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氷砂糖

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 蓋を開けて、中を確認。ペロッ…これは砂糖味。プルンプルンになった実を取り出して、水を入れた鍋に入れておこう。冷やすと美味しい冷やし飴になるみたい。
さて、鍋の方は再び箱の蓋を閉めて待つ。《威圧》の篦で掻き混ぜてるが、焦げてないか心配になるな。

「カケル、どう?」

開けろってか?今度は一リット程経ったのだが、さっきのが三オコンだとして、二十オコンは経っているのか?蓋を開けるとねっとり煮詰まって、砂糖の粒子がキラキラ出来ていた。

「おお…お砂糖」

「一旦砂糖を取り出そう」

空中に砂糖を《集結》させて、混ぜながら魔力で冷やせば砂糖の完成だ。

「あじみっあじみっ!」

まだただの砂糖だよ…。氷砂糖も砂糖だが。少し取り出し《集結》で固め、ビー玉程の核を作り、ネーヴェの口に入れてやる。残りは鍋に戻して火を落とし、蓋をして静かに待つ。

「あま~、うま~」

ジャリジャリ言いながらアヘ顔を晒すネーヴェは心ここに在らずなので、何リット待てば良いか分からない。さっきの予想が正しければ、二週間なら十五リット程で出来る筈だ…と思う。

 種や黒糖の様子を見たり、トイレ行ったりして時間を潰し、今か今かと待ち構えてるネーヴェの待つ厨房へ戻って来る。開けれ圧が強い。見たけりゃ自分で開けたら良いじゃん…。

「「おお!」」「ほう」

蓋を開け、鍋の中を覗き込む。しっかりみっちり氷のように結晶化してるじゃないか。取り出して眺めてみよう。

「きれー」「確かに氷やクリスタルのように見えるな」

「俺も久ーしぶりに作ったけど、中々感動するなコレは」

デカいお皿を作って、氷砂糖を安置する。放っとくと隙間から流れ出る砂糖液で床がベトベトになってしまうのだ。

「あ~ん、あ~~~~ん」

軽く砕いて小さいのを放り込んでやると、やはりアヘ顔を晒してた。

「巣に飾りたいと思える程の物だな」

「蟻に食べられちゃうぞ?」

「アリ?は分からんが食われてしまうのは遺憾だな。結界を張って守るか」

リームは特に魔石好きだから、透明感のある結晶が刺さっているんだろうな。親指程の大きさの結晶に魔力を込めて砕いてる。流石にそれは無理だろう。商品化出来たらMPポーションに取って代わるぞ?


 氷砂糖が終わったので煮種を煮上げ、黒糖も冷やし固めて細かくし、街まで飛んで、広場で配る。途中からおばちゃん達が配るのを代わってくれたのでお任せし、皆で昨日までの作業工程を確認した。
一階は通路側から入口を作り兵士の詰所にでもしてもらおう。二階からは居住区として、十ハーン四方の部屋を奥に二つ並べて仮設の空間とした。後からパーテーション等で間仕切りすれば良いだろう。一つの階で八部屋。六階分で四十八室出来上がった。六階より上は、壁に出るスロープとは別に新しくスロープを作らねばならん。
目分量で勾配十%を切り抜いて行くが、部屋は作らないでおいた。そこまで利用者居なそうだしな。天井が切れて空が見える。開放感たっぷりだが屋根を作らないと雨水が流れ込んで来るだろう。スロープ出口を一段上げて、屋根と壁をくっ付けたら屋上までのスロープは完成だ。

「反対側は我等に任せよ」

「強度には気を付けてな?」

「カチカチにしとく」

二人が西の岩壁に飛んで行き、俺は屋上の落下防止ブロックを並べる。確認の為に各部屋を見て回るが、光に火に水。更に浄化の属性魔石が大量に必要だ。この辺りのミズゲルを滅ぼしかねんな。
色々考えながらリームとネーヴェの作業する東側の岩壁に向かうと、此方は階段が造られていた。

「カケルー」

「もう直ぐ終わる。待って居るが良い」

説明が足りなかったかな。屋上に立つ二人のドヤ顔を凍り付かせる。

「この階段は作り直しだ。降りて来い」

「え…」「な!?」

「説明が足りなかったな。すまん」

口を尖らせてタコ面のネーヴェとオロオロするリームにバリアフリーの概念を教えてやった。
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