上 下
1,203 / 1,519

内見

しおりを挟む


 サブマス?の名はハシュラと言うそうで、予想通りサブマスだそうだ。カロとハシュラの二人には公共浴場の施工業者から図面を借りて来てもらう。その間に、俺は破壊された施設を見て回る事にした。破壊されたと言っても更地にされていたら昨日の時点で騒ぎになってるし、壁に穴が空いた程度なら図面要らんもんな。

「やってる?」

「昨日から商売上がったりだよ…って、あンた…」

玄関のスイングドアを開けると番台に座ってる婆さんに声を掛ける。面倒そうな声が、途中から憎々し気な声に変わった。

「ギルドの要請で直しに来たんだ。直すのは図面届いてからなんだけどな」

「あンたの店のお陰で女の客が半分になっちまって、今度はぶっ壊されて、男まで居なくなってさっ。誰がやったのか気になって仕方無いよ!?」

「やった奴見てないのか。因みに俺は冒険者達と海の上に居たからな?それに、男湯壊しても俺得しないし、臭いのヤダし」

「損もしないだろ?昨日からそっちに押し寄せてるだろうしねっ」

「そんな報告は受けてないな。取り敢えず壊れた場所を見せてもらうよ?」

「勝手な事おしで無いよっ、男を呼ぶよ!?」

「是非頼むわ。壊れた箇所、詳しく分かる奴で頼む。それにさっき言ったがギルドの指名依頼なんだ。請けちゃったからやらんと妻と子等が腹空かせちまう」

「ちっ、風呂屋で儲けてるクセに…。待っといで!動くんじゃないよ!?」

番台から降りて何処かへ向かうと、暫くして男三人連れて帰って来た。

ぶりゅりゅっ!ぶびゅーっ!

「おげぇっ!」「ぶぉろろろろっ!!」「うぉぼぼぼっ!」

「なっ!?どうしちまったんだい!?」

男共の服を《収納》で裸に剥いて、《威圧》を掛ける。上下の穴から汚い音と汚い物を垂れ流し、這い蹲る男共に分からせる。

「冒険者相手に武器なんぞ持って、どうするつもりかね?で、どうなると思うね?」

汚物に塗れた得物が男共の横に転がってるのを見て、婆さんも冷や汗を垂らす。

「俺が死んでも店は元には戻らんよ。それに死ぬのはお前等だ」

「や、殺るのかい!?」

「この街が滅ぶぞ?試してみるか?」

土台無理な話であるし話が進まないので男共を《洗浄》する。

「とにかく内見だ。はよ起きろ」

「ゲホッ、糞っ」「変な術、使いやがって…」

「一人くらい殺した方が話聞いてくれるかな?」

「野郎っぶっこ……」

刃物を持った男が糸を切られた操り人形の如く地に伏せる。

「後一人は死ねるな。どっちが死にたい?」

「え、死んだ?」「そんなっ」

「こっちは仕事で来てんだよ。それに得物ぶん回そうって奴、殺んの当たり前だろうが。次はどっちが死にてぇんだよ。早く決めろ」

ビビって動かなくなっちゃった。

「同業の誼でよしみ 来たのに疑われてさ、やる気も失せたわ。公共を名乗ってセコいピンハネしてんの、家政婦組合の女達は皆知ってんだからな?」

「うっ、嘘だよ!そんな事っ」

利潤を求めるのは悪では無い。露店街なんてぼったくりも良い所だしな。ぼらなきゃ娑婆代賄えんのだから、皆納得した上で値切って買うのだ。だが此処は公共施設。幾らかの運営費を貰っていて、入浴料以外のサプライをセコセコぼったくって稼いでいる。これは仕入れや納入する業者の妻達から得た情報だ。我が入浴施設はサプライレンタルで無料の為、それだけでも百ヤン足した価値があると言われる。

「その様子だと、組合から爪弾きにされてる事も知らなそうだな。それとも、風呂が此処だけだからってふんぞり返ってたのかな」

図星を突かれて黙りになった婆さんに見切りを付けて、一人で内見に向かった。

壊されていたのは湯を沸かす釜から排水口に掛けての一帯で、人が死んだ形跡もある。素人の俺でも見付けられるくらいだ、排水口の奥深くへと続いている返り血の跡に気付かなかったのは、多分犯人も焦っていたのだろう。
見た目は青年心はオッサン。俺も名探偵になれるかな?





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

処理中です...