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殺しの道具
しおりを挟む戦車の原型を練り練りして夕飯の時間。食堂へ向かうとネーヴェにテッチー姉妹にティータそしてバジャイが既に居た。俺は母屋の玄関に居たので他の場所から入ったようだ。話を振ろうと思ったが、お友達同士でキャイキャイしてるので口を挟むのは憚られる。食事が終わり静かになったのを見計らってネーヴェに声を掛けた。
「ダメ」
開口一番否定された。まだあのしか言って無いのに。ネーヴェの事だから俺の考え等お見通しなのだろう。そうなるとゴーレムでの防衛は見込めないか。
「ネーヴェちゃん、カケル様の話聞いてあげなよ」
「聞かなくてもわかる」
ラッテが間に入ってくれるがやはりダメなモンはダメなようだ。
「カケル、殺す感じがする」
「分かるか。守る為には殺らねばならん。他の手も考えたいんだがな」
「カケル様、もしかして戦争行くの?」
「惜しいな。攻められそうだから守りたいんだ」
ティータの言葉に食堂が静まり返った。俺は否定したが、防衛出来ねば戦争に参加しなければならないだろう。
「貴方様?相手は何方です?」
「カケラントの隣国だよ。陸路は立派な壁があって移動出来無いだろうから、南北の海から攻めて来そうって」
「放って置けば好きなだけ前線を構築されてしまうだろうな」
国政に近い者達の言葉に俺は同意する。広い海岸線全てを守るなんて出来ないのだ。精々海岸や砂浜等、出入りし易い場所を守るのが関の山だし、それだけ人を割ける程、カケラントの手は余っていない。
「ゴーレムは友達。殺しの道具にはさせたくない」
「そうだな。ごめんよネーヴェ」
撫でて抱き締め更に撫でる。
「主様よ、そんな事なら我等を使えば良いだろう?」
「愚妹よ、解らんか?」
「私達がフーってしたら、人の子が減ってしまいますよ?ゴーレムも同じ。過ぎたる力は身を滅ぼします」
リュネの言葉もあるが、龍を戦線に出したく無い。人が背負うべき罪を、龍に背負わせたく無いからだ。だがゴーレムも同じだと気付かされた。龍の力の一端だからな。やるなら人の手だけで作らねばならん。
「出来るだけ穏便に、戦争するか…」
「ん…、見てる」
俺の呟きに反応出来たのは、抱き締められてるネーヴェだけであった。
所用で少し間が空く。干し肉でも食って待つべし。
朝のお勤めで弥一の家を覗きに行って、質問書を《収納》し書置きと干し肉を置いた。トカゲの肉だ、有難く食うが良い。その場でカケラント上空に座標を固定し《転移》する。《白昼夢》の使用中は地球からシルケに飛ぶのも一瞬か。
「カケル様」
「「「お帰りなさいませ、カケル様」」」
「また来たよ」
「それで、進展の程は?」
エンメロイとメイド達が迎えてくれるテラスに降り立つと、エンメロイが進展を急く。
「今からお話し合いして来るよ」
「此方から打って出ると?」
「攻めて来んなって言いに行くだけだよ」
「…それが一番ね、話が纏まるなら。けどその格好じゃあ、話し合う前の問題ね。服を用意させるわ」
「「「承りました」」」
ゾロゾロとメイド達が中に入って行き、俺とエンメロイもそれに続く。借り物のコートじゃ流石に城には行けないか。
稍あって、メイド達が服を持って来た。
「コレってさ、皇帝が着てたヤツ?」
「丈は詰めてあるわ。何時着ても良いようにね」
「それが今ってか」
「おちんぽ様は隠せないけど、布でも巻きます?」
「萎えさせるから問題無い」
久しぶりにアイツを萎えさせる。萎えるのなんてぶっ倒れた時以来だが、ゆっくり休むが良い。女達が明らかに残念な顔してやがる。ズボンを履いて、ムクムクさせると視線が刺さるが、遊んでも居られない。煌びやかなスーツを着込んだエンメロイを抱き寄せて《転移》…はまだ怖いので止めておこう。テラスに出ると、UFOを出して乗り込んだ。
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