上 下
861 / 1,519

ボインの気配

しおりを挟む


 よん龍を、満足させて朝帰り。
今回は、リュネ達とだし良い筈だ。
何故正座?飯が余った?そりゃスマン。

心の短歌を詠みながら正座する俺の膝にカラクレナイと兎女児三人が乗って石抱き状態だが、四人は分かっているのだろうか?太腿は柔らかいけど脛は痛いのですよ?

「カララ、みんな。テッチーのとこ行こ」

「「「「いく~」」」」

ネーヴェマジ女神。売り物の箱入り黒糖持ってったのは許してやろう。女児達から解放されて、俺も出掛ける支度をしようかね…。

「旦那さま、どこか行かれるのですか?」

「ミスリルとか集めなきゃならんから、またゴーレム探しでもしようかとな」

「そうですかー。なら他の人に当たってみますね」

「何か用事でもあるのか?」

弁当の材料やらおやつやらを冷蔵マジックボックスから漁って居ると、サミイがそんな事を言って来る。要件を聞くと、買い物に行くから荷物持ちを頼みたいのだと。

「妻の願いも聞けん夫になったつもりは無いぞ?」

「ありがとうございます!じゃあママの所に行きましょう!」

買い物と言ったらバルタリンドだ。クリューエルシュタルトだと少し暑苦しいからな。お土産のおやつだけ持って転移門を潜り、寝具店のサミイの部屋に着く。

「カケル様いらっしゃいませ。奥様もお帰りなさいませ」

メッツ君を抱いて常識的な状態のエージャが謎感知を発動して迎えてくれた。

「お兄ちゃん来たよー」「おねーちゃんだよー」

「えびー」

海老。海老か…。食ってないなぁ。

「そう言えばサミイよ」

「はい?」

「蟹って食べる風習あるのか?」

「そんなの、食べたら死んじゃいますよ?」

「毒あるのかよ…。なら海老は?」

「えびぃ?」「えべー」

「もしかして、ロンググラブの事では無いでしょうか?」

「ああ。長い蟹ですね!海にはよく居ますけど食べた事無いです」

「そんな名前なのか」

姿形を聞くと海老よりもロブスターな感じらしい。で、何でも食うので直ぐ魔獣化して巨大化し、漁師の仕掛けを壊したりするのだそうな。

「海は危険が一杯だな。食えそうに無いし、買い物行こか」

「はーい。じゃあエージャ、メッツくん、またねー」

ママ上殿と親父殿に挨拶し、お土産渡して外に出た。買い物は石鹸やらタオル、お茶っ葉等の日用品がメインで、雑貨屋をハシゴして色々買い揃えて行った。

「サミイ、昼飯はどうすんだ?偶には外食するか?」

「そんなー。きっとママ達が作ってくれてますよ。無駄遣いはメッですよ?」

メッなのか。それは頂けないな。

「金の流れを作るのも冒険者の務めだよ、坊や」

俺達の背後にボインの気配。

「タマリー、暫くだね」

「んー、わたし冒険者じゃ無いですもん。ガンダーちゃんはギルドですか?」

「カロと交代で飯にしてんのさ。デートの邪魔して悪かったね」

「もー、そんな事言われてはいさよならじゃ、わたしが心の狭い人間みたいじゃないですかー。ご飯くらい一緒に食べましょうよ!」

そんな訳で心の広い我が妻とボインを連れて、カロ御用達の個室食堂へとやって来た。タマリーの顔パスで通してもらえたけど、俺達だけだと入れないのだろうか?

「旦那さま、この店は一見さんお断りなんですよ」

「「へー、知らなかった」」

タマリーもかよ。

「わたしは食べに来たのは初めてですが、店長さんとは顔馴染みです。まあママ繋がりなんですけど」

「家政婦組合か」

「です」

「いらっしゃいませ。サミイちゃんは初めて来てくれましたね」

店長なのか?サミイを知ってるお婆ちゃんがシュッとしたスーツを着て現れた。

「旦那さま、この人が店長さんです」

「どうも、旦那のカケルです」

「貴方様はメリクヒャー様ともご来店されておりましたね」

「皆家族ですよ」

「あら、それはまあ。とにかく、ごゆっくりしてらしてくださいませ」

深く聞かないのは良い店の証、だと思う。メニューを見て、タマリーが適当に決めた品を頼み食事にした。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...