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フラグ
しおりを挟むキネイアッセン大陸の街は冒険者も居てそれなりに人も多いが、戦争で搾取されているのは変わらずで、食料が馬鹿高かった。売れば儲かる商機ではあるが、個人に売らなきゃ違う所が消費するだけだ。なので敢えてスルーした。俺が救える生命の数なんて高が知れているからな。
その代わり、街に来たいと言う物は連れて行く事にした。戦災孤児と未亡人が多いのだ。勿論ウラシュ島である事は告げている。皆納得して付いて来た。ウラシュ島での戦争だが、戦った相手はウラシュ人では無いからな。
帰宅希望者十人は皆帰路に着く事が出来た。戦争してる糞である国ではあるものの、税の徴収の為に戸籍を取っていたのは悔しいがグッジョブだ。郷が分からぬ子供四人も、ギルドで素早く特定する事が出来たよ。
ただ、親にはあまり良くない感情が渦巻いていたが。
どうやら四人とも、連れ去られた体で売られたようだ。
食えないから口減らし。分からなくはないが分かりたくもない。こっそりと《洗脳》して、絶対に子供を売らないように、しっかり育てるように念を押した。俺に出来るのはこれくらいだ。
自然が豊かなこの大陸で、森の幸を手に入れられず、腹を減らす。理由はモンスターの強さにあると村長は言う。俺も大変な目に遭ったデッドサーチャー等、森の中は他の大陸に比べて比では無いようだ。戦争して、大陸内の間引きを怠ったせいらしい。
「仕方無いな」
「どしたの?」
空に上がり、ふと呟くとネーヴェが背中に乗って来た。
「ちょっと魔石を取るから、街に行くのはもう少し待ってくれ」
「カケル、私もやる」
「ありがとうネーヴェ。直ぐに終わるから少しだけ待っててくれ。バジャイも大人しく待っとれ?」
「戦うの?」
「戦うよ」
「帰ってくる?」
「帰って来てるぞ。帰ったら交尾してやる」
「まってる…」
俺、この戦いが終わったら、バジャイと交尾するんだ。…なんてフラグチックな事を考えながらネーヴェと外に出る。
上空千ハーンから、魔獣や野獣、モンスターの魔石だけ超高速で空に上げる。食える獲物はネーヴェが回収、その他諸々は《集結》で玉っころにして海に捨てた。
移動しながらそんな事を繰り返し、多分魔石は五千を超えただろう。夕方になる前に帰宅したかったが、シルケは丸く、東から西に移動する訳で、帰宅した頃には夜になってた。
UFOに乗せて来た移民は四十四人。内子供二十六人。男十人の女十六人。強制労働者は八十一人で内女五人。総勢百二十五人にもなった。
「お前、本当の人攫いになったのか?」
何時もの独り身の兵士に言われたので、嫁が出来ない呪いを掛けてやろう。
夕飯に採れたての肉を出して皆に振る舞う。飢えていた移民は泣きながら食ってたよ。そして今夜の寝床は俺達の島。先輩移住者に風呂で体を洗われて、柔らかい雑木マットで熟睡したら、翌朝には笑顔になっていた。
バジャイも熟睡してたので交尾出来ませんでした。そっちのフラグだったか!
そんな翌朝。朝食の量が多いので厨房が大忙しだ。焼肉は時間が掛かるので煮肉にし、ソーサーを焼くのも時間が掛かるので水団にした。デカい鍋作っといて良かったぜ…。
食後の時間を見計らったように、風呂に入りに主婦が来た。丁度良いので出来上がったトイレを《収納》して折り返しバスに乗り、皆で街に向かう。座り切れないので立ち乗りも沢山。初めて味わう通勤ラッシュが異世界か…。
「狭い」「せまい!」
二人仲良く、椅子に座って何を言う。バジャイはネーヴェに慣れたようだ。沢山の知らない人の近くより、知ってる強者の近くの方が居心地が良いと感じたのだろう。知らない人が沢山来たので服もちゃんと着てる。えらい。バジャイの文化レベルは着々と上がっているようだ。
リームの予定は収穫と土の更新、そして作付け。俺とネーヴェは風呂の施行と、出来れば岩壁の家を居住可能にしたい。バジャイは傍に居るだけで良いぞ?バスから降りた面々はそれぞれの居場所に向かって行った。
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