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ハハーッ
しおりを挟む「おお~、とうめ~」
俺の魔力も入ってるから少しは濁ると思ったが、ガラスのように透明な角が小指の爪の半分程顔を出していた。俺の魔力は髪に行ってるようで、細い髪の毛はピンク色に見える。女の子だから問題無い…か?助平キャラにはなってくれるな。
「かわいい…。これが、カケルと、私の子…」
「ギャフッギャアウー」「アギャア」「うええ」
リュネの子以外の三人が、龍語と人語で泣きあって、ママのお乳にしゃぶり付く。リュネの子は、まだよく見えぬ目で母をじっと見詰める事で察してもらっていた。
「旦那さん、私等は明日の様子を見て引き上げるよ。何かあったら直ぐに声掛けとくれよ?」
今夜は寝ずの番をして、明日の午後には帰るそうだ。施設の開放は明後日からになるな。シャリー達にその事を告げて、店開きの告知と準備をお願いした。
産婆達が帰り、リュネ達母子が島に帰り、部屋の片付けを終えた翌日。施設の前には何時もに増して列が出来ていた。
「二列になって並んでくださーーい」
「最後尾は此方でーーす」
「料金とチケットを交換しています!玄関で払うより早く入れますので、ご協力お願いします!」
皆待ち望んでいたようだ。毎日風呂に入る習慣が無いからこそ、折角だから入ってやろうって事なのだろう。客層は見た感じ全て街の人で、冒険者の姿は見られない。今日から夜の部が始まるので其方に集中するのかも。
そこにガラガラ音を立て、二頭立てのホルスト車が寄って来る。護衛にホルスト四頭。噂を聞き付けた貴族だろうな。
「そこの男、退くが良い」
一人の鎧が前に出る。フルフェイスで籠って居るが、女の声だろう。対応も丁寧で、良く躾られているとは思うが、言ってる事は割り込みさせろ、だ。
「まだ開店時間になって居りません。それに皆が並んで居ります」
「この紋章が目に入らぬか?此方に御座すは宰相夫人とご息女なるぞ」
更に一人が前に出て、胸に刺繍された紋章を見せ付ける。ハハーッと平伏したくなる台詞だが、《透視》で分かる、たわわが二つ。
「紋章で誰か迄は予想も出来ませんね。宰相殿のご家族でしたか。其方の空き地でお待ち頂ければ、一オコンせずにお呼び出来ます」
「閣下に対して不敬だぞ?」
「直ぐに道を開けよ、と言っている」
二人が斜に構えると、並んだ女が囁いた。
「カケル様、あたし等は良いから」
「お客さんに貴賎は付けないんだがなぁ」
「どうせ直ぐ出るさ」
「否、ダメだ。俺に勝てたら優先的に入れてやる。そこの空き地で相手をしてやろう」
「っ!奥様っ」
「ふう、好きになさい。車を空き地の端へ」
馭者が応えてホルスト車が移動する。奥様とやらは分かっているな。結局並ばされると言う事を。釣られた二人はホルストを降りて抜剣し、バットを振る俺に対峙した。
「合図を出さねば戦えないとは、それで主を守れるのか?」
「減らず口をっ、先に出るっ」「ああっ」
正々堂々?それで勝てるなら問題無いが、フルプレートで走る様は、遅い。フルプレートの長所は数を揃えた威圧感と物理的な壁だ。大人数で囲って槍でも出してれば普通の者なら負けを認める事だろう。だが一人、長剣を担いでガチャガチャと走る様は下っ端冒険者でも勝てそうである。
「であっ!」
剣の重さで振り下ろす。これならスキルも要らないな。体を落とし、前に飛び出て両腕の間に顔を突っ込むと、両肩に女の両腕を掛けて手で押さえる。女の足の内側稍後方に足を据え下がれないようにして体重を掛けて後ろに反らせると、踏ん張る事しか出来無くなり、攻撃手段も無くなった。
「魔法は誤爆すると危ないから使わない方が良い。補助や妨害は自由に使って良いぞ?スキルは無いのか?」
「う、動けん…っ!このっ!」
力無く当てられる剣では傷も付かんよ。そもそも斬る為の剣では無いからな。ゆっくり地面に落としてやる。
「これでお前は犯された。俺の勝ちで良いな?」
「くっ!殺せっ!」
初めて生で聞いた!
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