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Nゲージ

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 直ぐに飛んで突き進む。《結界》張ってガッツリ進むと、金属光沢のある四角い顔が、通路一杯に詰まってた。そして四方の壁をゴリゴリ擦って俺を潰しに寄って来る。
持ってて良かったゲーム知識。殆ど友達の家で見てただけだけど。タイムオーバーで殺られてキレる野口くんは高校で違う学校になってしまったが、送りバントの名手で何時もは冷静な奴だった。

たかちゃんのおかげで間に合った…」

とは言え正攻法で戦っては無いけどな。《集結》で小さく圧縮してやると、Nゲージみたいな四角柱になった。それでも歩く程度の速さで走って来るので核を《散開》させて煙に変えた。これどう考えても普通の冒険者無理だろ。

「箱、出ないのかな…」

煙が晴れても宝箱が出ない。もしかしてあんな倒し方じゃダメだったのだろうか。仕方無く部屋の奥へと進んで行くと、下への階段と箱があった。一応《罠感知》で確認して開けてみると、遂にミスリルナゲットが詰まった箱に行き着いた。だが一箱だけ。心太みところてん たいなあのゴーレムが外の魔物だったらどんだけミスリルが採れるかと思うと少しだけ塩っぱく感じた。
七十一階に降りて今度こそガッツリ飯を食う。薄ソーサーに炒めた薄切り肉を乗せ、クルクル巻いていただきます。島から持って来た生食出来る丸いピーマンみたいな黄色い野菜を齧り油分を中和する。肉厚だからパプリカなのかな?味はピーマンだが。


 寝て起きて、時間は分からないがしっかり寝られたので問題無し。七十階でミスリルナゲット取ってから下に行こうと準備を済ませて階段を上ると、何故かボス部屋の入口に出ていた。裏から入ると召喚に支障が出るからだろうか?帰るには楽なのでまあ良いか。扉を開けて再びボス部屋に入り、Nゲージにして煙に変えた。
ミスリルナゲットの箱を回収して七十一階。階段のある小部屋から外に出ると、明らかに罠の気配。通路が丸く、少し斜めっているのだ。バレバレだが冒険者心を揺さぶるじゃないか。
飛んで移動してれば反応しないんだけどな。
唯、敵が馬鹿で罠を踏み、巨石の玉を転がして来る。そして玉が敵に引っ掛かり道を塞ぐ。雑魚の癖に金属で出来てるから潰し切れずに輪止めになってしまうのだ。敵を煙にして、玉を《収納》するのが少し煩わしいし時間も掛かる。それにドロップした金やミスリルナゲットを幾つか小判みたいにされた。それさえ無ければドロップは美味いんだがなぁ。

 巨石の玉にうんざりしながら辿り着いた七十五階。広々としたフィールドエリアにホッとする。低木の生える岩場に大きな水辺。鳥の魔獣に牙の長い虎っぽい奴、恐竜タイプの奴も居て、ミスリルドロップの終わりを告げるようだった。だがずっとロボットみたいなのと殺り合ってたから新鮮な景色は有難い。マラソンの休憩地は此処にしようと思った。
水辺に近付いて周辺を《感知》で見回すと、水の中にも何か居る。ワニっぽ…小さな海竜だ。小さくても五ハーンくらいあるのだが、何時ものに比べりゃ稚魚みたいなもんだ。数匹で集まって、俺が入水するのを待ってる模様。脳味噌《散開》させて泡に変えた。


 俺がフルチンになって水浴びしてる時でも敵は構わず襲って来る。ダンジョンだし、当たり前だ。その度に《結界》にぶつかって倒れたり待ち呆けを食らったりしてる。
何故美少女でも無い俺が水浴びしてるのか。それは別にキレイ好きだからでは無い。ミニ海竜のドロップを拾う序に獲れるだけ獲ってしまおうと考えたからだ。即ち俺は餌である。ミニ海竜からは魔石の他に皮も落とす。色も薄い緑や黄色がいて、全身薄青の鎧に色を増やせると思ったのだ。
水中の敵を《集結》させて、魚やミニ海竜を泡に変える。ドロップはたっぷり拾えたが、肉が出ないのが残念でならない。

水中の敵を殲滅し、フルチンのまま地上の敵と対峙する。



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