1,032 / 1,519
仕込んでやがる
しおりを挟む「カケルさん、その服ではまた舐められますよ?良かったらコレ、着ませんかぁ?」
「それは」
それは以前着てリュネに返した、《龍化》して《人化》した時の服だった。
「それ、少し大きいだろ」
「サイズは直せるので大丈夫です。それに、おちんぽ様も下向きですからねぇ~」
成程。勃ってなきゃ何とかなるのか。狭い車内で全裸になって、褌と服を身に着ける。靴と篭手と、メットを被って準備良し。だがホルスト車から降りて、面を外せと言われてしまった…。
「武器も外せ」
顔を晒すと今度は武器を出せと言う。手ぶらなんだが見て分からないか?暗器みたいな物を出せってんなら、それこそ脱がねば分かるまい。
「鍛え上げた肉体は外せないな」
「ならば縛り付けても良いんだぞ?」
「魔道具なら縛れるだろうな」
「そうか。ならば待つが良い」
「お待ちなさい。此方は私が連れの者。何を咎める事がありましょうか」
イゼッタやリュネ、メイド達はスルーなのに俺だけ絡まれるのを夫人がフォローしてくれる。スキルを抑制する魔道具でなきゃ俺は縛れんと思うので、試しに縛られてみるのも良かったが、罪人扱いされるのは嫌だな。
「はぁ。伯爵様には敢えて申し上げますが、剣も提げずに来る護衛程、怪しい物はございませんぞ?」
「成程。気を利かせたのが裏目に出たか」
「此処迄の道中、魔物も不埒者居りませんでしたものね」
「否、会敵する前に倒してたんだ」
「やっぱり。静かだと思った」
「ふふっ、人の子?カケルさんは強いですよぉ?ドラゴンをヤれるんですから」
「…承知しました。衛兵から離れず同行されますよう」
前に城のメイド、後ろに衛兵が二人付いて前室っぽい部屋へと案内される。要は待合室だ。歩いて入るのは初めてだな。メット被ってりゃキョロキョロし放題なのに。無心で着いて行き待合室へ。レディーファーストで座らせて、世話役の淹れたお茶を飲む。…が、何か仕込んでやがる。《鑑定》では自白剤と出た。
「リュネ」
「はぁい、終わりました。お代わりくださぁい」
自白剤とは言うが、効果の弱い成分だと思う。気を抜いたらうっかりポロッと言ってしまうような、そんな感じだろう。リュネに頼らず俺の《解毒》で充分だったな。
お茶を頂き、暫くして呼び出しが掛かり、メイドと衛兵に挟まれて、謁見の間へとやって来た。
「カケル様、リュネ様。私の真似をしてくださいましね?」
一応俺、謁見の経験はあるんだぜ?けどそれはそれなので夫人の真似して片膝着いた。
暫く間が空いて、向かいから何者かがゾロゾロと入って来た。感覚で王と宰相は分かった。分からないのは多分王妃と護衛かな?
「面を上げ…まさかっ」
「久しいですね、人の子等よ」
声の主が焦りの声を上げ、横に居た巨乳が立ち上がる。
「いっ!椅子を持て!全員分だ!早くっ!」
今度は宰相が声を上げ、騎士の一人が走って出て行った。
「龍になって以来だな。声は覚えているか?」
「声は分かりませぬが、魔力で見えております。あの時の龍…、カケル様でしたな」
宰相が跪いて答える。
「あ、あの!?どうなされましたの!?王様に宰相様が膝を落とすなんて、ならぬ事でしてよ!?」
「夫人、俺とリュネは一度謁見した事があるんですよ」
「まさか、以前に現れたドラゴンとは、リュネ様で…?」
「私じゃありませんよ。カケルさんです」
「カケル様が、ドラゴン…」
「紛い物だけどね」
メイド達が椅子を持って来て腰を下ろすと、宰相は騎士や衛兵を部屋から追い出した。
「リュネ様、そしてカケル様。我等はあれから平和を旨として治めて居ります。何か至らぬ所がございましたでしょうか…」
「無闇に戦争しなきゃ気にしないよ。今回は別の用で来たんだ」
「はは。何なりと」
「貴方、お待ちくださいませ。私やミシュルキーが聞いてもよろしいお話なのかしら?」
対面側に座る婦人、多分王妃が王に口を出す。王と宰相がリュネを見て、俺を見る。
0
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる