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火葬
しおりを挟む街の中心に降り立つリュネドラに、街の者が集まって来る。光を放ち人化すると皆が驚いていた。
「街の周りに居た敵は全て《洗脳》した。これからは強制労働者として亡くなった者の分以上に働いてもらうつもりだ」
「「「おおーー」」」
歓声が上がる。
「先ずは戦没者を弔う。マシュエル、頼むよ」
「任されよ。街の外に、墓を作らせて欲しい。畑が少し狭くなるが、構わんか?」
「構わんが、アンデッドにならないようにな」
「聖職者が居らんこの街では、その保証は出来かねるな…」
「ならば、焼いて骨にして、砕いた物を壺に入れると良い」
「それは、死者への冒涜にならぬか?」
「ゾンビにして二度殺すよりは良いと、俺は思う。ちなみに火葬と言って俺の生まれた国では一般的な方法だ」
「カソウ…火葬か。ならばそれに従おう」
墓は後日俺達が作ると言う事で、皆は各々の家へと帰って行った。
「まだ、何かする様だな」
残って居たのはボーデンフェルト。リュネを見て、まだあると踏んでいるようだ。
「まだ大元を捕らえてませんからね」
「…だ、そうだ。捕まえた奴で一番偉そうなのを出してくれ。多分だが、船の中に居たのの中に居るだろう」
「はい。…これですかね」
全裸で現れた男が大地に倒れ込む。龍の《収納》でも脳味噌壊れちまうんじゃなかったっけ?
「起きなさい」
「あ…はぃ…」
返事を返して起き上がる全裸。
「指揮していたのは其方ですか?」
「違いま…」
操り人形の糸が切れたようにドサリと倒れ、次の全裸が現れる。同じ質問をすると、今度は指揮者であると言う。
質問の回答を要約すると、ヒズラーの軍人が略奪しに来たとの事。そして指示は上の階級の者から下されたと。国からの指示かどうかは分からないと言う事だった。
「カケルさん、行きましょう」
「そうだな。目立たぬように行こう」
答えを求めぬ台詞に合わせ、一つだけ注文を付けて、光を纏うリュネドラに乗り込んだ。《阻害》を掛けて、高速で飛んで行った先は以前見た要塞であった。
「軍属の上の奴を捕らえてくれ。国からの指示なら国を滅ぼさねばならんからな」
「回りくどいですがその通りですね」
「リュネが理性ある龍で俺は嬉しいよ」
「カケルさんが優しい人で私も嬉しいです」
上空五千ハーンに居るリュネドラの前に、一人の男が連れて来られた。デブだ。多分当たりだろう。
「この要塞の責任者か?」
「はい…」
当たりだった。だが、略奪の指示はコレから出ては居なかった。指示を出したのは国であると聞かされ、面倒に拍車が掛かる。
「貴族と軍属をやらにゃならんのか…」
「無駄に広いですから、時間が掛かりますね」
「頭を押さえて、今夜は終わりにしよう」
「では城に向かいましょう」
デブに王の居所を聞き出して、捨てる。落ちた先を確認せぬまま飛んで行き、豪華でデカい城のある街に辿り着いた。それだけ儲けてるんだなきっと。
で、リュネが攫って来たのは若い男だった。ジョンより少し上か?イケメン爆ぜるべし。
「王か?」
「はい…」
「ヒズラーに略奪を仕掛けて居るか?」
「はい…」
「ヒズラー以外にも仕掛けて居るか?」
「はい…」
ダメだ此奴早く何とかしないと。とは言え此奴を殺しても後釜が座るだけだし、後釜が善政するとは限らない。全ての略奪を中止させる指示を出し、一先ず城に帰した。
「更地にはしないのですね」
「多分だが、全く罪の無い人も居るとは思うんだよ。人は生まれながらにして罪人であるとも言うけどさ」
「何処ぞの宗教ですか?」
「だな。自身を罪人だと思わせる事で宗教に金を払わせる手段の一つだな。略奪した飯を食って産んだ子は、罪人か?」
「そう言われると、困りますね。自らは選べませんもの」
「それに、人の子を殺すのをリュネだけに背負わせたく無い」
「気にしなくても良いのですよ?私が背負うのはカケルさんだけです。偶に子供達も乗せますが、ふふっ」
帰ったらバックでしてやろう。
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