879 / 1,519
立派なギルドマスター
しおりを挟む話が変な流れになって来た。
「それがな?期限も短かった上に荷物を減らさなかったおかげでさ、人数分のチケットがもらえたんだ。行きたいだろ?」
「おお!」「行きたーい」「是非とも」「うんっ」「行くぞ!」「俺も!」
「ジョン、謀ったなジョン!」
皆が皆、フル装備なのは着替えるのが面倒だからかと思ってた。酒も飲まず腹八分目なのはこれが狙いか。そしてジョンもお花摘みでは無くチケットを貰いに行ってたのだな。ピラピラとチケットをチラつかせるジョンは、もう立派なギルドマスターだ。
「カケルだって、お土産欲しいだろ?可愛いあの子が首長くして待ってるぜ?」
魔石は売る程あるんだが、そう言われるとな。ぐぬぬ…。
「はぁ…。分かった。成る可く死ぬなよ?」
「やったぜ」「「「流石ジョン!」」」
「カケル、よろしくねっ」
「私達も良いトコ見せなきゃねー」
「二つ名を見せてやりますよ」
そんなこんなでダンジョンへと向かった一行は、ジョンのチケットでダンジョン内に潜り、最短距離で下へ下へと降りて行った。
ジョンが階段迄のルートを覚えていたのだ。分かれ道に隠れてる敵には《威圧》を当てて、動けない隙を突いてマッチョが打ちのめし、偶にマルーンが首を狩る。魔法と回復は温存だ。そして俺も温存だ。
「カケルに殺らすとつまんねーからな」
つまんね言うな。
ボス部屋前で休憩し、ボコってドロップ見て少し休憩。そして更に進む。初めは楽勝だったが三十一階から先は武器のしょぼさが出始めて魔法を投入。
「普通の武器だとこの辺からキツくなんだよな」
「八百万もしたんだぞ?」
トカゲの魔石二つ分とはだいぶ気張ったな。ミスリルコートした大剣だが、魔法が使えないのにミスリル武器を使うのは、正直無駄でしか無い。ドータンの大盾はベコベコにされているが、素材が柔いだけでダンジョンには合っている。盾二人でローテーション組みながら飛び道具で屠る…とか、効率的だと思った。今は盾で何匹かを受け止めて、ルウェインとキャストルが交代で戦う形になっている。因みにキャストルの武器は長剣の二刀流。狭いダンジョンではやり難かろう、突きメインでチクチクしてるよ。
「魔法はまだ効いてるねー」
「首は守られて無ければ何とか…」
「みんな、強い…。怪我して」
物騒な事を言う癒しの冷姫である。
「ドロップの武器に持ち替えながら行くぞ。その内もっと良いのが出っかんな」
「「「おお」」」
ジョンが鼓舞してやる気を出して、四十一階。トカゲのボスを倒し、下の階へ降りて夕飯となった。少年隊と来た時よりだいぶ早いな。ジョンが道を分かってたのもあるが、皆の力が本物だと言う事もある。
皆の分の火の鉄板と、油を塗った煉瓦板を二セット。薄切り肉を皿に盛り、お椀にはトロトロの白濁を注いで渡す。
「片方は薄ソーサー用だ。俺のを見ながら作ってみてくれ」
薄ソーサーは煉瓦板に注いで待ち、ひっくり返して待つ。それだけだ。その間に薄切り肉を数枚焼いて、薄ソーサーに乗せて巻いて食う。皆真似ながら食いだした。今回はジョンも一緒になって焼いて巻いてして食ってるな。
「美味いな」
「この薄いのが手掴みで食うのに良い」
「焼きながら食えるのも良いな」
皆にも高評価を頂けたようだ。
「カケル、…美味しいね」
「そうかそうか。お代わりもあるぞ」
「これは魔道具ですよね?お幾らです?」
「それよりさ、ドラゴンのお肉食ーべーたーいー」
「今食ってるだろ」
トカゲ肉と聞いて無言で食い出した。現金な物だな。
「なあカケル。今夜は此処で寝るのか?」
肉食共が暴れ食う中、ジョンが予定を聞いて来る。
「取り敢えずはそのつもりだ」
「だったらさ、腹熟しに少し狩って来ても良いか?」
「また血みどろで帰って来るんだろ?今夜はぐっすり寝てしまえ」
煉瓦でトイレとパーテーションを作って男女が寝られるスペースを確保した。さぁさぁ寝ろ寝ろ。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
異世界ハーレム漫遊記
けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。
異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
第三王子に転生したけど、その国は滅亡直後だった
秋空碧
ファンタジー
人格の九割は、脳によって形作られているという。だが、裏を返せば、残りの一割は肉体とは別に存在することになる
この世界に輪廻転生があるとして、人が前世の記憶を持っていないのは――
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる