上 下
824 / 1,519

寝過ぎた

しおりを挟む


 親父殿と話をし、繭殻を売ったお金で絹布を買ってもらう事になった。売り切る時間は掛かってしまうが一から作るよりはマシだと言う。エージャのマジックバッグに詰め込んで、エージャがマジックバッグ持ちなのを知って驚く親父殿であった。

「何時の間にそんな物を…」

「乙女の秘密です」

「カケル殿、ソレは商人にとって喉から手が出る程のモノなのですぞ」

「ダンジョン産だからなぁ、拾えたらお土産にするよ」

「本当ですか!?頼みますよ?」

「敵を増やさないようにね」

 取り敢えず用件が済んだので、街で種やミズゲルの核等の買い物をして島に帰る。俺が加工した砂粒に、イゼッタとリア、それにノーノが魔力を付与して属性魔石に変える。木の棒にくっ付けたり鉄板に乗せるのはラビアン達に任せた。赤ちゃん達のお世話もあるし、ゆっくり内職してもらおう。
昼食食べたら赤ちゃん達と一緒にお昼寝した。柔らかくて暖かくて可愛い。


「また、アソコ行くの?」

 夕飯を食べながら明日の予定を話していると、イゼッタがジト目で問うて来る。

「仕方無いだろ?マジックバッグが拾えそうなのがアソコくらいなんだから。他のダンジョンでも取れそうだとは思うが実績があるからな」

「…溺れちゃダメ。後、三日以内で帰って来て」

「三日だと入って一日しか居られないよ。十日は欲しいな」

「…四日」

「九日」

「カケルゥ…」

「分かったよう」

それでも宿一泊分を足して五日の日程をもぎ取った。ダンジョン内は往復四日。遊んでられないな。

「イゼッタさん、何故そんなに日程にこだわるのでしょう?」

「ですね。十日そこらなんていつもの事ですよね?」

「アソコ、女だらけ」

「「三日で」よろしいかと」

「絶対拾える訳じゃ無いんだからさ、頼むよ…」

女達の白い視線が刺さる。これは福利厚生せざるを得無いだろう。


 昨夜はお楽しみでした。と言うより朝までお楽しみでした。眠いのを我慢して食料やおやつを《収納》し、朝食を摂ったらノーズコーンに入って直ぐに空に上がった。移動中に寝ておくつもりだが、目覚めると既にダンジョン都市の上空で、日も天辺辺りに居た。どうやら寝過ぎたようである。街から少し離れて着陸し、荷車に乗り換えて街へと向かった。
面倒だけどギルドにて事務処理をしたらとっととダンジョンへ向かう。この時間だと出入りする冒険者は居らず、皆のんびり過ごしているな。受付で金を払って鑑札を受け取り、衛兵に鑑札を渡してダンジョンへと入ってく。十階迄は箱も無いだろうって事で、《威圧》の壁で四方を囲って飛んで進む。ブフリムやウォルスが突っ込んで来ては弾かれてる。薄暗いからもう少しだけ寝られそうだ。
で、気付くと十階のボス前。此処にも誰も居ないので、すんなりボス部屋に入って荒ぶってるブフリムを煙に変えた。ゴミみたいな魔石に、ゴミ以下の武器が落ちるがスルーして下への階段を降りた。

「宝箱、宝箱…」

階段を降りて、フィールドエリアを《感知》で見回す…が、無い。人が多いし開けられちゃったのだろう。更に潜って箱を探すか。
箱を探しながら潜って二十一階、ホテルオナホの階まで来た。箱は幾つかあった物の、マジックバッグは入って無かった。確か前回拾ったのは地下深くの明かりの無いエリアだったよな。少なくともあの辺り迄は潜らにゃならんのだろう。眠気も無くなって居たのでホテルを飛び越え更に下へと進んでく。
この辺になると《威圧》の壁にぶつかっても耐える敵が増えて来る。倒しても目的の品は見付からないのでスルーしたいのだが、数が多いので殺るしか無い。《散開》でモンスター共の体をグズグズにして、奴等の中にある魔石を浮かせて取り出すと煙になって消えて行く。はっきり言って戦闘では無い。だが敵は馬鹿みたいに突っ込んで来るので殺らない訳にもいかん。数の多さを鑑みて、今日は誰も入って無いと感じた。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

病弱幼女は最強少女だった

如月花恋
ファンタジー
私は結菜(ゆいな) 一応…9歳なんだけど… 身長が全く伸びないっ!! 自分より年下の子に抜かされた!! ふぇぇん 私の身長伸びてよ~

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

処理中です...