589 / 1,519
背中からタックル
しおりを挟む湯水を出す属性魔石をまた作らねばならないが、手持ちの魔石に良さげな物が無いので一先ず配水からやってくか。
「湯が通る道を作るのか?」
「石の管に穴を開けてお湯を出すつもりだ」
柱状節理が残ってたので、此奴を三十ドン太さに伸ばし、中を空洞にする。洗い場の段差の少し上に付けて、浴槽の辺りで直角に、天井まで曲げる。壁沿いを這わせて間仕切りまで到達したら、貫通させて反対側の浴室も同様に配管してやる。中央洗い場にも配管を通したら、洗い場と浴槽に流れる穴を開けた。
排水は浴室の隅に二ドンΦ程の小さな穴を沢山開けて排水が流れるようにしたが、空気穴を開けないと詰まるので、角に一箇所管を伸ばして空気穴にした。
排水口は地下で1箇所に纏まるようにして、リームに空洞を開けてもらった。
「配管の確認はまた後でやろう。大きい属性魔石を使いたいからな」
「ドア、つくった」
俺とリームが配管を弄ってる隙に、魔道車の設定を終えたネーヴェがドアを作ってくれたようだ。
「カーテンだな」
「ダメ?」
「脱衣場の入口はそれで良いけど、浴室の入口は湿気があるだろうから引き戸にした方が良いかも知れないな」
「なるほど。やってみる」
ネーヴェが手を翳すと間を置かず引き戸になった。が、取っ手が無い。雑木で作った取っ手をドアの両側に付け、内側の壁は手を挟まないよう削り込んでドアが出来た。反対側もお願いします。
脱衣場に棚を作りたいのだが、俺には鍵が作れない。これは住民の正義感に任せざるを得ない。四十ドン四方の凹みを壁一面に作り、ネーヴェにツルツルにしてもらう。床はリームの石タイルだ。俺は雑木でイスと桶と手桶をたっぷり作り、二つの部屋に置いて行く。最後に、脱衣場入口前に目隠しの仕切りを立てて本日の作業は終了とした。
「お湯、ないの?」
「後で魔石を取りに行くよ」
「バジャイも行くぞ!」
「先ずは昼飯にしよう」
ぞろぞろと外へ出ると、正面は兵士の詰所。ぞろぞろ出て来る兵士等とばったり出会すのは偶々飯時だったからだろう。
「お前か。その部屋は何だ?」
「風呂だよ。まだ水も張って無いけどな」
「そんなモン、貴族でもあるまいし誰も使わんだろー」
「知らんのか?女達が今日俺の島で風呂入りに来てんぞ?さては独り者だな?」
「独りモンで悪かったな!」
「女の住民も増えたし、チャンスはあるかもな。まあ、頑張れや」
「お前…神かよ…」
「身綺麗にしない男はモテんがな」
「カケルはモテモテ」
「バジャイも、カケルさま持つ!」
背中からタックルされた。押す力のままに広場へと向かい、合同昼飯に参加した。風呂に行っていた女達も大体帰って来てるみたい。風呂に入った女はたっぷりのお湯で体を擦りまくったのだろう、肌艶が良くなってるな。
「カケル様!素晴らしいお湯だったよ」
「貴族様にでもなった気分だったねぇ~」
「それは良かったな。貴族でもあのレベルの風呂には入れないぞ?」
「そうなんだねぇ。まだ入ってない子も居るからさ、午後からもよろしくしておくれよ?」
「こっちにも風呂作ってるから、それまでは使ってくれ。その代わり、夜までには終わらせてくれよな」
食事の配膳等を手伝いながら、女達に話し掛けられて午後の予約をされた。座って待ってる独り者共よ、配膳されたからとサッサと食い出しお代わり要求とか…そう言うトコだぞ?
飯を食って食休み。UFOに乗ってキネイアッセンへと向かう。帰宅希望の十人に、バジャイとネーヴェが同行する。大きい魔石は一先ず四つあれば良いし、街にはリームを残しているので不安は無いだろう、多分きっと。
《感知》にて、奴隷や拉致被害者、恐怖や悲しみの感情を探して行くと、結構あるものなんだと気付く。探すのに慣れたのかも知れない。要塞の見張りに見付からないように海岸線の街や集落、隠し港を廻り、強制労働者と被害者を増やして行った。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
支援者ギルドを辞めた支援術士の男、少年の頃に戻って人生をやり直す
名無し
ファンタジー
30年もの間、クロムは支援者ギルドでひたすら真面目に働いてきた。
彼は天才的な支援術士だったが、気弱で大のお人よしだったため、ギルドで立場を作ることができずに居場所がなくなり、世渡りが上手かった狡賢いライバルのギルドマスターから辞職を促されることになる。
ギルドを介さなければ治療行為は一切できない決まりのため、唯一の生き甲斐である支援の仕事ができなくなり、途方に暮れるクロム。
人生をやり直したいが、もう中年になった今の自分には難しい。いっそ自殺しようと湖に入水した彼の元に、謎の魚が現れて願いを叶えてくれることに。
少年だった頃に戻ったクロムは、今度こそ自分の殻を破って救えなかった人々の命を救い、支援者としての居場所を確保して人生を素晴らしいものにしようと決意するのだった。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる