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ボインの気配

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 よん龍を、満足させて朝帰り。
今回は、リュネ達とだし良い筈だ。
何故正座?飯が余った?そりゃスマン。

心の短歌を詠みながら正座する俺の膝にカラクレナイと兎女児三人が乗って石抱き状態だが、四人は分かっているのだろうか?太腿は柔らかいけど脛は痛いのですよ?

「カララ、みんな。テッチーのとこ行こ」

「「「「いく~」」」」

ネーヴェマジ女神。売り物の箱入り黒糖持ってったのは許してやろう。女児達から解放されて、俺も出掛ける支度をしようかね…。

「旦那さま、どこか行かれるのですか?」

「ミスリルとか集めなきゃならんから、またゴーレム探しでもしようかとな」

「そうですかー。なら他の人に当たってみますね」

「何か用事でもあるのか?」

弁当の材料やらおやつやらを冷蔵マジックボックスから漁って居ると、サミイがそんな事を言って来る。要件を聞くと、買い物に行くから荷物持ちを頼みたいのだと。

「妻の願いも聞けん夫になったつもりは無いぞ?」

「ありがとうございます!じゃあママの所に行きましょう!」

買い物と言ったらバルタリンドだ。クリューエルシュタルトだと少し暑苦しいからな。お土産のおやつだけ持って転移門を潜り、寝具店のサミイの部屋に着く。

「カケル様いらっしゃいませ。奥様もお帰りなさいませ」

メッツ君を抱いて常識的な状態のエージャが謎感知を発動して迎えてくれた。

「お兄ちゃん来たよー」「おねーちゃんだよー」

「えびー」

海老。海老か…。食ってないなぁ。

「そう言えばサミイよ」

「はい?」

「蟹って食べる風習あるのか?」

「そんなの、食べたら死んじゃいますよ?」

「毒あるのかよ…。なら海老は?」

「えびぃ?」「えべー」

「もしかして、ロンググラブの事では無いでしょうか?」

「ああ。長い蟹ですね!海にはよく居ますけど食べた事無いです」

「そんな名前なのか」

姿形を聞くと海老よりもロブスターな感じらしい。で、何でも食うので直ぐ魔獣化して巨大化し、漁師の仕掛けを壊したりするのだそうな。

「海は危険が一杯だな。食えそうに無いし、買い物行こか」

「はーい。じゃあエージャ、メッツくん、またねー」

ママ上殿と親父殿に挨拶し、お土産渡して外に出た。買い物は石鹸やらタオル、お茶っ葉等の日用品がメインで、雑貨屋をハシゴして色々買い揃えて行った。

「サミイ、昼飯はどうすんだ?偶には外食するか?」

「そんなー。きっとママ達が作ってくれてますよ。無駄遣いはメッですよ?」

メッなのか。それは頂けないな。

「金の流れを作るのも冒険者の務めだよ、坊や」

俺達の背後にボインの気配。

「タマリー、暫くだね」

「んー、わたし冒険者じゃ無いですもん。ガンダーちゃんはギルドですか?」

「カロと交代で飯にしてんのさ。デートの邪魔して悪かったね」

「もー、そんな事言われてはいさよならじゃ、わたしが心の狭い人間みたいじゃないですかー。ご飯くらい一緒に食べましょうよ!」

そんな訳で心の広い我が妻とボインを連れて、カロ御用達の個室食堂へとやって来た。タマリーの顔パスで通してもらえたけど、俺達だけだと入れないのだろうか?

「旦那さま、この店は一見さんお断りなんですよ」

「「へー、知らなかった」」

タマリーもかよ。

「わたしは食べに来たのは初めてですが、店長さんとは顔馴染みです。まあママ繋がりなんですけど」

「家政婦組合か」

「です」

「いらっしゃいませ。サミイちゃんは初めて来てくれましたね」

店長なのか?サミイを知ってるお婆ちゃんがシュッとしたスーツを着て現れた。

「旦那さま、この人が店長さんです」

「どうも、旦那のカケルです」

「貴方様はメリクヒャー様ともご来店されておりましたね」

「皆家族ですよ」

「あら、それはまあ。とにかく、ごゆっくりしてらしてくださいませ」

深く聞かないのは良い店の証、だと思う。メニューを見て、タマリーが適当に決めた品を頼み食事にした。



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