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ドア

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 獣のお客様は俺の後ろに隠れて巨大カラクレナイに見つからないようにしてる。バレバレだけどな。
バフーバフーと、自分ではくんかくんかしてるつもりのカラクレナイの鼻息で柔らかな獣毛がそよいでおられる。

「この子はバジャイ。獣にかなり近いが人の子だ。仲良くしてやってくれ」

「体毛まで獣な獣人は初めて見ますね。カケル様の性奴隷のテイカです。よろしくお願いします」

「カラクレナイなの」バフー

「バジャイ…、バジャイ!」

他の住民もぞろぞろやって来た。お帰りラッシュだ。

「カケルーおかー」「お帰りなさいませ」「お帰りなさーい」

嫁達もそろりそろりとやって来て抱き着いて来る。ちゅっちゅっちゅー。

「獣人のバジャイだ。よろしく頼むよ」

「バジャイだ…す」

だす?知らない人が一杯で、縄張りも無いからテンパってるんだな。

「ん、よろしくする」「宜しく致しますね」「よろしくです!」

バジャイを連れて新居の居間に移動する。此処よりは人も多くないからな。

「おかえりなさい、カケルさぁん」「おかえり、旦那様」

「ふぎっ」

人は少ないが恐るべき相手が二人居た。股の間に尻尾を仕舞って泣きそうになってるバジャイを抱きあやし、撫で付け撫で付け落ち着かせる。

「バジャイ、リュネとミーネだ。ネーヴェやリームと同じ龍だから挨拶すると良いぞ」

「ば、バジャイィ…。たべないで…」

「うふ、食べませんよ。リュネです。バジャイはカケルさんの事、好きですか?」

「すき!カケルさまぁ好きぃ!」

「ならバジャイは仲間です。よろしくね」

「ミーネだ。人の肉よりトカゲの方が良い。宜しくしてやろう」

「あい~っ」

言葉とは裏腹に、俺にめり込む勢いで抱き着いてるバジャイである。慣れるまでは静かに過ごさせてやらんとな。
新居から母屋の寝室に移動して、毛布を被って腕枕されてやっと落ち着いた。俺も鎧を外して寝る所存。

「知らない人が一杯でびっくりしちゃったな」

「びっくり…。こわい…。けど、カケルさまの匂いがするぅ」

脇の匂いでない事を祈る。毛布と一体化したマイクロファイバー毛布は暫く静かにしていたら寝てしまったようだ。体の右側だけとても温かい。左側は雑木紙でも掛けとくか…zzz

 何オコンか寝て、気付けば夕方。バジャイを起こして夕飯の手伝いに向かおう。寝る前よりも幾分か落ち着いたバジャイと手を繋いで食堂に向かうと、既に兎達が巨大カラクレナイ用の大皿料理を搬入していた。

「カケルー」

鎮座してるカラクレナイが俺を呼ぶが、バジャイがぷるぷるしてるので遠慮させてもらう。カラクレナイは良い子なので此処は引いてくれた。埋め合わせは後で必ずしてやろう。
バジャイをテーブルの隅に座らせて、手伝いに出ようとするがバジャイは離してくれそうもないな。

「バジャイ、隣、良い?」

「うっ!?ネべさま?あいっ!」

空気を読めるネーヴェが隣に座った事でバジャイも一安心。料理を運ぶ手伝いが出来るぜ。


「カケル、みて」

夕飯を終えて新居の居間でお茶をしていると、イゼッタが何かを見て欲しいと言う。俺の留守中に皆で何やら作ったようだ。マジックボックスから取り出したのは…ドア?丸い金属製のドアノブが付いた、木製のドアとドア枠が土台に乗って直立していた。

「テイカとリュネ様の合作」

「ドア…だな」

「ん。も一つある」

同じドアだ。量産するので街に設置しろって事かな?俺は丁番作れないので凄く助かる。

「見てて」

イゼッタが、二枚のドアの片方の前に立ち、俺に尻をチラつかせながらドアを開けた…。

「なっ!まさか!?」

「転移の扉」

尻を突き出し体をドアの中に入れているイゼッタと、ドアから身を乗り出し此方に向かってドヤ顔を晒すイゼッタが居る。二十二世紀の少し不思議な科学技術の産物が、魔法で再現出来た…だと…?

「テイカさんのドアに転移を付与したら出来ちゃいました。うふふ」

「マジかよ…」

更に驚く事になる。


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