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ザラっと言うよりサラって感じ

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 主婦達を降ろして引き返す。速度と加減速のタイミングを設定せにゃならんからな。と言ってもやるのはネーヴェなのだが。

「凄く文化レベルが上がった気がするよ」

「ぶん、か?なにそれ?」

こっそり乗り込んでたバジャイが俺の膝に乗ろうとして諦めてた。隣にネーヴェが座ってるからな。通路に座り、見つからないように俺の脚を掴んでる。

「文化とは、便利になる事だと俺は思ってる」

「長い道程を歩かなくて済むようになった。それがブンカと言うのか」

「発展の一つにしか過ぎないけどね。それに、人の子が自力で作り出さなきゃ本当の意味で文化レベルが上がったとは言えないんだよなー」

「私がつくった」

ドヤ~ってしてるネーヴェを撫で回し、対岸に到着。もう一台も同じ設定にすると言ってネーヴェは二号機に向かって行った。俺は風呂作りの続きをしよう。男達だって風呂くらい入りたいだろうからな。リームとバジャイも付いて来た。

 昨日ネーヴェが作った空間は五×三ハーン程の横長の入口に、五ハーンの通路。部屋は二十×高さ×五十奥行ハーンの広さとなっている。暗いので天井に光の棒を付けて照らし、作業を始めよう。

「リームは壁をキレイな石にしたり出来る?」

「残念だが妹のようには出来んよ。精々硬い石を作る程度だ」

「充分だな。煉瓦で型を作るから硬い石を貼り付けてってくれ。肌を切らないように丸みを付けてね」

「相分かった」

 先ずは浴槽。雑木の板材で四角を作り、部屋の奥にくっ付ける。奥行は十ハーンとした。

「浴槽は一つなのか?男も女も入り乱れて入る風呂なのだな」

「まさか。後で壁を立てて間仕切りする予定だよ」

板材の内側を六十ドン掘り、真ん中に幅五ハーンのスロープと手摺を付ける。

「足を滑らせないようにしたい。少しざらつく感じにしてくれるか?」

「やってみよう」

リームの魔法で生まれた石片が吸い付くように浴槽内に張り付いて行く。キレイにみっちり敷き詰められた石材タイルは、ザラっと言うよりサラって感じ。

「良い感じだ。次は浴室と脱衣場を分ける壁を作ろう」

「壁なら我にも出来る。遠慮無く使え」

「お湯まだ?」

「まだだよ」

壁は入口から八ハーンの場所に立ててもらった。出入口は入口と同じく真ん中に五×三ハーン。

「石も貼るか?」

「その前に間仕切りの壁も頼むよ。入口までお願いね」

「うむ」

パパッと出来た壁に、洗い場を作ってく。五十高さ×四十ドンの段差を間仕切り以外の壁に貼り付ける。浴室の真ん中にも低い壁と段差を付けて、二列の洗い場を設置した。反対側の浴室にも同じく施行し、リームにタイル張りしてもらった。

「中々渋い感じだな」

「暗いだけだろう」

「クリスタルでも付けるか?」

「我には作れんのだ、すまぬ」

「問題無い。これがある」

「それは…、ゲルか」

約五百匹分のミズゲルを固めた玉っころが二つ。コイツを《散開》させて大きくし、クリスタルっぽい形に形成したのをリームの火で焼き固めてもらう。

「火で無く熱波の方が良かろうな。火だと黒くなってしまいそうだ」

「俺達も黒くなりそうだ」

「任せておけ」

二つの塊が加熱される。不思議と熱さを感じないのはリームが何やらしてるからだろう。元々水分を抜いて固めたので差程湯気も出ずに固まった。しかし透明感のあるクリスタルモドキでは光が拡散しないので、粉状の煉瓦を吹き付けて白く濁らせる。光の棒で裏から照らすと上手い具合に輝いてくれたので、タイル張りした天井に貼り付けて、光の魔石に魔力を込める。

「おおー」

「ひかったぞ!」

「これがゲルだと誰が思うのか。くくく…」

浴室を照らすクリスタルモドキの明かりは眩し過ぎる事も無く、部屋の隅まで照らしてくれた。後で大きい魔石と交換する予定だが、行き当たりばったりにしては上出来過ぎるぜ。反対側も施行して、次は面倒い配水と排水だ。
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