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年功か、序列か
しおりを挟む「カーケールさぁーん」
「なーあーにー」
昼飯を終えるとリュネが甘えて来る。ミーネにリーム、ネーヴェも居て、何を言いたいか予想に難く無い。腕を取られ倉庫へと連れて行かれた。
荷物が堆く積まれ端に寄せられた倉庫の中にはマットが敷かれ、四つの宝が眠ってたり起きてたり何か言ったりしている。リュネ達と俺の子だ。
「そろそろ名前を付けてあげないとな」
「はよ」
年功か、序列か。悩む所だ。
「先ずはミーネ達の子からな」
「良いのか?」
「子供に序列は無いだろ?」
「うちの子が一番お兄ちゃんですよぉ?」
「男の子一人だし、レディファーストで」
「んもぅ」
「カケル、はよ」
ではミーネの子から。二人居る赤い髪の子の何方かがミーネの子だ。
「ふぁあ」
欠伸可愛い。ちっちゃい手を伸ばしてママを呼ぶ。もう一人の赤い髪はギュワギュワ言ってるのでミーネの子だと分かった。リームもおっぱい出してるしな。
ギュワる横に添い寝して、髪を撫でる。赤と言うより、赤より明るい薔薇色な感じ。
「ローズ…タフィー」
「ローズタフィーか」
「響きは良いな」
「ローズちゃん、タフィーちゃん。何方でも良いですねぇ」
「可愛い」
良いみたいだ。よろしくね、ローズちゃん。次はおっぱいちゅぱってるリームの子。
「魔力は足りてるか?」
「ああ、魔石に溜め込んでるのも使って何とかな」
だいぶ吸うようだ。此方の髪は赤より暗く、紫が強い。
「ルビー…」
「ルビー?短い名だな」
「リュベーリアちゃん、なんてどうです?ルビーちゃんは愛称で」
「それで構わん。我が子は我が子、可愛い我が子だ」
リュネの助言でリュベーリアに決まった。よろしくルビーちゃん。
「カケル~」
そしてネーヴェの子。この子は顬に生える小さく透明な角と明るいピンクの髪ですぐ分かる。
「…ナデシコ」
「なで、しこ?」
「また短い名だな」
「ナデちゃん?ナデコちゃん?」
「キレイな花の名前なんだ」
「ん、それでい」
ナデシコちゃんに決まった。略称はその内勝手に呼ばれるだろ。
最後にリュネの子だ。一人だけ男の子で、髪色も違うので一目で分かる。起きては居るのだが泣く事も無く、モゾモゾしながらまだ見えぬだろう目でキョロキョロしたり、ふーっと息を吐いたりしてる。楽しいのかな?
「カケルさん、お願いしますね~」
白く見えた細い猫っ毛は、よく見ると金髪だ。一番難しいぜ。
「……ゴ…ルド、シャイナー」
「捻り出しましたねぇ。ゴルドシャイナー、ゴルド、ゴルシ、どれも良いわぁ~」
母がお気に召したようなのでゴルドシャイナーで決まったが、だいぶ厨二な名前だな。
名前が決まり、四人の我が子を一人ずつ抱いて名前を読んでやる。リュベーリアだけはおっぱいなうなのでリーム毎抱き締めた。
夜の部を終えて本日の業務が終了すると、直ぐにカロ邸へと向かう。本来なら夜になって訪問するのは失礼に当たるのだが、愛娘の願いは聞かねばなるまい。
今更知ったのだが、道路に面した鉄の門扉は《感知》の魔道具らしい。俺が門前に立ち、《威圧》の手でアルネスの尻でも揉んでやろうかと考えていた所、間を置かず玄関のドアが空いてランタンを持ったアルネスが出て来たのだ。で、聞いてみたら魔道具の門扉だったと。
「お高いのでしょう?」
「値段は分かりかねますが、無いと困りますからね。所で今宵はどうなされたのですか?」
「宰相夫人が逗留してると聞いてな。カロやお前が疲れては居ないかと心配になったんだ」
「お心遣い、感謝致します。奥様にも労いの言葉を掛けてあげて下さい」
玄関を通されて、客間に向かう。夫人達は客室なのかと思ったら、シンク以外は全員揃ってた。ソファーに座る夫人とニーネンタールはお茶を飲み飲み寛いで居る。女騎士が立ってるのは仕事だからとして、何故カロ迄立ってんだ?
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