃が狭い通路に良く効く事を知ると、初発に魔法と弓矢を飛ばし、残りを前衛のローテーションで処理するようになった。

「これだけ手数が居ると楽だねぇ」

「コレで貰いが多けりゃ文句無いんだがね」

「あーね。多くて六人か、そんなトコか」

「皆回復や補助、ポーターの存在を忘れているな?」

「そりゃあ分かるけどさぁ。魔法使いって少ないんだよ」

「投ナイフも弓矢も金掛かるからねぇ」

「そそ。金食い虫のあたいなんて初めて役に立った気がするよ」

「藪に入ったナイフ探すのに何オコンも掛けちまうしさっ」

世知辛いぜ。

 そうこうしている内に地下五階。普通のブフリムより多少強いので、誤差程度に良いドロップが出て皆上機嫌だ。

「一旦休憩~。飯食って出したら休憩して先に進むぞ~」

「歩きながら食えば良くないかい?」

「一人出す度に立ち止まるのは襲撃の危険がある。これは分かるよな?」

「そりゃあ、急には引っ込めないしねぇ」

「敵の少ない階段前や降りて直ぐの場所は休憩するのに丁度良いんだ」

「ふぅん。カケルさんの言葉に従うよ」

「カケル様が言うなら、まあ」「だね」

あんまり納得して無いようだがヒズラーの冒険者は皆そんな感じだし、お国柄なのかも知れん。






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