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隠し港

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 困ったら、拐った奴等に聞けば良い。分かってはいたが子供に罪人の面等見せたくなかったのだ。しかし闇雲に探すと関係無い人助けまでする羽目になるので、答えを知ってる奴に吐かせるのが一番と判断した。強制労働者が増えるのは地味に有難いけどな。

「お前、女達を帰しに行ったんじゃ無かったのか?」

街の広場に着陸すると、何時もの兵士達が何時ものように集まって来る。

「強制労働者に拐った場所を聞くのが一番早いと気付いてしまった」

「何を今更…」

「それと、新しい罪人を連れて来たぞ」

「どっちが人攫いか分からんな」

空に浮いてる罪人共を降ろして並ばせる。

「さしづめ人攫い攫いだな。罪状を吐かせて働かせてやってくれ」

新規強制労働者を補充し、現在働いている者共の場所に連れて行くのに便乗すると、一旦外に出た。兵士の指差す先に、壁の上から外を監視する仕事をしているのが見える。壁の上を歩いて西から東へ歩くとなると、徒歩で丸一日は掛かるだろう。奴等は二人一組で水と弁当と葉っぱを持って壁の上を歩き、移動の途中で弁当を食い、糞を垂れて戻って来るのだと言う。敵が来るまでは歩いて野糞するだけの簡単なお仕事だ。
高い壁の向こうは深い壕、唯一の侵入路は一つしかない門だけなので、必要な仕事なのかと思ったが、見張りが居るだけで敵の警戒度が上がるので必要なのだと言われた。成程。
帰って来て休んでたり、出発待ちの者は詰所に居ると言うので引き返して其方に向かう。
新規強制労働者を兵士達に任せ、休憩中の男共を連れて来させる。子供に見せて良い顔じゃ無いな。あまり洗って無いのか汚い感じがする。

《洗浄》!

「ネーヴェ、反対側の面には何も作ってないよな?」

「ん。お風呂作るの?」

「男女用に二つ作りたいな」

「やってみる。おしえて」

雑木の板にボールペンで簡単な図面を引く。細かい加工は俺がやるので、先ずは幅のある入口を中心に、大きい空間一つ作ってもらう。

 ネーヴェが壁に穴を開けだしたので、こっちはこっちの仕事をしよう。並んでる強制労働者共に、二人の子供の拐った先を聞き出すと、新事実が発覚する。
此奴等、唯の運び屋だった。今連れて来た奴等から隠し港で奴隷を受け取り、奴隷商の居る隠し港、此奴等の場合キネイアッセンに届けるのだと。そして帰りは普通の荷物を積んで、小銭を稼ぎながら獲物を探し、近場の奴隷狩りに情報を流すと言う。
確かに港しか見えない集落はあったな。あれが隠し港か…。

「カケル、できたー」

「ありがとう、ネーヴェ。続きは皆を帰してからだな」

強制労働者を帰し、俺達も昼飯食って行こう。居残りの子供と地元の子供に混ざって飯を食う子供等にホッコリ。交通の便が良ければ遊びに来られるのかな?まだ無理だろうな。

「主様、帰っていたのか」

リームが女達を連れて来た。バジャイはお留守番らしい。呼んだけど来なかったから焼肉置いて、置いて来たそうな。

「子供達の事を思い過ぎて、気が急いていたようだ。下調べは大事だな」

「失敗から学べるのは人の子の良い所だ」

 飯を食い、再び空に上がる。港から街が見えない集落は驚く事に全てが隠し港だった。《感知》を使わないと気付かない場所とかもあったし、港街の直ぐ近くにある、なんて事もあった。集落の人には造船所だと偽っていたそうで、子供達二人を積み込んだ場所は此処だった。住民に子供達の住んでる川を知っている者が居たので場所を聞いて向かう。やはり警戒されたが親からは感謝されたよ。
大きな川の支流で船は来られないが、支流の付け根から荷車に乗せて行商が来るのだそうだ。人攫いは日常的に起こるので疑っては居たが、物が来ないと生きられないので我慢していたと言う。
行商はもう来ないので、荷車を二台作ってくれてやった。罪人共はネーヴェがとっ捕まえて窪地にしちゃったからな。
大人三人も家に帰す事が出来た。旦那や老いた家族が居るって言いながら、集落に着くまでエッチした。勿論女達の自主性からの行動である。

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