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あまり見た事無い

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 ミスリル金銀銅とインゴットにして、昼飯挟んで日が暮れた。

「カケル様、夕飯の支度が出来ました」

テイカが飯を告げに来て空腹な事に気付く。銅はまだまだいーっぱいあるし、次の機会で良いだろう。尻を撫で撫で食堂に降りた。

「ノーノや。ちとこれを見てくれ」

  「はぁ」
食後のお茶を飲みながら、片付けに勤しむノーノを捕まえて、ダンジョン産のデザイン違いの硬貨を見てもらう。

「なんぞ?」

「ミスリル貨に金貨ですわね」

「旦那さま、なんかこれ、大きさ違いませんか?」

大きさも違ってたのか。妻達の見守る中、バルタリンドの金貨を出して比べてみるが、俺にはその差が分からない。きっちり円柱って訳じゃ無いからだ。重ねてみて、誤差に気付く。厚い…かな?大きい…の?

  「ダンジョンで拾われたのですか?」
賢者ノーノもダンジョン産の硬貨には明るくないようで、あまり見た事無いそうだ。まあ城勤めしてればさもありなんか。逆に、見た事無い事でダンジョン産だと気付いたと。

「鋳潰しても大丈夫だろうか?」

  「問題無いかと。検知魔法も掛かって無い筈です」
以前バルタリンドで王金貨に纏わる一件の時に聞いた話だが、銀貨以上の硬貨には検知魔法なる物が掛けられていて、一般には分からないが幾つかの効果がある。全体的には真贋が分かる事。ミスリル貨や王金貨はそれに増して所有者の管理が出来る。なのでこれ等高額貨幣を傷付けたりしようとすると、国から役人がすっ飛んで来るらしい。そして無くしたら首が飛ぶ。
因みに、ダンジョン産の硬貨も一応は使えるそうだが、ノースバーみたいにこの柄じゃ無きゃダメって場所もある。品質管理を徹底してると言えよう。

「確かに。ダンジョンから憲兵が飛んで来たらビックリだな」

「ウラシュ島で使うのですか?」

シャリー鋭い。が、惜しい。

「このままは使えないんだよ。ダンジョン産だから拾えるなら幾らでも増えちゃうし」

「価値が変わってしまいますね」

「そゆこと。ノースバーからお金を輸入するのが楽なのだよ」

「ウラシュ島民の賃金の話になりますが、粗方金銭での支払いに変わりました」

「粗方なのは?」

「家で食べる用にと、現物を少し持って行く事があります」

味の研鑽を積んだり新しいレシピに挑戦してるのだそうだ。

「職員割引にして売ってやれ。それで満額払えるだろ。それに、ギルド証みたいな感じの社員証でもあれば不正も減るだろうな」

「それなら好きな時に買えますね。考えてみます」

「主様、序なのだが、また外の建物を増やして欲しいのだ。手伝ってはくれまいか」

港街の外に街が出来つつある。街の外から何らかのの手段で持ち寄った色々な商品を、水や食料、最近では金銭で交易しているそうだ。
そして交易が盛んになると人が増える。前回作った建物では足りなくなったらしい。

「分かった。偶にはあっちでゆっくりしよう」

「カララも行くの」「私も」

カラクレナイとネーヴェが同行すると言うが、多分現地で別れるのだろうな。


 翌朝になり、準備を整え小島に向かう。カラクレナイとネーヴェに通勤のミーネも同行した。仕事があるのでリームは先行したが、城に着くとエントランスで待っていた。
ミーネと別れ、街へと向かい、カラクレナイとネーヴェは此処でお別れ。子供達とゴーレムで遊ぶそうだ。衛兵詰所に居たボーデンフェルトを連れ出して、外周の街に飛ぶ。

「話は通してあるが今日からやるとは言っておらん」

「なら今日は告知と下見だな」

「場所さえ指定してくれれば我等でもやれる」

「期待してるよ」

外周に着き、話をしに行くボーデンフェルトを見送って、地下の水路を《感知》で見ながら建屋の構成を考える。前回の施行が拡張を見越した物だったので左右均等に建てる分には問題無さそうだ。

「前回作った同じ物を建ててくれれば問題無いよ」

「そうか。ならば話が纏まったら直ぐにでも始めよう」

街路樹の枝を手折りながらボーデンフェルトを待った。
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