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たまには顔出せ

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 午後は居間にて魔道具の棒や鉄板、浄化の魔石の素材作りに励む。鉄板は属性魔石の埋め込み迄は他の者でも出来るのだが、固めるのは俺や龍でないとダメみたい。浄化の魔石については進展があった。今迄重いトイレに埋め込むので固める手間があったのだが、これを解決したのがクリスタルモドキである。浄化の属性魔石をクリスタルモドキで包んで固めて発動させた所、クリスタルモドキは浄化されなかったのだ。まあ、何でもかんでも浄化で消し飛ばしていたらトイレも尻も無くなってしまうからな。
透明の大福の中に砂粒が一つ入った姿は掌サイズで何となくゲルっぽい。そして淡い緑の光が心を落ち着かせるような気がする。

「この玉をトイレやゴミ箱の中に入れる訳ですね?」

作業を見物していたサミイが商売人の目をしてる。

「ママ上殿の部屋にも置いたが、部屋の空気や中に居る人を浄化してくれるので出産や傷病者の治療、肉や魚の売り場にも使えそうだよな」

「局所的ですが費用対効果は高そうですね」

作業を見物していたシャリーが商売人の目をしてる。

「生産者が少な過ぎて生産がおっ付かないだろうが、良い物だと思うよ」

「私が《集結》使えたら…」「私もお役に立ちとう御座います」

作業を見物していたイゼッタとリアだが、今はご自愛ください。


 作業が終わり、皆が自由に振る舞う中、ネーヴェを連れてジョンの街に向かう。朝の行商に出ていたシャリーに、街の奥さん連中からたまには顔出せ、と言伝を承ったからだ。テッチー姉妹の父親に薬を使わせたいしな。街の女とウフウフしたかったが、夕飯迄に帰って来いと言われてしまった。残念だが仕方無し。

「テッチー、ラッテー、いる~?」

商館の裏口でネーヴェが大きめの声を上げると、直ぐに使用人が出て来て対応してくれた。

「お嬢様達は只今お勉強の最中ですが、他ならぬネーヴェ様ですので話を通して参ります。暫くお待ちください」

だって。信頼されてるなーネーヴェは。暫く待つと、パタパタと忙しなく走って来る二人。予想通りの展開である。体勢を低くし、両手を広げて待つ。

「「ネーヴェちゃーん!!」」

…予想通りの展開である…くっ。
走り寄る二人が抱き着いた先は言わずもがなのネーヴェ。姦しい笑い声がキャッキャウフフと俺の傷を抉る。

「残念でございましたね」

「お土産に肉、持って来たのに…」

「あら!そんなお気遣い結構ですのに!?外はお寒かったでしょう?温かいお茶をお持ちしますので、ささ、皆様中へどうぞ」

使用人は五ナリ程にもなるトカゲの肉を赤ちゃんの如く大事に抱え、クルクルしながら厨房へと向かって行った。その内俺は肉の人呼ばわりされるに違いない。

「二人共、お勉強の時間はまだ終わってないのよ?」

階段を降りて来たのは普段よりちょっぴり厳しい顔付きのエリエッテだ。教育ママにエッチな教育されたい。

「奥様済まない。少し寄ったから顔を見せに来ただけなんだ」

「そうですか…。休憩にしますからお部屋にお戻りなさい。それと、後で続きをしますからね?」

「「はーーーい」ネーヴェちゃん、行こっ」

パタパタと姦しさが離れて行き、エリエッテと二人になった。

「薬が出来ました」

「お待ちしておりました。とにかく中へどうぞ」

エリエッテの尻を見ながら客間に通された。

「本日は主人が居りますので、何もお構い出来ませんが…」

お構い出来ないのにアイツにしゃぶり付いてるよ。

「お構いなく。この薬は効果が強いから、一回一滴で四日くらいは持続する。くれぐれも使い過ぎるなよ?」

「んちゅ…。明日にでも、お会いしとうございます。んっ、んぷ…」

「効果の感想も聞きたいし、今夜は部屋に居るから異常が出たら何時でも来てくれ」

「ん、んっ、はむ」

返事らしい返事は無いが、本当にヤバかったら来るだろう。ちゅ~っと濃いのを飲み干すと、教育ママの顔に戻って客間を出て行った。
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