上 下
1,153 / 1,519

奢るとは言ってない

しおりを挟む


「グリオーソには回復関係での評価。二枚。ムームードは貴族関係での評価。二枚。ディワダには索敵関連での評価。二枚。ダミヤンには戦闘、警護での評価。二枚。ヘンプシャーには男達を癒してくれた事への評価。四枚。以上だ」

「良いのか?飯に行くんだろ?」

「奢るとは言ってないぞ?」

 グリオーソの言葉に返す。男達は皆苦笑いを浮かべた。

「貴方…、何よそれ」

「ダミヤンも言って居たが、男達の士気を上げてくれた事を評価する。今回は夜這いするような者は居なかったが、その手の警戒もしていたのだろ?夫人達に諂う姿は評価出来んが、食事の手伝いを増やしてくれた事には評価してるんだ」

「確かに、俺は彼奴等に釘は刺したが、無いとも言い切れなかったな」

「私は見張ってましたよ。起きないようにもしましたが」

「済まない、正直、考えが及ばなかった」

男達がそれぞれの感想を述べる。一人不穏な事を言うのはディワダ。ナニしたのよ。

「俺は昔話を聞かせてやったら大人しくなったぜ?」

年長者の昔話…聞きたいようで聞きたくない話だろうな。

 一番貰えたのは俺なので親の総取り四枚追加で配分を終えた。
で、外に出ると多数のお手頃価格達が路頭に迷ってた。

「何だ?宿取れなかったのか」

「翔ぅ~」

「止めろデブ。大部屋も無かったのかよ」

「夫人の所の騎士様が、な」

女達も宿が取れず、この世の終わりな顔をしてる。

「ダミヤン、大部屋に宛はあるか?」

「騎士だけで三十人近く居たよな?そうなると諦めた方が良いかも知れん。十人そこらなら俺の家で雑魚寝も良いが、女も居るとなるとそうもいかんか」

「なら男共だけでも雑魚寝させてやってくれ。女達は俺が何とかしてやろう」

「貴方っ、ナニする気!?」

「寝床を用意するだけだよ。飯も風呂も無いけどな。先ずは飯だ。弥一、良い店探せ」

「おうっ!…って出来るかいっ!」

「酒場なら騎士も立ち寄らん良い店がある。行くぞ」

地もピーのダミヤンにゾロゾロと着いてくと、裏路地の、如何にも地元民御用達な店に着く。冒険者一杯、地元の親父も一杯だ。

「親父、帰ったぞ」

「お?おお!ダミヤンじゃねーかっ。後ろのは連れか?だいぶ多いが」

「美味い店を紹介しろってな。二階は空いてるか?」

「美味い店ぇ言われたら断れねぇな…。とっとと上がんな」

地元パワーだな。多分二階は地元民以外お断りな感じなのだろう。二階へ上がるとテーブルが重ねて端に寄せられてる。予約客用か。

「皆、テーブルと椅子を並べろ。騒ぐと飯が不味くなるぞ」

それは嫌だな。皆が小声でおうっと応え、静かにテーブルを並べて席に着く。

「今夜は一番稼いだカケルが皆に飯を振舞ってくれる。騒がず好きなだけ食えっ」

「「「おおお…」」」

「えええ…」

「俺の分け前半分になっちまったんだからな」

それ食費抜く前の話じゃん…。まあ、此処の男共を雑魚寝させるんだし、飲まざるを得ないか。

「ダミヤンの家で吐かないように、加減して飲んで食え。女達は風呂もあるだろうし、飲みすぎるなよ?」

「ふっ、風呂なんかに入れてどうするつもりよっ」

「弥一ですら粗毎日風呂に入るんだぞ?」

「毎日入るぞー。ダミヤンさんちは風呂ありますか?」

「ねーよんなモン。とっとと注文頼みやがれ」

総勢二十二人が厚切り焼肉にエールをたっぷり飲み食いし、金貨五枚と銀貨八枚飛んでった。店を出て、公共浴場で汗を流した男達は、ダミヤンの家へと向かって行った。

「何かしたら、殺すわよ?」

「敢えて言うが、絶対に無理だ。教会前の広場に向かうぞー」

ヘンプシャーの言葉を軽く流し、皆を教会前に連れて行く。

「教会に泊めてもらうのね?」

「出来なくも無いが、お布施が怖いぞ?」

《収納》から小型UFOを取り出してハッチを開ける。

「此処に、入るの?こんな所で寝たら衛兵に捕まるわよ!?」

「浮かせるから平気だ。ほれ入った入った」

中の使い方を教えたら、ハッチを閉めて空に上げ、開かないように《結界》で包んだ。やっと寝られる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。 どんなスキルかというと…? 本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。 パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。 だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。 テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。 勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。 そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。 ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。 テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を… 8月5日0:30… HOTランキング3位に浮上しました。 8月5日5:00… HOTランキング2位になりました! 8月5日13:00… HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ ) 皆様の応援のおかげです(つД`)ノ

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第六部完結】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

処理中です...