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舌っ足らず

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 玄関前に座り込み、大きめのお椀にミズゲルの核を流し入れ、手で掻き混ぜながら《洗浄》したり《集結》したりしていると、集荷を終えたシャリーだろうか、バスがこっちに向かって来た。

「何時もありがとうな」

「本当は奥様に付いていたいのですが、体を鈍らせるのも良くないですからね」

「お産が近くなったらこっちは休んで良いからな。後、七日に二日は休んでも構わないぞ?」

「そんなに休んだら供給が足りなくなりますよ」

「地元業者も居るんだ、その程度じゃ無くなりゃしないさ。休みは必ず取る事」

「わ…、分かりました。街で調整してから休む事にしますね」

渋々と言った様子でシャリーは行商に向かって行った。シルケ人は勤勉か何か知らんが、仕事は定時で毎日出勤…みたいなのが刷り込まれているようで、休むのも仕事だと言わないと休んでくれない。家も農家だったし理解は出来るけどな。

 暫くするとリームも帰って来て、魔力を込めた砂粒に、パパッと火の付与を施してくれた。リームの魔法は人のレベルの最高峰を少し超えている。なので付与の調節がとても上手だ。お礼とご褒美を兼ねて脱力する迄撫でてやった。

「主しゃまは、われをなめくじにれもしゅるつもりか…」

なめくじ居るのか。ぬめぬめなめなめしたい所だが今日はここ迄。腹も減ったしチューして島に戻った。

「カケル様、おはようございます」「おはようございまーす」「お、おはようございますっ」

朝食にテッチー姉妹と借りて来た猫状態のティータが来てた。樵に遊びに行った二人の話を聞いて、女将さんが勉強して来いってさ。

「もうシャリーは仕事行っちゃっただろ」

「あ、明日から頑張ります!」

「ティータちゃん、食べたら寝具店の見学だよ?」

「ご飯食べたら頑張ります!」

まあなんだ、頑張れ。

 食後、出掛ける見学女子三人とお友達のネーヴェ、実家に帰らせてもらいますのサミイと赤ちゃん見たいイゼッタとリア、お付のメイド二人。大所帯でバルタリンドへ向かって行く。

「ああ、ネーヴェ。済まないが寒い国の部屋に付与を掛けて欲しいんだが」

「ん、やっとく」

「旦那様よ、私も出掛けて来る」

ミーネはリームを連れてウラシュ島に行くようだ。俺?ジョンの街に行きたいが絶賛カラクレナイからべろべろ中。

「…いってらったい」

舌っ足らずで可愛く聞こえるが、歯と歯の隙間に俺の右上腕が挟まっているのだ。今首を振られたらブチッと行くぞ…。

 女達が各々の仕事や予定で出払って、やっとカラクレナイから解放された。女児とリュネが魔法の練習するのに付き合うのだとさ。

「只今戻りました。カケル様、奥様は何処に行きましたか?」

「ママ上殿の赤ちゃん見に行ったよ」

「成程。それでサミイ様やリア様もいらっしゃらなかったのですね」

行商に出ていたシャリーが帰って来たので今度は俺がジョンの街に向かう。ダンジョンで拾った魔石は要らないから売ってしまいたいんだ。

 街に出て挨拶行脚の寄り道したらギルドの三階へ飛んで窓をノックする。

「開けて~」

「下から来いよ。もう鍵掛かってねーぞ?」

「そうなのか」

「鍵掛けてんのは雪の時期だけだからな。まあ良いや、入れよ」

ギルマス部屋で仕事する振りをしていたジョンに窓を開けさせソファーに座り、テーブルの上にジャラジャラと魔石を山にした。

「あ?売りに来たのか。お前にしちゃ常識的な量だな」

「目的が違うから大して狩らなかったんだ」

「目的?魔装か?」

「否、モンスターの雌とセックスしてた」

「お前、常識ねーな…」

「一応同意の上だからな?」

「ダンジョンのモンスターは理性無くして人に襲い掛かる…ってのがこの世の常識なんだがな」

「会話は出来無かったが意思の疎通は取れてたぞ?」

「新発見だなそりゃあ。常識が覆るぜ」

サブマスが来て魔石を鑑定する間、アラクネやハーピー、ミノタウロスの雌の話や魔力を注ぐ程対応が良くなるホテルオナホの話をしてやったら女のサブマス顔真っ赤にしてたよ。

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