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おじさん

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 玄関を入ると大きな階段が最上階迄螺旋状に伸びていて、その奥には建屋の中心を貫く廊下が走り、各部屋の入口がある。

「光の属性魔石が要るな」

「窓も扉も無いがな」

「糞も出来んぞ?」

やる事はまだまだ沢山あるのだな。部屋を軽く見て周り、外に出ると井戸から水が溢れてた。

「済まぬ。溢れた」

「排水口を増やしておくよ。取り敢えずボーデンフェルトの仕事はここ迄だ。助かったよ」

「うむ、何かあったら呼ぶが良い」

「リームは植樹した枝を成長させてくれ」

「うむ」

ミーネを連れて外濠へ。ミーネが横穴をスポッと《収納》すると、ドバーッと水が噴き出して来た。《結界》張って水を止め、煉瓦でコーティングして《結界》を解く。それを三回やって排水口は充分だろう。リームの方も木をニョキニョキし終えたようで、伸び過ぎた横枝を切り飛ばしていた。後でまた使うし丁度良いな。

「少し伸び過ぎた」

「後でまた植樹するし、形が整ってて良いと思うぞ?下の方はホルスト車も通るから少し枝払いしてくれ」

「承った」

高さ五ハーンくらい迄の枝を切り落とし、通りがスッキリすると何時もより少しだけ涼しい風が通り抜けた。幾分か過ごし易くなったかな。

「カーケールさぁ~ん」「ごはん。ごはん」

もうそんな時間か?リュネとネーヴェが飯の時間を告げに来た。

「女王様!もう住めるんですかい?」

「ん?まだドア等色々足りんが、寝るだけなら住まう事も出来る。…だがもう暫し待て」

「暫しと申されましても、我等今夜は外で寝る事になりまする。あまり長くなされませぬようお願い申し上げます」

家が出来て居ても立っても居られない者がジリジリ寄って来て女王に嘆願する。確かに野宿を続けるのは可哀想だ。早目に住めるようにしてやりたいな。


 昼飯を食った俺は海にミズゲルを獲りに行く。属性魔石用の核と、ゲル版を作る為だ。迎撃用の足場から海中を《感知》して、ミズゲルだけを《集結》させる。一掬い五百個程の核を獲るのを四回。ミズゲルの死体も回収して街に戻ると、リュネはトイレを、リームはドアを、ミーネは鉄板を作ってくれていた。そしてネーヴェは子供達と甘納豆を食っていた。

「只今、皆助かるよ。ネーヴェも子供達と仲良くしてくれてありがとな」

「ん。みんなで食べる、うまい」

「おじさんこれちょーうめぇー」「んまっ、んまっ」

俺、確か十九とかだったよな…。シルケだと十五で嫁を取るから子供が居てもおかしくないのか。けどこの歳でおじさんか…。
心に多大なダメージを負い、テンションだだ下がりでリュネ達が作業してる集合住宅へと向かう。

「リュネぇ、俺、おじさんだって…」

「あらあら、よしよし」

「人の子等幾つになっても子供のような歳なのにな。此方にも来い」

「ミーネぇ」

「よーしよしよし。おっぱい吸うか?」

ペロンと出されたミネパイを頬張り若返る…バブ。

「カケルさぁん、私の方が吸い応えありますよぉ?」

「バブゥ」

少し長めの休憩をして、属性魔石を作り、それぞれの魔道具に加工して配置して行った。窓はリームが作ってくれたよ。

 住民達が口々に礼の言葉を述べて各々の部屋に入ってく。今回作った分だけで外濠街全体の住民を賄って余りある程作ったからな。おかげで街の左側はもぬけの殻になった。こっちは商業区や露店街にするのも良いだろう。更地にして、外濠の縁に植樹して今回の工事を終えた。

「皆のおかげで早く終わるとは思ってたけど、一日で終わっちゃったな」

「…んちゅ。早いに越した事は無いさ」

「ん、んふ。こっちはゆっくりでも、良いですからねぇ~はむっ」

城の浴場で汗を流し、リュネ達に福利厚生を求められたが、夕飯の時間に間に合わなくなるぞ?

「あっ、んっ、主様っ、主様ぁぁ~」

「じゅる…。旦那様、私にも」

「《結界》張りますからぁ、激しくしても、良いですよぉ」

夕飯は、後でこっちで食べよう。
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