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飯!
しおりを挟む「奴隷は俺が全て預かる。お前等は海賊共の働き口を見繕っとけ。ちゃんと三食休憩八オコン労働で使えよ?」
「なんだそりゃ?天国か」
どうやらだいぶ労働条件が良いようだ。だがこき使うにしても限度があると俺は思うのだ。
「使い潰すにしても長持ちさせたいだろ?」
「取り敢えずマシュエルさんに報告だ」
そう言って皆走って行ってしまった。全員行く事ねーだろーに。船が着くまで椅子とテーブルを出してのんびりしていよう。お茶セットを出してお茶でも飲むかね…。
お茶を啜り、甘納豆を摘んでいると子供等がやって来た。
「船だ!」
俺の事嫌ってる癖にネーヴェに混じって甘納豆食いだす子供等と待つ事暫し。大人達もソワソワしながら集まって来た。
「皆に言っておきたい。あれは海賊船だ。抵抗しないようにしてあるが、知ってる奴が居たら教えてくれ」
海賊と聞いて皆一歩引いた。そんな中、押し出されるように前に出たのはマシュエルだった。
「海賊を迎え入れるのか?」
「無力化してあるからな。貴重な労働力にしてもらうつもりだ。兵士共に聞いただろ?男達に着岸の準備をさせてやってくれ」
「既に言ってあるわい。しかし…」
「どうした?まさか見た事ある船が居るとか?」
「察しが良いの。近くに寄らんとよう見えんが、奥の船は確か…」
「マシュエルさん、ありゃあ薪売り船ですよ」
隣にいた奥さん連中が助け舟を出す。何度か薪を売りに来た船なのだそうだ。奴隷を売った後で薪を積んで、此処で小銭を稼いでいたのだろうか?売り買いしながら獲物を品定めしていたのかも知れないな。
一隻、また一隻と着岸し、虚ろな目をした間抜けと奴隷が降りて来た。
「全員、船の前で一列に並べ」
「「「お、はい」」」「「「はい」」」
子供はお留守番にして、大人達だけで検める。隣町の誰々や手配中の誰それがちらほら。奴隷になった女達は知り合いは居ないそうだ。
「男共、皆の命令を聞いて此処で働け」
「「「お、はい」」」
「女達は預かる。体を洗ってやりたいからな」
「兵長!まだ一人居ました!女のようです!」
「あ、忘れてた。怖くないから降りて来~い」
「がるるるるる!」
人見知りするタイプのようだ。獣だから仕方無いな。男共を兵士に預け、俺は獣の所に向かう。
「お前!コイツ等誰だ!あっち行け!」
「怖くないぞ。少なくとも船に乗ってた間抜け共よりはな。俺ん家に行くから降りといで」
「縄張りか!?」
「似たようなもんだ。体洗って飯にするぞ」
船を降りてきた獣に主婦達が驚く。毛むくじゃらだが全裸だし、立って歩く獣だからなぁ。
荷車に獣を乗せて、空に浮かせて島に飛ぶ。後部から身を乗り出してパニクっていたが気にしない。微動だにしない奴隷達はそのまま浮かせて飛ばしてやった。
獣は荷車が島に着陸すると直ぐに飛び出し地面に抱き着いた。奴隷も着陸したので《洗脳》を解いてやると、茫然自失と言った表情だった。
「お前達は俺が奴隷船から助けた。奴隷から解放されたい者は名乗り出ろ。だが今直ぐには無理だ。先ずは風呂に案内するから体を洗って飯を食え。まだ作ってないけどな」
「飯!飯!」
「待て。お前も体を洗え。汚い奴、虫が付いてる奴には飯はやらん」
「体を洗ったら私達を手篭めにする気だね!?」
「したけりゃしてやる。風呂と洗濯場に案内するから付いて来い」
龍用の大きな扉を開けて中に入って行くと、女達はオドオドしながら仕方無くと言った感じで付いて来た。獣は何故か俺の鎧を掴んで付いて来る。寂しがり屋なのか?
「此処は脱衣所だが洗濯場は下だからそのままで降りろー」
階段を降り切って浴室を見た女達の目が輝いた。
「洗濯して、体を洗ってから入れよ?タオルはこれを使え」
洗濯場の場所を教えると、女達は我先に服や体を洗いに行った。残ったのは俺と獣一匹…。
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