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和気藹々

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「翔、アレ作ったのお前だろ?何あれ?」

 日が上り始め、辺りが薄ら明るくなると弥一がアレに気付いてしまう。

「風呂だ」

「早く言えよっ」

「女風呂だ」

「早く言えよっ!」

「男は我慢せい。コレもチュートリアルやぞ」

キレイ好きなデブが騒ぎ出すのを《洗浄》掛けて落ち着かせると、近くに居る女騎士に中を確認してもらい、キレイさっぱり片付けた。

「おおぉ…、風呂が…」

「メルタールに着いたら好きなだけ擦れ」

「せめて黒き森で!」

「それだとウィッチが居そうじゃないか。黒い森な?」

「ウィッチ、街のそこらに居るもんな。にしても、ぐぬぬ…」

「カケルさん、ヤイチも何の話してんだ?」

「翔の奴が女風呂作ったんだと」

「「「ほう…」」」

「ダメだぞ?死ぬからな?」

「お、おう」「分かってますって…」

金玉パンパンなのは分かるが残念がるなよ。ちんぽ触った手で配膳されても困るので、皆を《洗浄》してシャッキリさせたらとっとと朝食の準備をしてしまおう。
そんな事をしていると、三組の女達がそろそろと寄って来た。

「あ、あのっ」

ハンドサインで黙らせる。

「分かってる。配膳を手伝ってくれたらそれで良い」

「「「はいっ」」」

女達はいそいそと手伝いだした。男達も嬉しそうだし、善き哉善き哉。

「貴女達っ!」「「「ひっ!」」」

テントに居なけりゃ探すわな。手伝ってくれてる女達を一喝するヘンプシャーがズカズカと下草を踏み鳴らす。

「おはよう。皆には手伝ってもらえて助かってるよ。お前も借りを返しに来たんだろ?」

「……そうよっ!」

渋い顔で薄ソーサー巻きを盛っていた。

「私達に手を出したら、殺すからっ」

和気藹々な男女に殺気を飛ばすな。

「わ、わーってるっすよ」

「今そんな事すると、仕事にならんじゃないですか」

「カケルさんに釘刺されてますからね」

「そ…それなら、良いけど…」

黙々とソーサー巻きを盛るヘンプシャーに、小声で話す。

「お前はそれで良い。俺は甘いから、しっかり締めてくれる奴は必要だ」

「勝手な事…」

「だがストレスを与え過ぎるな。互いにやり方は違うが方向性は一緒の筈だろ?」

「…考えておくわ」

盛られた皿を持ってって、夜勤はとっとと飯を食う。起き出した連中に飯を食わせたら、片付けて移動の準備だ。


 それから数日、一人も欠ける事無く黒い森の入口に到着した。入口には門が建ち、門番の冒険者が立っている。商船会社に雇われたのだろう。斥候の騎士に突っ掛かってる辺り、あまり貴族に明るくないようだ。騎士が抜く前に割って入るかな。

「皆、刃傷沙汰になる前に助けてやるか」

「何でだ?自業自得だろう?」

ダミヤンは本拠地が違うから知らないのだな。ムームードも知ってそうだが知らなそう。

「この森はハイネルマール商船会社の持ち物だ。ムームードなら後は解るな?」

「おい、それは問題になるぞ!?お前達、止まれっ、待て待てーっ!」

慌てて飛んでくムームードに不思議そうな付き添い連中。説明したら飛んでった。
責任者に繋ぎを付けて、暫くして駆け付けた責任者が夫人の客車前で平伏する。危うく忠義者の家が潰れる所だったぜ。そこ迄はせんと思うがな。
ホルスト車を通されて、森の中に入って行くと、宿舎になってると言う、三階建ての大きな建物が目に入る。そこから左に道が伸び、其方は水場になっているそうだ。俺達は水場の周りを使わせてもらう事となり、此処で一日、中休みとなる。

「翔、あれ、トレントか?」

「アレは敵じゃ無いから攻撃するなよー?」

忠告虚しく、三人の男が白濁に穢されていた。「汚されちゃった」じゃねえ!「青臭くて苦いとか」言うな!女達も赤くなってんじゃ無いっ!

 水場の周りは水位の上下があるのか拓けており、それなりに広くはあるのだが、ホルスト車九台に馭者九人、冒険者四十六人、貴族二人のメイドが四人、男女騎士十八人、そしてホルスト二十八頭が寝泊まりするには充分とは言い難い。




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