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ギュッてしたかっただけ
しおりを挟む「どうしたリュネ。寂しくなっちゃったか?」
「寂しくなっちゃいましたぁ~」
ふよふよと飛んで来たリュネが俺の胸に収まって、ゆっくりと浴室へと押し込められる。良い寄り切りだ。
「よーしよしよし。手伝いに来てくれたのかい?」
「違います~。ギュッてしたかっただけですぅ」
違うのか。
「此処はお風呂ですね?」
「階段作って上に繋げて、脱衣場と休憩室を仕切る所だ」
「待ってますから、頑張ってくださぁい」
リュネをお姫様抱っこしながら作業するのか…。《強化》を掛けて作業再開。煉瓦の壁で脱衣場となる空間を確保し、出入口の穴を開け、天井を乗せる。此処にも落下防止が必要だな。
脱衣場の天井の真ん中に丸い穴を開け、螺旋階段を付ける。円の中心に芯となる円柱を挿して、周りに扇形の足場をくっ付ける。
「こんな感じでどうかな?」
「内側の足場が少し狭いですかねぇ」
「外周をもっと取るべきだな」
って事でやり直し。円を大きく、芯を太く。芯を彫り込んで手摺りや灯り置きのスペースを作る。足場を下から三角で補強し良い感じ。
「外側にも手摺りが欲しいですね」
「無いと落っこっちゃうもんな。手摺りはいろんな所に付けなきゃならんから、後で材質を変えて作ろうと思ってるんだ」
「キレイなのを付けたいですね、ふふっ」
次は休憩室の壁。これは個室と大部屋があるので先ず大部屋とその他を区切る壁を立てる。
「その厚みで個室の壁を作るのは勿体無いですねぇ」
「板壁で良いよな。密室にする必要も無いし」
十字に切り込んだ角材を沢山用意して、通路と個室になる場所に置いて行く。その上に壁となる板を差し込み立てて行った。角材と板を癒着させ、入口の穴を切り取ったら個室の完成だ。
「暗いな」
「灯りが欲しいですね」
「薄ぼんやり、くらいの明るさで良いかもね」
「クリスタルを光らせた時みたいにしたらキレイですねぇ」
「だな。浴室もソレにしよう」
浴室へ向かい、先ずは浴槽。十ドン程の段差を付けて、下に彫り込む事にする。段差から二十ドンずつ彫り込んで三段。六十ドンの深さの浴槽になった。仕切りとなる壁を付けて、もう一段掘って此方は深さ八十ドン。肩迄浸かりたい人用だな。
「お湯はこっちの深い方から、ですかね?」
「だね。毎回お湯の出入りは考えさせられるよ」
洗い場の水周りが一番難儀する。シャワーも蛇口も無いからだ。薄い壁を立て、その裏表に湯溜まりを作る。使う頃には生温くなってそうだ。
「お湯に《浄化》を付与すれば、洗う手間も無くなりますよ?」
「それ、人溶けない?」
「大丈夫でぇす。床も浴槽も、お尻だって溶けてませんでしょう?」
確かにな。それなら病気持ちでも浴槽の中で治療出来てしまうって訳か。何その万病の湯。
「それなら洗い場も要らないか」
「ですねぇ。椅子等作って、お茶でも飲めるようにしたら如何です?」
「喉乾くもんな。浴用のとは別水源にしたいけど」
「それこそ、魔道具で足りますよね」
「そうか。一々作らなくて良いよな」
洗い場用地は放置して、最後に排水を考える。浴槽の段差の縁の床を二十ドン程の幅で基礎の底までスカスカにした。逆止弁が無いから水が上がって来そうだけど、取り敢えず嗅いでみても匂いは感じなかった。各浴槽内に一ヶ所ずつ同様の穴を開け、此方には隙間のある蓋を付ける。
「お風呂はこれで良いみたいですね」
「リュネのおかげだよ」
「口しか出してませんよぉ」
「直ぐにでも抱きたい。けどもうちょいな」
「うふふ、来た甲斐がありますぅ」
その後、厨房に食堂、居住区の階段等基礎となるパーツを取り付けて昼になった。昼飯に現れたリュネを見て、アルネスが泡食って用意してた。済まない事をしたな…。イチャイチャして時間を稼ぐから頑張れ。
疲れた心におっぱいが染みる。リュネのおっぱいを堪能し、昼食を頂いた俺とリュネは再び作業現場へ。
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