女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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仕込んでやがる

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「カケルさん、その服ではまた舐められますよ?良かったらコレ、着ませんかぁ?」

「それは」

 それは以前着てリュネに返した、《龍化》して《人化》した時の服だった。

「それ、少し大きいだろ」

「サイズは直せるので大丈夫です。それに、おちんぽ様も下向きですからねぇ~」

成程。勃ってなきゃ何とかなるのか。狭い車内で全裸になって、褌と服を身に着ける。靴と篭手と、メットを被って準備良し。だがホルスト車から降りて、面を外せと言われてしまった…。

「武器も外せ」

顔を晒すと今度は武器を出せと言う。手ぶらなんだが見て分からないか?暗器みたいな物を出せってんなら、それこそ脱がねば分かるまい。

「鍛え上げた肉体は外せないな」

「ならば縛り付けても良いんだぞ?」

「魔道具なら縛れるだろうな」

「そうか。ならば待つが良い」

「お待ちなさい。此方は私が連れの者。何を咎める事がありましょうか」

イゼッタやリュネ、メイド達はスルーなのに俺だけ絡まれるのを夫人がフォローしてくれる。スキルを抑制する魔道具でなきゃ俺は縛れんと思うので、試しに縛られてみるのも良かったが、罪人扱いされるのは嫌だな。

「はぁ。伯爵様には敢えて申し上げますが、剣も提げずに来る護衛程、怪しい物はございませんぞ?」

「成程。気を利かせたのが裏目に出たか」

「此処迄の道中、魔物も不埒者居りませんでしたものね」

「否、会敵する前に倒してたんだ」

「やっぱり。静かだと思った」

「ふふっ、人の子?カケルさんは強いですよぉ?ドラゴンをヤれるんですから」

「…承知しました。衛兵から離れず同行されますよう」

前に城のメイド、後ろに衛兵が二人付いて前室っぽい部屋へと案内される。要は待合室だ。歩いて入るのは初めてだな。メット被ってりゃキョロキョロし放題なのに。無心で着いて行き待合室へ。レディーファーストで座らせて、世話役の淹れたお茶を飲む。…が、何か仕込んでやがる。《鑑定》では自白剤と出た。

「リュネ」

「はぁい、終わりました。お代わりくださぁい」

自白剤とは言うが、効果の弱い成分だと思う。気を抜いたらうっかりポロッと言ってしまうような、そんな感じだろう。リュネに頼らず俺の《解毒》で充分だったな。
お茶を頂き、暫くして呼び出しが掛かり、メイドと衛兵に挟まれて、謁見の間へとやって来た。

「カケル様、リュネ様。私の真似をしてくださいましね?」

一応俺、謁見の経験はあるんだぜ?けどそれはそれなので夫人の真似して片膝着いた。
暫く間が空いて、向かいから何者かがゾロゾロと入って来た。感覚で王と宰相は分かった。分からないのは多分王妃と護衛かな?

「面を上げ…まさかっ」

「久しいですね、人の子等よ」

声の主が焦りの声を上げ、横に居た巨乳が立ち上がる。

「いっ!椅子を持て!全員分だ!早くっ!」

今度は宰相が声を上げ、騎士の一人が走って出て行った。

「龍になって以来だな。声は覚えているか?」

「声は分かりませぬが、魔力で見えております。あの時の龍…、カケル様でしたな」

宰相が跪いて答える。

「あ、あの!?どうなされましたの!?王様に宰相様が膝を落とすなんて、ならぬ事でしてよ!?」

「夫人、俺とリュネは一度謁見した事があるんですよ」

「まさか、以前に現れたドラゴンとは、リュネ様で…?」

「私じゃありませんよ。カケルさんです」

「カケル様が、ドラゴン…」

「紛い物だけどね」

メイド達が椅子を持って来て腰を下ろすと、宰相は騎士や衛兵を部屋から追い出した。

「リュネ様、そしてカケル様。我等はあれから平和を旨として治めて居ります。何か至らぬ所がございましたでしょうか…」

「無闇に戦争しなきゃ気にしないよ。今回は別の用で来たんだ」

「はは。何なりと」

「貴方、お待ちくださいませ。私やミシュルキーが聞いてもよろしいお話なのかしら?」

対面側に座る婦人、多分王妃が王に口を出す。王と宰相がリュネを見て、俺を見る。










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