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俺専用

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 今日は家で仕事するぞ。とは言え先ずは仕事をする前の作業である。朝食を終えた俺は新居の居間で自分用の家具等を作る。

「カケル様、家具ならあたしが」

「自分で使う物は自分で作らにゃな。それに今から作るのは製図用の机なんだ」

テイカが名乗りを上げるのを断った。少し寂しげな目をするが、使った事ある者じゃ無いとアレの構造は解らんだろうしな。

「製図…、地図でも描くのでしょうか」

「家の設計図を描くんだよ」

「それでは、お茶をお淹れしますね」

テイカがローテーブルでお湯を沸かし、俺は作業を開始する。先ずは椅子。コレが無いと話にならん。普通の四脚の椅子の骨組みを作って板張りする。此処迄は普通の椅子だ。座板と背板に厚い雑木マットを貼り付けて座り、表面を少しだけ固めると、体がすっぽり収まる座面と背面が出来上がった。柔らかいままでも良いが、今回は俺専用なのでコレにした。

「椅子ですね」

「俺の体に合わせた椅子だよ」

お茶が淹れられ小休止。椅子の座り心地を確かめながら一息付いた。
次は机、勿論此方が本命だ。俺には切っても切れないアイツがそそり立って居る。普通に甲板こういた等を付けると机が妊娠してしまうので、その辺り工夫しなければならない。

 雑木をコの字に整形する。横にすれば普通の机や棚になるが、コの字の空いた部分に脚が収まる事となる。横にして、上下を切り取るように《収納》すると、上下平行な側板となって《収納》された。しかし、床に置くと床の歪みでガタ付きが。階段の時同様、床も直さなきゃならんな。
甲板も先程と同様に雑木板を削ぐように《収納》して平行な板にする。これは平行よりも、鉋掛けしたかのようにツルりとした板面が欲しかったからだ。そして甲板の手前側に、落下防止として細い角材を切り出して貼り付けた。甲板上面は取り敢えずこれで良いだろう。

「座ったら、当たってしまいますね。誰かが入って抑えてないと…」

「それはそれで唆る提案だな。出来上がったら試してみようか」

「是非とも」

テイカがチラチラ見ているが、仕事が終らないとそれも出来無いので作業を続ける。
甲板を持ち上げる機構は、前後二方向に作りたい。片方は作業し易くする為、もう片方は座り易くする為だ。ツーバイフォー材みたいな薄板を、側板の幅に合わせて角を丸めて切り出して、甲板を乗せた側板に合わせてみる。…これ指挟んだら痛いな。指をツメないように、側板に切込みを入れて怪我対策。ネジで締めこんで固定ってのが出来無いのが辛いぜ。それに薄板だけだと押したら歪みそうだ。側板に凹みが入ったので梁を渡して歪み対策とした。梁の分、更に側板を削り取った。
梁渡しした昇降装置を側板と甲板に取り付ける。手前側は側板と、甲板側はD型に整形した材を取り付け、鉄棒を挿して可動出来るようにした。

「完成ですか?」

「まだ半分って所だな」

座る時に持ち上げる機構はこれで良いが、作業する時の留め具がまだ無いのだ。
側板の奥面に窪みを付けた角材を縦に等間隔で貼り付ける。丸棒と角材で目のような形の留め具を作り、先程作ったD型材で止めて可動させ、固定具合を確認。フレキシブルな角度調節は出来無いが、ネジの無いシルケではこれで充分な出来だと思う。

「完成ですか?」

「否、まだだが…。気になる所があったら意見を頼む」

キコキコ鳴らしてテイカが機構を確認し、持ち上げたりして見回すのを、冷めたお茶を飲んで待つ。

「重いですね。それと、角が少し当たります」

「肉抜きと面取りな」

側板の、底面以外の角を面取りし、四隅が残るよう、強度を保てる程度に肉抜きを施し、此方も面取り。

「色はどうなさるのですか?」

「色?気にしてなかったし、直ぐ使うつもりだったから考えても無かったよ」

「そうですね。直ぐに試しましょう」

机の下に潜ったテイカよ。まだ作業は残っとるんじゃ。
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