893 / 1,519
卵を割る
しおりを挟むママ様の言葉は続く。迷い人や偶々来てしまった者では無く、組織的にその場所を見付ける為に集まった徒党である事。龍であれば気付けていた筈なのを気付けなかった事。そして問題解決に消極的だった事を挙げて、自身と、集落の意見は間違ってはいなかったと纏めた。
「その結果、我等は郷を一つ、捨てざるを得なくなった」
「……」
人の集落を焼け野原にし、そこに住まう人々を皆殺しにしたのだ。国やギルドから調査が来るだろうし、その結果自分達の集落を探し当てられてしまっては本末転倒。それ故に、自分達の集落をも潰す結果になったのだろうと予想した。
「…だからって…、尾切りに角切りなんて、あんまりよ…」
「本来ならば、その場で解体であったよ」
「え?」
「我の、出来うる限りの譲歩を以て尾と角で済ませたのだ」
「何よそれ!だったら一思いに解体して欲しかったわよ!」
「…自分の卵を割る親が、居てたまるか…」
「リュネ。それは困るぞ。俺がリュネと会えなくなっちまうだろう?」
リュネの背中を抱き締めて、耳元で優しく囁いた。
「カケルさぁん…」
「カケルには、本当に感謝している。娘を、助けてくれた事にな」
ママ様が俺に頭を下げる。
「それに、もう龍と交合うのは嫌なのだ…」
龍の輪姦。ママ様がリュネの減刑の為に取った譲歩がそれである。リュネの処遇を決める場に居た雄、全てと同時に交合う事が減刑の条件になったと言うのだ。父親を特定出来ぬままに産み落とされ、孵化した子は青い龍であった。そう、坊やだ。
血を大事にする龍の中で、血統不明は低魔力以上にモテなくなるそうで、少なくとも輪姦に参加した龍の血族とは一代二代の間では結ばれる事は無い。
「親子で罪を償ったんだな」
「母よ、我は聞いておらんぞ!?」
「言えるか馬鹿者」
「私は、何となくだが察していた…。発情が同じになるなんて珍しいと思ったが、時間を弄ったのか」
龍の長い長い発情迄の時間、どれ程籠り続けて居たのかなんて想像も付かん。
「母さんまで…そんな事になってたなんて…、私、知らなくて…」
リュネとママ様は互いに謝罪し、一先ず解散となった。今はリュネの部屋で抱き合いながら横になってる。
「仲直り、出来て良かったな」
「良くなんて、ありません…」
結局、俺とママ様が子を成す事が決定したのだ。ヤキモチ焼きのリュネは面白くないだろう。
「リュネ達の赤ちゃんが産まれてからな?」
「そうしてくださいっ。さ、おっぱい吸って!」
命令のままにおっぱいへ吸い付くのだった。
翌日になり、昼食後のお茶を啜っていると、ネーヴェが客を連れて来た。テッチー姉妹にティータ、それにお前と貴様だ。
「カケル、おきゃく」
「お帰り。昼は食べたのか?」
「まだ。みんなも食べてって」
「「「はーーーい」」」
お客はお前と貴様のようだ。ネーヴェは女児達を引き連れて厨房に食べ物を強請りに行ってしまった。
「お前等飯は?」
「問題ありません」「ご報告があります」
「取り敢えず場所を変えよう」
「「御意に」」
ヤリ部屋に着いて、先ずはセックスだ。片方の報告を聞きながらもう一方を犯すのを繰り返し、報告の後は二人同時に楽しませた。
旧王都の兵隊が壊滅した事で、国のダンジョン探索は延期となった。規模を縮小し、練度を上げて再挑戦するのだとか。その代わり、少数の兵で冒険者の真似事をすると言う。冒険者ギルドはこれに対し協力はしない方針で、各ギルドもそれに倣って技術や物品の提供は行わない方針だそうな。
そりゃそうだ。ドロップ取りっ放しで民に流さない癖に協力しろもクソもない。商業ギルドなんて俺が均した更地の一部を無償貸与させられて、ギルド撤退のカードを切った程に怒っているらしい。
王妃と、貴族の婦人を主とするその派閥は、少しずつハークを擁する準備を始めていると言う。元よりハーク派も多く、王妃が其方に寄り添った形だが、表向きは何も見せてはいないそうだ。急に意志を変えれば何かあると勘繰る者も居るだろうし、暗殺される危険だってある。美人には死んでもらいたくない。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?
アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。
どんなスキルかというと…?
本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。
パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。
だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。
テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。
勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。
そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。
ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。
テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を…
8月5日0:30…
HOTランキング3位に浮上しました。
8月5日5:00…
HOTランキング2位になりました!
8月5日13:00…
HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ )
皆様の応援のおかげです(つД`)ノ
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらエロいお姉さんになりました。
ぬこぬっくぬこ
ファンタジー
えっ、なんで?なんで絵柄が――――バニーガールなの?
おかしい、ゲットしたのはうさぎのモンスターだったはず…
『モンスターカード』というスキルがある。
それは、弱ったモンスターをカードに取り込む事により、いつでも、どこにでも呼び出す事が出来るようになる神スキルだ。
だがしかし、実際に取り込んでみるとなぜか現物と掛け離れたものがカードに描かれている。
「もしかしてこれは、ゲットしたらエロいお姉さんになる18禁モンスターカード!?」
注)当作品は決してエロいお話ではありません☆
小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる