586 / 1,519
ペッティング
しおりを挟む「バジャイー、ただいまー、バジャーイ」
島に戻り、夕飯に連れて行くためバジャイを呼ぶが、不貞寝して巣から出て来ない。
「ご飯食べてないじゃないか。寂しかったのか?」
「…ぁぃ」
「お腹空いたろ?ご飯食べに行くぞ」
「…ぁぃ」
抱き着いて撫で回し、揉み回す。機嫌が直るまでペッティングしてうにゃ~んって言わせた。
「飯に行くぞ?」
「あい~」
抱き着いて絡み付くバジャイと共に対岸の広場に飛ぶと、皆既にもりもり食って盛り上がっていた。俺達も端に陣取り飯にありつく。
「ねえねえ、カケル様。聞いたんだけどさ」
奥さんの一人がお供えを持って話し掛けて来た。有難く頂こう。
「あっちの島に、お風呂があるって聞いたんだけどさ、ホントかい?」
「あるぞ」
「ホントなんだね!?良かったらさぁ、私達にも使わせておくれよぉ」
「構わないけど、今こっちにも作ってるんだ。帰宅希望者を帰し終えたら手を付ける予定だよ」
「そうかい?出来るだけ早く終わると良いねぇ…」
「まあ、今日明日には無理だから、明日島に来られるようにするよ。それで良いなら皆にも伝えておいてくれ」
「明日だね?任しときな」
嬉しそうに女の輪の中に消えて行く奥さん。こっちの風呂も早く作ってやらんとな。
飯を食い、島に帰って湯に浸かり、湯上りの女達に冷やし豆乳を振る舞いながら作業を頼む。魔道具の組み立てだ。
大きいお椀に五百個程の核を入れ、《集結》しながら掻き混ぜて、更に魔力を込めて行く。出来上がった光る砂粒を四つのお椀に分けて、リームには光と水と火を、ネーヴェには浄化を付与してもらった。
「これが属性魔石だ」
「この砂粒みたいのがかい?」
「そうだ。でだ」
二十ドン程の長さの雑木の棒を二百本出す。先っちょに、ナイフで浅く切込みを入れておく。
「この棒の先っちょに、砂粒一つを押し付ける」
指先に乗せた一粒を切込みの隙間に押し込んで一つ完成。
「これで光の棒が完成だ。魔力を通すと光ったり消えたりする。魔法が使えなくても使えるぞ。皆、試しに光の棒を作って使ってみろ。刃物を使うから怪我に注意なー」
皆が皆、同じように器用では無い。刃物が苦手な者は得意な者にお願いし、お願いされた側は代わりに組み立てを頼む。子供達はお味噌なので組立側だ。自然と分業が出来て、皆光らせて感動してる。
「水の属性魔石も同じ作り方だ。此処で使うと水浸しになるから、試すなら外か風呂場でやってくれ。次に火だ」
鉄板を取り出し、三点に火の魔石を埋め込み、固める。
「これは俺やリーム達にしか出来ないから、埋め込みだけしてくれ。使う粒は三粒、出来るだけ同じ位置に埋め込んでくれ。あと重いから注意だ」
最後に作るのは、楕円形をした石造りの箱で、大きさは五十×四十×六十。蓋は縦に長い穴の空いた外蓋と、その穴を塞ぐ内蓋を作った。
内蓋を開けて座ってみる。俺のアイツが大きくはみ出しているので俺には使えないが、他の人なら大丈夫だろう。魔石は内蓋にしようと思ったが、容器の底、真ん中に仕込む事にした。浄化の属性魔石を埋め込んで完成だ。
「トイレだ。重いぞ?」
「重いと捨てに行くのが大変だぁ」
試しに練り練りした雑木と水を入れて魔力を流すと、青い光を放って一瞬の内に中身が消えた。
「なあ、ネーヴェよ。浄化の光って人が浴びても大丈夫か?」
「だいじょぶ、問題ない」
試すしかないか…。再び容器に中身を入れ、下半身を曝け出す。
「カケルさまー、ちんちんはみ出してるよ?おしっこできないね!」
「これは俺用じゃないからねー。岩壁に住む人用だから小さめなんだ」
子供は無邪気に見詰めてる。大人はねっとり見詰めてる。
尻に練った雑木を塗り付けて、魔力を小指の爪の垢程度に流す…。大丈夫?俺溶けてない?中身も、塗り付けた練り物も消えていた。成功のようだ…。
「バジャイ、してみるか?」
「やだー」
やだってさ。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
竜焔の騎士
時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証……
これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語―――
田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。
会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ?
マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。
「フールに、選ばれたのでしょう?」
突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!?
この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー!
天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる