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危険なヤツ
しおりを挟む午後は丸々空いたので、長々と放置されてた作業に勤しむ。貯まりに貯まった金属精錬だ。箱の中でごっちゃになった金属粒やナゲットを同じ種類で分けて行き、スキルで出来るだけ不純物を取り除いてギュッと練り固め、一つのインゴットにして行く。
箱詰めされた雑金属は保存箱から出す時に箱の状態で出る。それを開けて中身を《収納》するのが少し面倒だ。そしてインゴットは全て同じ大きさと言う風には出来無い。不思議な事に、微妙に大きさと重さが違うのだ。地球だと僅かに大きく作り、端を削って調整するんだっけかな?コレはもう一度加工した方が良いだろうな。
残った不純物も迂闊に扱えない。まだ《収納》から取り出しては無いのだが、危険なヤツが混ざってる。取り出したら体が穴だらけになっちゃうヤツなので、濃縮させないようにしながら不純物の鉛を集めてる。捨てるのは何時になるのやら。
保存箱から箱入り金属を回収したら、残った空箱は再び保存箱に戻す。空箱に気付いたプリキオーネが再利用するからだ。
「カケル様、お腹が空いてるのでしたら何か作りましょうか?」
俺が厨房でゴソゴソと作業していると、久しぶりにシャリーが島に戻って来た。
「お帰り。送られた金属を固めてたんだ。フラノノも戻ってるのか?」
「はい。お二方も戻られて、今はリア様の所に居ますね」
「なら、アルネス一人?」
「ラビアン達がお手伝いに来てますから。経験者ですし、心強いですね」
慢心はするなと念を押し、黒糖黄粉豆腐を供して厨房を後にする。ラビアン達が羨ましそうに見ているが、お前等洋菓子食ったろが。
俺にはまだやる事がある。これも延び延びになっていた魔道具作りである。そしてラビアン達の内職により完成した製品の発送だ。弥一を送ってく時に一緒に持って行けば良かったぜ。さりとて過ぎた事。箱に書かれた数量と送り先を見て、先ずはバルタリンドに《転移》した。
「こんにちはー」
「いらっしゃいませ?カケル殿、今日は何故此方から?」
「バックヤードに近いからだね。注文の魔道具を持って来たよ」
「おお、それなら此方も。以前頼まれていたシルクワーム、全て糸と布に変えられましたぞ」
繭殻を糸や布に加工したのでは無く、糸と布の下取りとして売り捌いたそうだ。此方の為だけに工場を占拠出来無いし、買った方が早いのだ。
ワーム製品と魔道具を交換し、柱の影から覗くエージャをチラ見して店を出た。
次に来たのはエディアルタ。俺の話は通ってるようだが、相対した受付嬢に下から上へと舐めるように見られる。
「どうした?」
「いえ、聞いていたのと姿形が違うので…」
「今鎧、洗ってるんだ。臭くなっちゃってな」
「はぁ。取り敢えず上に聞いてきます。一旦離れてお待ちください」
腑に落ちぬ様相で階段を上がって行ったが、何を不審がる事があるのだろうか?暫くして階段を降りて来たのは先程の受付嬢とギルマス。
「お?おお、確かにカケルだ。女達は元気か?」
「久しぶり。亭主元気で留守が良いってな。商材持って来たぞ」
「ガハハッ!お前のソイツも店仕舞いしたってか」
ああそうか。アイツが萎えてるからか。本人確認は顔でしてもらいたいが、鎧の時はメット被ってたしな。買取りカウンター奥の会議室に移動して商材の確認と受け渡し、金を振り込んでもらって業務終了。
「大量に持って来るのも良いが、小分けで持って来ても良いんだぞ?」
「多忙にかまけてついつい忘れがちになっちゃうんだ」
「コッチはともかく、アッチはコレが生命線だからな?コイツ等が行き渡る迄忘れんなよ?じゃあな」
用が終わるとさっさと出て行く角刈り髭マッチョ。残務に残された受付嬢の尻を揉み、剥き出しになったアイツをスカートの下から押し付けた。
「コレが店仕舞いに見えるか?」
「見っ、見えてませんっ。それとっ、好きな人、居るんで…ソレだけは…」
舐らせるだけで許してやった。
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