901 / 1,519
コレクション
しおりを挟むゆらゆらされてうとうとなメッツくん可愛い。刺激して起こしたら可哀想なのでそっと見守る。
「皆は?」
心做しか声量も落とし気味になってしまうのも仕方の無い事だろう。
「サミイとカララちゃんは上で遊んでますね。メイドのお二人は荷物を置きに行くそうで、一度島に戻られましたよ」
「なら俺も一度戻るかな」
「あら、連れない事」
この人妻め。親父殿居るのに色目使いよる。メッツくんも抱っこしてんだぞ?
「また遊びに来て下さいね、歓迎するので」
「うふ、そうしますね」
夢の世界に飛び立ったメッツくんを抱え、ママ上殿が部屋に戻るのを後ろから付いて行く。ママ上殿のお尻、柔らかいなり。
「カケル様、私にもお零れください」
ママ上殿の代わりにドアを開けるとエージャが待ち構えていた。来ないと思ったら待ち伏せしてたのか。
「メッツくんをベッドへ」
「はい」
「良いのよ、私が連れて行くわ」
「あ、ありがとうございます、大奥様」
ママ上殿はスタスタ一人で寝室に向かおうとするので、俺とエージャはワタワタしながら補助をして、無事メッツくんをベッドに安置した。
で、サミイの部屋に来た。
「カケルー見てー」
カラクレナイの頭や体にに色んなアクセサリーがくっ付いてる。サミイのコレクションかな?
「可愛いカラクレナイがもっと可愛くなっちゃったな。それはサミイのか?」
「そなの」
「ちっちゃい頃から買ってもらったり頂いたりした物なんです。材料集めて作ったりしたのもありますよ?」
「へー…え?」
「どうしました?」
「これだな?サミイの作ったの」
首元を彩るには少し色味の少ないネックレスが気になった。
「そうですが…どうせわたしのは酷い出来ですよーだ」
「否、出来は悪くないと思うぞ?それより、これ…」
サミイの作品を一目で見抜いたのは造りの出来云々では無い。価値が段違いなのだ。
「この石ですか?これはパパ達と行商に行った先の川で拾ったんです。半透明でキレイですよね!」
「これ、石じゃない。龍の鱗だ」
歪にギザった凹みに革紐を括り付けたソレは、半透明で厚みもあり、にわか知識程度では水晶と見間違うかも知れない。しかし魔石でも無い限り、石が魔力を滲ませる事は無いのだ。
「それ鱗だったんですか!?」
「うろこ?カララのこんなに厚くない」
「カラクレナイはまだ小さいからな。多分大人の龍の鱗だろう。川の流れで砕かれたり削られたりしてこんなに小さくなったのだろうな」
「へー、良い物だったんですね!いくらくらいで売れるかな…?」
「商売っ気出してる所悪いが多分ギルドだと二束三文だと思うぞ?鑑定師に出しても反応出来るかどうか…」
「Fランクの持ち込みだと買い叩かれたりするんですか?」
「そうじゃ無くてな?鑑定出来無いと思うんだ」
俺の《鑑定》ですら詳細が出ないのだ。多分だが、龍の《鑑定》でないと詳細は分からないと思う。鑑定水晶の能力が如何程かは分からんが、俺の予想は間違ってはいない筈だ。
「大事に取っときなされ。加工出来る職人が居るなら作り直してもらっても良いかもな」
「サミイ、返すの。大事にするの」
「ご利益分かんないのに大事にと言われても…」
「転売されるより良いだろ?」
「まあ、確かにですねー」
カラクレナイがアクセサリーを外してく。そしてサミイのお宝袋に仕舞われた。
「ねえサミイ。カララのうろこ、いる?」
「使い用が無いよう。それに、カララちゃんが一緒に居てくれるだけでわたし嬉しいもん」
「サミイはいい子なの」
「良い子だ」
「良い子ですね」
「良い子だぞ」
「やめてよもー!」
フラノノが島から戻り、話に乗っかって来た。
「ノーノよ、龍の鱗ってどんくらいの価値があるか分かるか?」
「だそうだぞサミイ」
それを聞いて、大事に大事に保管される事となった。木箱作ってあげたよ。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?
アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。
どんなスキルかというと…?
本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。
パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。
だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。
テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。
勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。
そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。
ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。
テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を…
8月5日0:30…
HOTランキング3位に浮上しました。
8月5日5:00…
HOTランキング2位になりました!
8月5日13:00…
HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ )
皆様の応援のおかげです(つД`)ノ
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~
m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。
書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。
【第六部完結】
召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。
一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。
だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった!
突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか!
魔物に襲われた主人公の運命やいかに!
※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。
※カクヨムにて先行公開中
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる