上 下
692 / 1,519

子供のおもちゃ

しおりを挟む


 詳しくないが、気になったので聞いてみる。

「首がすわるの早いな」

「筋肉の付きが早いのだと思う。普通は三月は掛かるそうだがな」

「やっぱりそのくらい掛かるのか」

「そんな事より、カロは良いのか?」

「ああ。イゼッタ達もそろそろでな。カロ邸で世話になってるよ」

「それで家にも来た訳か」

「お、お水どうぞ。あの、お二人はどう言った関係で?」

立ちっぱなしで蚊帳の外だった女の子が割って入る。

「似てるだろ?」

「え…?まさか」

「言う程似てはいないねぇ。暗い髪色は何となく似てなくもないが…、何処かで混ざったかな?」

「そんな…」

「混ざっても俺の方が強いと思うぞ?逆に聞きたいんだが、君は家政婦組合の子?」

「え!?いえ、違います。私は冒険者ギルドで事務をしてるペリュテと言います」

道理で俺を様付けする訳か。丁寧なお辞儀をするペリュテは、非番の子が交代でお世話に来てるのだと言う。

「で、あたし等の顔を見に来ただけかい?それとも、またシたくなったのかい?」

「カケル様!タマリーさんはまだ半月ですよ!?」

「体が落ち着いたらまたしような。今日は体の調子を見に来たんだ」

「調子?至って普通だね。この子の世話が無けりゃ仕事に出てる所さ」

「その割に、結構零れてるじゃないか」

「ああ…。こればっかりはね。飲んでくかい?」

緩めの服の膨らみからは染みが二つ垂れている。衛生的に問題無ければ容器に貯めておきたい所だな。

「ガンダーの分が無くなっちまうだろ?味見だけにしとくよ。それより、体の歪みを治してやるよ」

「歪み?何だいそれは」

骨盤や背骨の歪みについて説明する。解体をしてるだけあって、骨や椎間板の話は理解が早く、自身の腰を捻ったりして感覚を確かめたりしてた。

「本当はもっと早くしたかったんだがな」

「…怖かったのさ。あンたに囲われて、弱くなるあたしが」

「子供が出来ると強くなるみたいだぞ?良かったな」

「あの、カケル様。良いでしょうか?」

ペリュテが挙手して声を出す。何ぞや?

「こんな事言うのは失礼かと思うのですが、養育費等はどうしてるんですか?」

「欲しいか?」

「要らないね」

「遠慮すんなって。俺はそこそこ金持ち冒険者だぜ?」

「カケル様もそう言ってますし、頂きましょうよ」

「そうだぞー?しっかり育てて良い男にしてくれよな」

テーブルに、トカゲの魔石を置いてやると、じっとしてたガンダー君の手が伸びて、ぺたぺたやり出した。

「子供のおもちゃにしてはちとデカいけど、誤飲しないからまあ良いか」

「なっ、すご…。何の魔石ですかそれ」

「レッサードラゴンだね…。はは、どんだけ狩るのさ」

「家の主食、大体これなんだ。魔石は色々使うから売りたくないんだが、皮とか他の素材は値崩れするからって売らせてくれんのよ」

子供のおもちゃを取り上げるのは忍びないので、海竜の魔石をゴロンと床に置いてやる。二人共に驚きを超えて引いていた。

「持てるかな…」「無理ですよ…」

「売るなら荷車用意しなきゃな。それより体の歪みを治させてくれよ」

「え、あ、ああ。分かったよ。部屋に来な。ペリュテは其奴を見てておくれ」

「はい…。赤ちゃんが居るんですから、如何わしい事はしないで下さいね?」

授乳は如何わしくは無いよな。タマリーに連れられて二階に上がり、寝室へ。そこそこキレイにしているようだが、窓から射す光に埃がキラキラ舞っている。

「少し埃っぽいな。これを進呈しよう」

「魔石?属性魔石か?珍しい形だな」

「魔石の周りをゲルで固めた加工品だよ。浄化を付与してある」

キラキラの埃の前に魔石を翳し、ほんの少しの魔力を込めると、たちまち埃が消えて行く。

「部屋の汚れが消えるから産室にも置いてるんだ。ガンダーの為にも使ってくれ」

「そう言われると断れないね。で、あたしはどうすれば良いのさ?」

「先ずは、おっぱい吸わせて」

「ふはっ、来なよ赤ん坊」

タマリーの真ん丸おっぱいにしゃぶり付いた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

病弱幼女は最強少女だった

如月花恋
ファンタジー
私は結菜(ゆいな) 一応…9歳なんだけど… 身長が全く伸びないっ!! 自分より年下の子に抜かされた!! ふぇぇん 私の身長伸びてよ~

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...