798 / 1,519
龍の天敵
しおりを挟む「なあリュネや、お前の《収納》に入ったダンジョンのトカゲは、出すとどの状態で出て来るんだ?ドロップで出るのか?」
「初めてなのでどうなってるか…。少し確認してみますね」
初めてだとリュネは言うが、中でまだ生きてたらびっくりだよな。解体されてる可能性もあるが、出したら煙に変わるのだろうか。
「は?もう殺っちまったのか…ですか?」
「ちゃんとドロップに変わってますね。出してみます」
ジョンの驚きを一瞥し、リュネがドロップを出した。五十八匹分の魔石に武器防具、アクセサリーに素材。
「魔石だけで二億は超えるな…」
「これはリュネのだから売らないぞ?」
「あ、ああ。それは問題無いぜ」
「こっちのは要らないのでどうぞ~」
魔石を見て機嫌の良くなったリュネが残り物をくれると言う。これは後で改めて検めようって事で俺が《収納》した。
「少し休憩したら下に行くぞ」
「はぁい」「お、おう」
「ジョンくん、久々のトカゲはどうだった?」
「当たったら死ぬな。ブレスを見て思ったんだが、鎧は持っても中身が焼けねぇか?」
「まあな。俺みたいなフルフェイスのフルカバーでも目は焼けると思うぞ」
「鎧の構造がダメだって事か。目と口はどうしても防げんから真面に食らったらどんな鎧でもダメなんだろうな」
「対抗出来る素材があっても試す機会は無いからな」
「ここに居ますよ?」
「ブレス吐くのは頼むよ。けど素材はネーヴェの鱗。俺尻尾しか見た事無い」
「ああ、そう言えばクリスタルドラゴンの鱗でしたら透けてますね」
「バイザーにすんのか…」
「ネーヴェが龍に戻った姿は見たいけど、痛い事したくないからやらん」
休憩を終えて亀裂へと飛んで行く。が、やはり亀裂。下は見えないし、壁沿いに階段があるでなし。唯、何となくだが亀裂の始まりの方からならチムニーで降りられそうな感じはする。
まあ、浮いて降りるけどな。
「カケル、下が見えんのだが」
「そうだな。多分だが、下の階とは空間が違っているから見えないのかも知れん」
「不思議ですねぇ~」
荷車を取り出して乗り込むと、浮かせて下に降りて行く。後部出入口から三人並んで下を覗いて居ると、少しして光が見えて来た。
「あの先が下の階ってか」
「多分なー」
しかし二人の予想は外れる事になる。遠くにあるように見えた光が突然近付いて、若しくは巨大化し荷車を包み込むと、突然ダンジョンの部屋へと変わったのだ。目が慣れるまでジョンは唸って居たが、俺とリュネは《感知》等で見えるので辺りを確認する。場所はよく見る石壁のダンジョンの部屋で、上向きの階段と外に繋がっているのだろうドアがある。階段を荷車で上がるのは幅的に無理だな。
「ジョンくん、平気か?」
「ああ。慣れて来た。今度は真っ暗か」
「灯り着けるから目を閉じてくれ」
「おう」
光の棒に魔力を込めて、部屋を明るく照らす。色の付いた部屋はやはり石の色をしていた。
目を開けたジョンが降り、荷車を仕舞って先へと進む。《罠感知》に反応無し。ドアをそっと開けながら《感知》でフロアを見渡した。
「カケルよう、こりゃあトカゲは流石に居ないよな」
「だな。こう通路が狭くちゃ身動きも取れまいよ。だが小さいのは居るな。トカゲより強いとは思えんが…、リュネはどう思う?」
「う…、ナマコ…」
「ナマコ?何ですかそれ」
「リュネが嫌いな生き物だよ。アレモンスターだったのか」
「いえ、魔獣化したモノでしょう。魔石の反応があります…」
「龍の天敵ってヤツか?」
「リュネが嫌いってだけだよ。美味いんだがなぁ」
「出来れば絶対食べたくないですっ!見るのも嫌です!カ~ケ~ルさぁ~んっ」
俺の腹にタックルかましてまで見たくないご様子。リュネが嫌だと言うのなら、此処より先に行くのは止めよう。ジョンを背負い、リュネをお姫様抱っこして階段を飛んで上がった。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
白紙の冒険譚 ~パーティーに裏切られた底辺冒険者は魔界から逃げてきた最弱魔王と共に成り上がる~
草乃葉オウル
ファンタジー
誰もが自分の魔法を記した魔本を持っている世界。
無能の証明である『白紙の魔本』を持つ冒険者エンデは、生活のため報酬の良い魔境調査のパーティーに参加するも、そこで捨て駒のように扱われ命の危機に晒される。
死の直前、彼を助けたのは今にも命が尽きようかという竜だった。
竜は残った命を魔力に変えてエンデの魔本に呪文を記す。
ただ一つ、『白紙の魔本』を持つ魔王の少女を守ることを条件に……。
エンデは竜の魔法と意思を受け継ぎ、覇権を争う他の魔王や迫りくる勇者に立ち向かう。
やがて二人のもとには仲間が集まり、世界にとって見逃せない存在へと成長していく。
これは種族は違えど不遇の人生を送ってきた二人の空白を埋める物語!
※完結済みの自作『PASTEL POISON ~パーティに毒の池に沈められた男、Sランクモンスターに転生し魔王少女とダンジョンで暮らす~』に多くの新要素を加えストーリーを再構成したフルリメイク作品です。本編は最初からすべて新規書き下ろしなので、前作を知ってる人も知らない人も楽しめます!
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~
裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】
宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。
異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。
元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。
そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。
大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。
持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。
※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界帰りの【S級テイマー】、学校で噂の美少女達が全員【人外】だと気付く
虎戸リア
ファンタジー
過去のトラウマで女性が苦手となった陰キャ男子――石瀬一里<せきせ・いちり>、高校二年生。
彼はひょんな事から異世界に転移し、ビーストテイマーの≪ギフト≫を女神から授かった。そして勇者パーティに同行し、長い旅の末、魔王を討ち滅ぼしたのだ。
現代日本に戻ってきた一里は、憂鬱になりながらも再び高校生活を送りはじめたのだが……S級テイマーであった彼はとある事に気付いてしまう。
転校生でオタクに厳しい系ギャルな犬崎紫苑<けんざきしおん>も、
後輩で陰キャなのを小馬鹿にしてくる稲荷川咲妃<いなりがわさき>も、
幼馴染みでいつも上から目線の山月琥乃美<さんげつこのみ>も、
そして男性全てを見下す生徒会長の竜韻寺レイラ<りゅういんじれいら>も、
皆、人外である事に――。
これは対人は苦手だが人外の扱いはS級の、陰キャとそれを取り巻く人外美少女達の物語だ。
・ハーレム
・ハッピーエンド
・微シリアス
*主人公がテイムなどのスキルで、ヒロインを洗脳、服従させるといった展開や描写は一切ありません。ご安心を。
*ヒロイン達は基本的に、みんな最初は感じ悪いです()
カクヨム、なろうにも投稿しております
第三王子に転生したけど、その国は滅亡直後だった
秋空碧
ファンタジー
人格の九割は、脳によって形作られているという。だが、裏を返せば、残りの一割は肉体とは別に存在することになる
この世界に輪廻転生があるとして、人が前世の記憶を持っていないのは――
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる