1,119 / 1,519
楕円を描くのは難しい
しおりを挟む荷車では狭いのでUFOを使ったが、何も無いので広過ぎる。
「新しい荷車が欲しいな」
「カケル様、私が島に来る時に使った丸い乗り物はどうされたので?」
「アレな、解体しちゃったんだ」
「あらま」
高速移動は耐えられた物の、先端が熱くなって焦げたようになっていたのだ。今なら《結界》を纏わせて防御出来るがあの時は出来無かったので材料に戻してしまった。
「新たに作るとしても、基本の形はコレだろうな。外は見えないが速度が安定してるし」
「問題は出入り」「窓も欲しいです」
イゼッタとシャリーが言うように、UFOには窓も出入口も無い。空気抵抗でバタバタ五月蝿かったからだ。唯一空いてるトイレの穴は、座ると尻を吸おうとするので迂闊に脚を閉じられん。
「新しいトイレシステムもあるし、此奴も改装するかな」
「拝見させて頂きますね」「見たい」
「広い間取りだが流石に此処で作れる程広くは無いよ。後でな」
なら寝る、と横になってしまったイゼッタには雑木マットを掛けてやり、お茶を飲んだりリアのおっぱいを枕にして過ごし、メルタール近郊に到着した。
荷車に乗り換えてメルタールに着き、リアとフラノノの入街料を払って中に入る。ギルド証で入ると身バレするからな。
「そこの者、司教クロリアス・ハーベステッセンを呼びなさい」
「え、え!?姫「今直ぐ!」ひゃいっ!」
今日は顔出しなのでバレてしまったが、最早気にする事も無い。バタバタ走って司教の元へ向かうシスターの帰りを長椅子に座して待つ。そして暫くして司教が数人のシスターを連れてやって来た。
「彷徨えるボフー達よ、私が司教のクロリアスです。お話は別室で伺いましょう」
前会った時と全く同じ台詞だが、今回は落ち着いて見える。男の立ち会いは憚られるので俺は此処で待ち、女達は司教達と共に奥へと消えた。暇である。
暇潰しに寝ると神的な何かに遭い兼ねんので作業に勤しむ事にした。少し大きめの薄板に雑木紙を敷き、前の椅子と膝に乗せれば簡易製図台の完成だ。アイツに力を込めれば起き上がるぜ…って、しないけど。
楕円を描くのは難しい。コンパスで描く事は出来るがそれは擬似的な物で正確では無いのだ。だが今回は正確にこの角度での楕円とは決めてないので、居住スペースに合った大きさで描ければ問題無い。
先ずは一人当たりのスペースを設定する。一×二ハーンを一人分として、十人分。四×五、二×十、三×六+一×二。大体こんな物だろう。正方形に近い物、長過ぎる物を没にして三×七とした。描いた楕円がこのスペースを満たしていれば問題無い事として、目標の角度は十度前後。擬似楕円は先端が詰まるので尖らせ気味にした。
基準となるセンターに定規で水平線と垂直線を引く。そこに三×七と言う中途半端な居住スペースを引かねばならん。目盛のある定規が欲しいが、無いので今ある定規に二点の筋を彫り、この幅二つで一ハーン扱いとした。
水平方向に七ハーンの点を打ち、二つの終点に垂直線を三ハーン分引いて、四つの終点を水平線で繋ぐ。長さを確認…良し!
別紙に水平と垂直を引き、コンパスで同じ長さの点を上と右に打ち、直角二等辺三角形となる線を引く。打った点を起点に、長く設定したコンパスで真ん中になるよう当たりを付ければ交差した点が半分の角度となり、これで四十五度。同様に半分にして二十二.五度、更に半分にして十一.二五度、更に半分で五.六二五度となった。
余分な所をある程度切って出来たテンプレートを定規に貼って、居住スペースの角に当たるよう斜線を二本。垂直線と交わる点から同じく線を二本引き、長い菱形となった。偉く尖って居るが、どうせ殆ど潰れてしまう。
菱形を楕円に描くのはとにかく手間が掛かる。
普通なら各辺に中点を打って、反対側にある頂点をコンパスで繋げて楕円の一辺となるのだが、角度がキツいと無理が出る。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
追放シーフの成り上がり
白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。
前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。
これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。
ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。
ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに……
「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。
ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。
新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。
理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。
そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。
ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。
それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。
自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。
そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」?
戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる