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宮仕え

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 勇者召喚まで四十七日。俺は一人、ジョンの街こと、クリューエルシュタルトに来ている。

「いらっしゃいませ。貴方は確か…」

「ライデンだ。今日もギルマス殿に言付けを預かっている。取り次いで貰えるだろうか」

「承りました。少々お待ちください」

にこりと笑って階段へと向かう受付嬢。カケルの頃と対応が段違いだぜ。暫くして戻った受付嬢に上へと誘われ、何時ものジョンの部屋。
お茶が出て、ジョンとサブマスと俺。一服入れて話を切り出す。

「勇者の事だけだが、先に聞いて来たぞ」

「やっぱ、来んのか」

「来る。だが俺は阻止しようと思う」

星見の結果が書かれた紙をテーブルに置いて、二人に見せると、サブマスは眉間に皺を寄せた。

「なあカケルよう。勇者を呼ぶって事は魔王が居るって事なんだよな?」

「マスター、どうやらそうでも無さそうですよ?」

「ん?どーゆーこった」

「カケル様はまだ魔王についての情報を得ていませんよね。なのに召喚を阻止なさろうとしております。その事から察するに、まだ魔王が現れていないように思えます。女としては、魔王が居ようが居まいが成し遂げて頂きたいとは思いますがね」

「そうだな。召喚前に潰す予定だ。まあ、死んでから召喚されてたとしたら済まないとは思うが、犯されて洗脳されるよりは良いだろうよ」

「そんな事もあんのか」

「人の魔法で来るなら死んでは無いとは思うけど、絶対無いとも言い切れん。生きているなら元の世界で過ごせる筈だ」

「だと良いな。んで、その事を報告すっ為に態々ウチまで来たのか」

「聞きたいって言ってたろうが。シューンシューンズデーゲンのお婆ちゃんにも教えたれよ。寿命がどんどん縮んでるぞ」

「それは元々だろ」「マスター!カケル様も失礼ですよ?」

怒られちった。そんな訳で、お婆ちゃん宛の手紙を書いてもらいギルドを後にした。到着は十日は掛かるそうだ。とは言えまだ用事は終わってない。と言うより此方が本命だ。
 魔力をほんのり出しながらヤリ部屋に向かう。部屋に入るとだいぶ待たされるので玄関入って直ぐの階段に座って待つ。
トントンとドアをノックするのはお前でも貴様でも無かったが、居留守を使うのもアレなので応える。

「開いてるよー」

「あ、失礼致します。カケル様でしょうか?」

ドアを開け、顔を覗かせたのはメイドだった。

「カケル様…ですか?随分と様変わりなされたようで」

「逆によくカケルだと分かったな。ジョンでもん?ってなってたぞ?所で何処の家の子かな?」

「失礼致しました。私、ハーク様の所でメイドをさせて頂いております。ネイファンと申します。と言うのは建前で、暗部の一人で偽名です」

「ハークの家を監視してるのか」

「はい。此方にはブルラン様も居りませんからね。家主が居ない家を手入れしておりますよ。カケル様の魔力は一度見ておりましたので、それと、此処に居りますので…」

「まあ、俺じゃ無かったら排除されてるだろうな。所でお前と貴様は仕事か?」

「はい。一人はシューンシューンズデーゲンで、もう一人は他の仕事に当たっている筈です」

「暗部、忙しいみたいだなぁ」

「一応宮仕えですからね。暗部にご用がありまして?」

「諜報用に二人程借りたいと思ってたんだ。俺が監視してても良いんだが、一人じゃ寂しいしな」

「それで、あの二人と言う訳ですか。…カケル様にはお二人をお守り頂いた貸しがありますし、上と掛け合ってみても良いですよ?」

「悪いね。借りる理由は諜報活動でもして調べてくれ」

「承りました。所でカケル様。カケル様は大層精力がおありとメイドや同胞から聞いております」

「部屋に行こうか」「喜んで」

階段を上がり、部屋に入る。ドアを閉めた俺の目の前には尻を出したネイファン。

「名前はネイファンで良いのか?」

「はい。今日からネイファンが私の名前です。よろしくお願い致します」

良ろしくなる迄致してやった。

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