上 下
792 / 1,519

ホント、止めろって

しおりを挟む


 帰宅したその日は一日ゆっくりして、翌日。忘れかけていた商売に行こうと思う。

「カケル、お出かけ?」

「私もおでかけ」

「カケル…、行っちゃやなの」

イゼッタにネーヴェにカラクレナイが立ちはだかってがぶり寄る。ネーヴェは出掛けるんだからがぶり寄るなよ。

「ジョンの所にデカい魔石を売りに行くんだ。パパは生活費を稼がなきゃならんのだ」

「私、テッチー達のトコ行く。いっしょ~」

右の腰にがぶり寄ってたネーヴェが背中に回り込む。押すな。

「仕事だけ?」

「そりゃあ仕事だけだろ。お土産買って来ようか?何が良い?」

「おしめ」

洗い替えはあるが新規で欲しいそうだ。売っていれば必ず買うと約束し、離れてくれた。

「カララも行きたいの」

「そうだなぁ。ママの許可があれば良いぞ?」

「聞いてくるのー!」

ぶっ飛んで食堂を出るカラクレナイ。小島の国に行くのかな?急いでは無いが勝手に行くと嫌われちゃうだろうから待つしか無い。他に売れそうな物でも探してみるか…。

「他に売れそうな物、何か無いかな」

「奥様方、お茶をお持ちしました。ご主人、ダンジョンに潜ったのならドロップは無いのか?」

「ダンジョンの街で粗方売っちゃったんだ。もう魔石のデカいのと魔剣魔装しか残ってない」

  「それは売りにくいですね。お菓子をお持ちしました」
フラノノがお茶とお菓子を並べてくれるのでお茶にしよう。ネーヴェはお友達にあげる用のお菓子も欲しいと言って厨房に消えてった。おやつは俺も欲しいな。殆ど俺、食ってないけど。

「カーケールさぁん」

「なーあーに?」

「母さんの所に行くのですか?」

「ジョンの所に行くだけだよ」

「私も行きますね?」

「まあ、良いけど」

リュネが同行すると言う。本当にママ様の所に行く予定は無いのだが、来たいと言う龍を拒否は出来まい。

「おやつもってきた~」

「それは良かったな。俺も欲しいんだが残ってるか?」

「…あげる」

厨房から略奪して来たおやつの中から小袋一つ出してくれた。多分甘納豆だろう。

「旦那様よ、娘と出掛けたいそうだが?」

カラクレナイを連れてミーネが帰って来た。助詞が少しおかしいぞ?

「ミーネ。カラクレナイ一緒に来たいんだよ」

「やはりな。母の所に行くのか?」

「ジョンの所にデカい魔石を売りに行くんだ。ネーヴェが遊びに行くから、そっちで一緒に遊べば良いと思うぞ」

「それでも良いの。ママァ~」

「カララちゃんは、私と一緒に行きましょうね~」

「ネーヴェ様と遊んでおけ」

「はぁ~い」

「ああん、いけずぅ~」


 カラクレナイが戻って来たので移動しよう。転移門を潜ってクリューエルシュタルトに着くと、カラクレナイはネーヴェと共にテッチー姉妹の家に遊びに出る。俺とリュネは一路ギルドへと向かった。

「げっ、カケル…様。何か用ですか?」

カケルの姿だとこの対応である。ライデンの時は真面に応対してくれたのに…。

「ジョンに売り物を用意して来たと伝えろ。それと、街が更地になるからそれ以上の暴言は止めておけよ?」

「はあ。まあ呼んで来ますが、売るなら買取りカウンターでも出来ますよね?」

ホント、止めろって。後ろでリュネがギリギリ言ってるのが聞こえないのか?
のらりくらりと階段を上がって行く馬鹿女は後で脱糞させるとして、今はこの街の脅威を排さねばならん。

「リュネ、二人きりでそんな顔しないでくれよ」

「カケルさんはもっと怒って良いのですよ?」

「リュネが居るから怒らないだけだよ。居なけりゃ即脱糞させてるさ。可愛いリュネに臭い思いさせたくないんだ」

「んもう、カケルさんったら」

「カケル!リッ、リュネ様!?お久しぶりです」

ドタバタと階段を駆け下りるジョンが急減速して腰を低くする。

「買取りカウンターに行けって言われちゃったよ」

「ギルドを更地にしてくれと言っていましたねぇ」

そんな事誰も言ってないぞ?
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

異世界ハーレム漫遊記

けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。 異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

後宮の侍女、休職中に仇の家を焼く ~泣き虫れおなの絶叫昂国日誌~ 第二部

西川 旭
ファンタジー
埼玉生まれ、ガリ勉育ちの北原麗央那。 ひょんなことから見慣れぬ中華風の土地に放り出された彼女は、身を寄せていた邑を騎馬部族の暴徒に焼き尽くされ、復讐を決意する。 お金を貯め、知恵をつけるために後宮での仕事に就くも、その後宮も騎馬部族の襲撃を受けた。 なけなしの勇気を振り絞って賊徒の襲撃を跳ね返した麗央那だが、憎き首謀者の覇聖鳳には逃げられてしまう。 同じく邑の生き残りである軽螢、翔霏と三人で、今度こそは邑の仇を討ち果たすために、覇聖鳳たちが住んでいる草原へと旅立つのだが……? 中華風異世界転移ファンタジー、未だ終わらず。 広大な世界と深遠な精神の、果てしない旅の物語。 第一部↓ バイト先は後宮、胸に抱える目的は復讐 ~泣き虫れおなの絶叫昂国日誌・第一部~ https://www.alphapolis.co.jp/novel/195285185/437803662 の続きになります。 【登場人物】 北原麗央那(きたはら・れおな) 16歳女子。ガリ勉。 紺翔霏(こん・しょうひ)    武術が達者な女の子。 応軽螢(おう・けいけい)    楽天家の少年。 司午玄霧(しご・げんむ)    偉そうな軍人。 司午翠蝶(しご・すいちょう)  お転婆な貴妃。 環玉楊(かん・ぎょくよう)   国一番の美女と誉れ高い貴妃。琵琶と陶芸の名手。豪商の娘。 環椿珠(かん・ちんじゅ)    玉楊の腹違いの兄弟。 星荷(せいか)         天パ頭の小柄な僧侶。 巌力(がんりき)        筋肉な宦官。 銀月(ぎんげつ)        麻耶や巌力たちの上司の宦官。 除葛姜(じょかつ・きょう)   若白髪の軍師。 百憩(ひゃっけい)       都で学ぶ僧侶。 覇聖鳳(はせお)        騎馬部族の頭領。 邸瑠魅(てるみ)        覇聖鳳の妻。 緋瑠魅(ひるみ)        邸瑠魅の姉。 阿突羅(あつら)        戌族白髪部の首領。 突骨無(とごん)        阿突羅の末息子で星荷の甥。 斗羅畏(とらい)        阿突羅の孫。 ☆女性主人公が奮闘する作品ですが、特に男性向け女性向けということではありません。  若い読者のみなさんを元気付けたいと思って作り込んでいます。  感想、ご意見などあればお気軽にお寄せ下さい。

処理中です...