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俺達は見学
しおりを挟む「ぐへへ…」「ひひっ」「へっへっへっ」
サミイとカラクレナイを囲んだつもりのこの生き物共は、大体このような汚い鳴き声を発しながら安っぽい剣をチラつかせる。
「一応聞きますけど、野盗ですか?」
「臭いの。風呂入れなの」
何事か喚いて剣を振り翳し、二人に寄って来る野盗に、サミイは臆する事無く剣を抜き、野盗の得物毎胸に一文字を刻み付けた。そして燃え上がり、倒れる。これはカラクレナイか。
「カララさま。顔は焼かないでくださいね」
「うんなの」
顔だけ消火したようだが、これはもう遅い。まだ息がありそうなので、こっそり顔だけ《治癒》しといてやろう。
「な!?何だ!?」「いきなり燃えやがった!」「魔法だ!アイツは殺っ…」
カラクレナイを殺せと言おうとした汚い奴が、消えた。リュネよ、俺達は見学だったんじゃ無いのか?
カラクレナイが手足を燃やし、サミイが魚を捌く程度の落ち着きようで野盗を斬り捨てる。十一人居た野盗の群れを二人で十人屠って見せた。
「旦那さまぁ、洗ってくださ~い!」「カララもなの~!」
返り血で汚れたのはサミイだけだが、カラクレナイもと言うのであれば是非も無し。二人を《洗浄》し、序に洗った汚物をサミイが《収納》する。いきなり剣が出たとは思ってたが、《収納》関係を手に入れてたのか。
「剣が使えるのも凄いと思うが、サミイの《収納》はスキルか?」
「え?マジックバッグですよ?スキルなんてそう簡単に出て来ませんし。剣はギルドで習いました!」
「…俺も、習うかな…」
「主様には必要無かろう」
「旦那様は横振り一閃を極めるべきだろうな」
「棍棒もありますしね、ふふっ」
持てるだけの汚物をサミイが仕舞い、足りない分はカラクレナイが《収納》する。因みに此方はスキルだそうな。
「旦那さま、こう言う時って、どうすれば良いんでしょう?」
サミイが先輩冒険者の俺に質問を投げ掛ける。要するに、一旦戻るか更に探すか問うているのだろう。決して笑うのが答えでは無い。
「リュネ、俺が探すのはダメなんだろ?」
「そうですねぇ。それではサミイさんの力が伸びませんね~」
「だよな。なら、昼飯時迄探したら帰ろうか」
「カケル、どして昼までなの?」
「暗くなると危険度が上がるし、ギルドが混む前に処理を終わらせたい。夕飯と風呂も、子供達だって待ってるだろ?」
「ですね!帰ってママしないと!」
異論は無かったようで、更に進む。野盗が来た方向に探索範囲を伸ばしたが、昼飯休憩迄に更なる獲物は現れなかった。
「ここまでだな」
「はい。残念です」「十匹殺れたし、じゅ~ぶんなの」
食事も終えたしさて帰ろう。街道に戻る俺達の周りにあった野盗のアジトはリュネが消してしまったようで気配が消えていた。
成程。それでこんな依頼が受理されたって訳か。サミイ達は自力で出来るだけ依頼をこなし、それ以外の脅威をリュネ達が消して行く。サミイ達のランクが上がらないのはカロ辺りが気を使って上がり過ぎないようにしてると思われる。依頼内容について、カロは口を出さなかったし、ブフリム殺って貢献度が足りないってのも疑問だったからな。
歩いて歩いて街に着き、ギルドの解体場にて死体を転がす。二人が殺った分だけだ。査定は明日以降って事で外に出て、寝具店経由で島へと戻った。
「風呂に入って少し休め。俺も仮眠する」
「は~い」「あ~い」
お風呂でイチャイチャ寛いで、ぺろぺろちゅっちゅからのしっぽり。仮眠から明ける頃には夕方になっていた。
「あ、そうだ。ママの耳に入ってましたよ?土地の事」
「流石は家政婦組合か」
街の中で土地を買うのは珍しいからだろうな。
「家が出来るの楽しみにしてるって」
多分だが、目的に感付いてると思われる。俺だって楽しみだ。
「早く買い取って建てたいよ」
「おっきいお風呂ほしーの!」
「そうだな。みんなで入ろうな」
設計、そろそろ描き起こさなきゃな…。
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