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逃げろ
しおりを挟む《結界》が解かれ、勢い良く飛び出して来る雑魚共に、目の前で見ている筈なのにチンたらトロトロ構えだす雑魚四人。当たり前だが被弾する。
「死にたくないなら戦え~。お前等が死ねば直ぐ帰れて楽なんだけどな~」
「おい…」
一人が脚をヤられた。致命打だ。食らった馬鹿は回避出来無い回避盾。右脚のラグエルである。
「それでジョンの右脚になれるんかぁ?それ逃げろ逃げろ~。こっち迄逃げて来~い」
ラグエルの近くに居たドアップが敵との間に割り込んで、二対一の不利の中ラグエル撤退の隙を作った。
三本足で逃げ帰って来たラグエルに、止血程度の《治癒》を掛ける。
「回復が居て良かったなぁ?お前がヘマこいたおかげで盾が死にか掛けてんぞ?連携はどうしたよ。死ぬ迄見てたいなら構わんが、死なせたくないなら練習の成果を見せてみろ」
「くっ…くっそおおお!今行くっ!」
「おうっ…っあっ」
気を抜いて斬られてやがる。…かすり傷だし後で良いか。
前衛二人は四対二で防戦一方。二人して剣を振り回して敵の手数を減らしては居るが、戦術も戦法もありゃしない。
振り回される剣の隙を見計らい、槍を突き出す犬顔に、俺の直球ストレートがめり込み煙に変えた。
「後衛が居て良かったなー?お前等盾職でもねーのに足止めしか出来んのか?魔法職はお前等なんかよりずっと高威力の攻撃が出来んだ。休み休み行くなら足の速さなんて関係ねー。さっさと殺して盾の援護行けや!」
「うううううっ」「ちくしょーっ!」
右腕のサムに左脚のミッデラン。馬鹿なりに突っ込んで槍の間合いを殺し、二匹の雑魚を煙に変えた。そしてサムは煙の中から飛び出して来た槍に突かれて鎧毎腹を貫かれた。
「サムッ!?」
「放っとけー。優先順位を忘れんな」
「くっ!待ってろ!」
ミッデランが盾職二人に合流し、三対二の有利を取ると、ドアップが一匹と対峙し時間を稼ぎ、残る二人で一匹を煙に変える。残る一匹もボコにして、戦闘は終わった。
「みんな!大丈夫か!?」
「「サム!」」「傷は!?」
「平気だ。治してもらった…」
「集まれー」
俺の号令で集まる四人を回復し、臭いので《洗浄》する。
「後衛に支援。どれくらい重要に感じた?」
「……」
「あんたにヤられてなきゃあんくらいっ!」
「元気そうなら次行こうか。回復したし、六匹くらい行けるべ?」
「「「「なっ!?」」」」
《結界》を攻撃するのを諦めた雑魚達が、殺意の高い目で此方を見ている。
「こんなんやってられっか!」「ズラかんぞ!」
逃げられると思っているとは、脳味噌に何詰まってんだか。《結界》に突進して引っ繰り返る馬鹿共を確認し、敵側の《結界》を解いてやった。
結果、一匹も倒せずボコボコにされた。
「ぷふ。回復したのが無駄になったな。俺にヤられてなくてもダメだったじゃん」
「い、痛てぇよぉ…」
「目が…目がぁ…」
「出るな、出るなよ…」
「母ちゃ…ん…」
「回復要るやーーつ」
皆、回復の重要性を思い知ったようだ。
「カケル、マジ引くわ…」
「解らせるんだろ?生半可じゃダメなんだよこう言うのは。ガキ共、次は後衛の重要性を理解してもらうぞー」
「うっ」「もう帰りてぇ…」「勘弁してくれ、ください!」「もう殺さないで…」
一度も殺して無いだろが。
「死にたくないなら指示に従え。良いな?」
「「「「おう…」」」」
とっとと立たせて下へと向かった。
「此処には来た事あるか?」
「無ぇ…無いです!」
前の階で逃げ帰ってたので挑戦した事は無いようだ。戦う前に訓練の説明しておこう。
「後衛が敵を痛め付けたり減らしたりしたのを確認してから前に出る。理解出来るな?」
「先に出たら撃たれる…ですよね」
「そうだ。戦闘中も撃つ機会を狙ってる。射線に立つと死ぬぞ?俺なら一撃、お前等程度の力なら隙になって敵に殺られる。射線に立たない事を意識して殺り合え」
「「「「おうっ」」」」
敵を見付けて足が止まり、先ずは俺が敵に一撃。脚や腕にハンデを負わせて戦闘開始となる。
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