848 / 1,519
来ちゃった
しおりを挟む「カケル、また行くの?」
ブルランさん達が欲しい資材と量を纏めるのはまだ先だろうが、報告前に出来るだけ拾っておきたいと思いダンジョンに向かおうとする俺にイゼッタが立ちはだかる。
「今回は深く潜るだろうから、何時迄に戻るとは言えないな」
「ぬぅ…」
「ある程度貯まったら帰って来るよ」
「カケル、おでかけ?」
そこへネーヴェが増援に駆け付けた。何かが詰まった袋を抱えてる。遊びに行くんだな、きっと。
「エッチなダンジョン、行くって」
「へー」
「ちゃんと仕事で行くんだよ。ミスリルとかのドロップを集めるんだ」
「へー」
あまり信じてないみたい。
「あらあら、二人共カケル様がお出掛けで淋しいのね」
この声は!?階段を降りて来るママ上殿とエージャ、そしてエージャの胸に抱かれるメッツ君だ。
「カケル様はお出掛けですか。残念です」
「大口の仕事が入るから準備としてダンジョンでドロップを漁りたかったんだが、ママ上殿が来たなら延期するか…」
「あらあら、カケル様、仕事はしっかりしないといけませんよ?」
ママ上殿はそう言って、行ってらっしゃいのキスしてくれた。それに倣ってイゼッタとネーヴェとも唇を合わせた。
「待ってる…ごぶじで」
「仕方無し。お土産よろ」
何とか収めてくれたようだ。気が変わらない内に出発しよう。ノーズコーンに乗り込んで、龍も飛べない高高度を超高速で飛んで行く。今日は潜らず三本槍の宿に泊まろうか、それともホテルオナホにしようか等と考えながら街に着いた。
「来ちゃった」
リュネが居た。
「来ちゃった」「きちった」
イゼッタとネーヴェも居た。
「大奥様に言われまして…」
エージャまで居た。
転移で先回りされたら敵わんよ…。それにエージャが居るって事はだ。エージャが戻る迄ママ上殿は帰れないって事になるよな。と、なると早く帰らなければならない。
「…リュネ以外は宿で待機だ。嫌なら帰る」
「カケルさん、そんな事言わずに、一緒に行きましょうよ~」
「リュネさま、ダメっ」
「カケル…、おこってる?」
イゼッタとネーヴェは雰囲気を察したようだ。エージャは動けなくなっている。此方も勘が鋭い。
「リュネ、私達街で遊ぶ。二人でいってら」
「奥様達を護衛致します…。必要は無さそうですが」
「荷物持ち」
「それなら出来ます。行ってらっしゃいませ」
三人は逃げるように行ってしまった。
「カケルさぁん、仲間外れはダメですよぉ?」
「そうじゃ無い。ダンジョンに龍二人なんて入ったらダンジョンが怖がって獲物が居なくなるだろ?それに俺達を排除しようと完全に閉じ込めようとするかも知れん」
「危険から避けたいって事ですか?」
「そうだ」
「そんな危険な所に私も連れてっちゃうのですか?」
「そうだ。俺とリュネだけなら何とかなりそうだしな」
「……。わかりました~、今回は折れてあげます~」
内に秘めた紫色のオーラを消して俺の腕に柔らかいのを押し付けて来るリュネ。膨れた頬っぺを指で押してやりたい。
「痴話喧嘩は他所でやってくれ」
うん、此処は門前だった。門兵に茶化されて、そそくさとギルドへ向かった。
宿で寝るのもホテルに泊まるのもキャンセルで、事務処理したらダンジョンへ。敵の居ない通路を飛んで、怯えるエリアボスを煙に変えて深く潜って行く。
「アレ、モンスターですね」
「アレは敵じゃ無い。敵意すら向けるなよ?」
「はぁ~い」
ホテルオナホの上空を通って更に深く。暗くなった階層からは《暗視》を使い、海の階層へ出た。
「魚ですら逃げてるな」
「階段へは泳いで行くのですか?」
「《結界》で水を避けて降りよう」
階段の上で《結界》を張り、中の水を《収縮》で小さい玉に変える。敵なんて皆壁に張り付いているので安全極まりない。
「此処があのゴーレムの巣ですね?」
七十二階。何時もなら自由奔放にうろうろしてる女達が通路の端に整列していた。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~
BIRD
ファンタジー
【転生者モチ編あらすじ】
異世界を再現したテーマパーク・プルミエタウンで働いていた兼業漫画家の俺。
原稿を仕上げた後、床で寝落ちた相方をベッドに引きずり上げて一緒に眠っていたら、本物の異世界に転移してしまった。
初めての異世界転移で容姿が変わり、日本での名前と姿は記憶から消えている。
転移先は前世で暮らした世界で、俺と相方の前世は双子だった。
前世の記憶は無いのに、時折感じる不安と哀しみ。
相方は眠っているだけなのに、何故か毎晩生存確認してしまう。
その原因は、相方の前世にあるような?
「ニンゲン」によって一度滅びた世界。
二足歩行の猫たちが文明を築いている時代。
それを見守る千年の寿命をもつ「世界樹の民」。
双子の勇者の転生者たちの物語です。
現世は親友、前世は双子の兄弟、2人の関係の変化と、異世界生活を書きました。
画像は作者が遊んでいるネトゲで作成したキャラや、石垣島の風景を使ったりしています。
AI生成した画像も合成に使うことがあります。
編集ソフトは全てフォトショップ使用です。
得られるスコア収益は「島猫たちのエピソード」と同じく、保護猫たちのために使わせて頂きます。
2024.4.19 モチ編スタート
5.14 モチ編完結。
5.15 イオ編スタート。
5.31 イオ編完結。
8.1 ファンタジー大賞エントリーに伴い、加筆開始
8.21 前世編開始
9.14 前世編完結
9.15 イオ視点のエピソード開始
9.20 イオ視点のエピソード完結
9.21 翔が書いた物語開始
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
竜焔の騎士
時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証……
これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語―――
田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。
会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ?
マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。
「フールに、選ばれたのでしょう?」
突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!?
この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー!
天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる