870 / 1,519
サブマスはマッチョ
しおりを挟む「大移動?オーバーフローとは違うのだよな?」
「外の魔獣や魔物が大挙して移動するのが大移動だ。お前、知らんのか?」
初めて聞く言葉に聞き返すとルウェインが丁寧に教えてくれる。根は良い奴なのだろう。
「見た事無いな。カロは?」
「バルタリンドでは海から魔物が押し寄せる事案が数年に一度程発生します。魔物波と呼んでいますが、それと同様の物でしょう」
「カケルにも、大移動の討伐に参加してもらいたい。頼めるか?」
「偶には依頼しろって言われてるし、構わんぞ」
「バルタリンドで依頼を受けて下さいよ…」
「本当に助かるぜ。因みにご婦人方は戦えるのか?」
「私、つおい」
「私は戦えませんよ?一応魔法の手解きは受けておりますが」
「カロは休みなんだから働かなくて良いぞ?」
「いえ、それは…。他国とは言えギルド案件ですから、知らん顔は出来ませんよ」
「其方はギルマスだったな。スマンがよろしく頼む」
「ジョン?もしかしてカロにギルマスの仕事押し付けて自分は暴れに行くつもりか?」
「仕方ねーだろ?俺だって強いつもりだ」
「それだけの敵って事か」
「んでー?あんた、ジョン様が言う程やれんのー?」
あら。ソファーに座ってた美女が突然突っ掛かって来やがった。俺とジョンが仲良くしてるのに嫉妬したのかな?モデル体型で髪はゆるふわ。心が折れる迄犯して注ぎ痛い痛い痛い痛い痛いっ!
「カーケールー」
イゼッタに抓られた。全身鎧の唯一の弱点である、瞼を。
「え!?…浮いて、る?」
その場に居たマッチョに美女がその光景に目を見張る。飛べる人なんてそうは居ないからな。
「凄いだろ、我が妻は」
「まさか、魔族!?」
「魔族は耳が尖ってるよ。それに俺もジョンもとべるぜ?」
「俺のは跳ねてるだけだがな。話を戻すぞ?」
ジョンの横に居たサブマスの説明が始まる。因みに今回のサブマスはマッチョで、集まった冒険者の一人かと思ってた。
話に依ると、東にある隣国の付近から始まった移動が距離を伸ばす毎に勢力を拡大しつつ此方に向かっているのだと。移動先にあった街を三つも廃墟にしているそうで、避難民の確保に街の冒険者が駆り出されていると言う。道理で男手が少なく見えた訳だ。
「質問。現在位置は?」
「ん、ああ。此処から東に四十日と言った所だろうか」
「移動先に、後どれだけ集落がある?」
「二つだ。一つはもう駄目だと思うがな」
「そうか。なら急ぐか」
「俺とカケルは先に出て、足止めの足しにしようと思う」
「イゼッタとカロはネーヴェと一緒に遊んでてくれ」
「カケルゥ」「そんな…」
「ネーヴェ様が来ているのか!?」
しょんぼり顔の二人とは裏腹に、ネーヴェと聞いて喜ぶジョンだが、俺はそれを良しとしない。人の問題に龍の力は大き過ぎるのだ。
「ジョンくんや。龍の力は頼るな。分かるな?」
「あ…、ああ。そうだな…」
「ちょっとネーヴェの所に二人を送って来るから、戻ったら移動しよう」
「分かった。準備は済ませておく」
俺達が部屋を出ると、途端にワイワイ騒ぎ出す。陰口なら静かにやってくれ。
ギルドを出て、テッチー姉妹の住む商家にやって来た。今日は庭で遊んでるな?
「おーい。ネーヴェー、カラクレナーイ」
「あ、カケル」「カケルー、お仕事しないの?」
それじゃあ俺が仕事しない人みたいじゃないか…。
「これからちょっと仕事して来るから、イゼッタとカロを送りに来たんだ」
「カケル様、いらっしゃいませ。そちらの方は?」
「カケルさまの奥さん?」
「ん。妻です。イゼッタ」
「妾のカロです」
「わたしも奥さんになりたい!」「ラッテ!」
「ダメ。妾なら、許す」
「急がないと人が大勢死ぬだろうから、ちょっと行って来るよ」
「カケル、カララも!」「カララ、ダメ」
「カララ様、待つのも良い女のつとめ」
「ぐぎ…」
「カケル様、ご無事で」
「「「「ごぶじで」」」」
「……ごぶじで…なの」
良い女達だ。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~
白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。
日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。
ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。
目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ!
大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ!
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。
【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~
BIRD
ファンタジー
【転生者モチ編あらすじ】
異世界を再現したテーマパーク・プルミエタウンで働いていた兼業漫画家の俺。
原稿を仕上げた後、床で寝落ちた相方をベッドに引きずり上げて一緒に眠っていたら、本物の異世界に転移してしまった。
初めての異世界転移で容姿が変わり、日本での名前と姿は記憶から消えている。
転移先は前世で暮らした世界で、俺と相方の前世は双子だった。
前世の記憶は無いのに、時折感じる不安と哀しみ。
相方は眠っているだけなのに、何故か毎晩生存確認してしまう。
その原因は、相方の前世にあるような?
「ニンゲン」によって一度滅びた世界。
二足歩行の猫たちが文明を築いている時代。
それを見守る千年の寿命をもつ「世界樹の民」。
双子の勇者の転生者たちの物語です。
現世は親友、前世は双子の兄弟、2人の関係の変化と、異世界生活を書きました。
画像は作者が遊んでいるネトゲで作成したキャラや、石垣島の風景を使ったりしています。
AI生成した画像も合成に使うことがあります。
編集ソフトは全てフォトショップ使用です。
得られるスコア収益は「島猫たちのエピソード」と同じく、保護猫たちのために使わせて頂きます。
2024.4.19 モチ編スタート
5.14 モチ編完結。
5.15 イオ編スタート。
5.31 イオ編完結。
8.1 ファンタジー大賞エントリーに伴い、加筆開始
8.21 前世編開始
9.14 前世編完結
9.15 イオ視点のエピソード開始
9.20 イオ視点のエピソード完結
9.21 翔が書いた物語開始
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
お兄様のためならば、手段を選んでいられません!
山下真響
ファンタジー
伯爵令嬢のティラミスは実兄で病弱の美青年カカオを愛している。「お兄様のお相手(男性)は私が探します。お兄様を幸せするのはこの私!」暴走する妹を止められる人は誰もいない。
★魔力が出てきます。
★よくある中世ヨーロッパ風の世界観で冒険者や魔物も出てきます。
★BL要素はライトすぎるのでタグはつけていません。
★いずれまともな恋愛も出てくる予定です。どうぞ気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる