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温かいテント

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 クランクを曲がり切ると広い空間が現れる。居間であり、カラクレナイの寝室である。今夜は此処で皆で寝よう。雑木マットをこれでもかと敷いて、散策を続ける。ここからは人用の階段なのでカラクレナイはお留守番。つづら折りの階段を上がると大部屋へのドアがあり、廊下を進んだ先の階段を上がると小部屋が五つあった。ここは龍の巣だな。これ以上龍の妾を作るなと言う事だろう。

「カケルさんの寵愛を受けられる龍はこれ以上要りませんっ」

「私は孕ませてくれればとやかく言わん」

「俺が死ぬ前までには何とかしたいな」

「方法が無い訳では無い」

「ああ、ミーネは気付いてたか…。けどそれは「皆まで言うな」」

「龍にとっては直ぐ、ですよ」

「…考えとく」

「さあさ、カララちゃんの元に戻りましょう」

「夕飯も作らねばな」

ちょっとしんみりして居間に戻ると、カラクレナイが切なくなってた。干し肉を口に放り込み、頭に抱き着き撫でてやる。よしよし。
エントランスまで降りて、厨房で料理を行う。ミーネはまた魚を焼くようだ。リュネはスープを持って来た。転移いーなー。俺は人型用の肉を焼く。手持ちの肉の殆どを使い切ってしまい、カラクレナイには足りな過ぎるのだ。

「カケルー…」

俺達は魚だな。カラクレナイの笑顔の為なら肉等不要である。魚美味い。けどやはり醤油が欲しい。

 食堂から居間に移動し皆でごろ寝。野生を捨てた寝相のカラクレナイから寝返り分離れてゴロンとすると、両隣にリュネとミーネが収まった。カラクレナイが居るから、と言うか参加出来無いからエッチはしないがイチャイチャちゅぱちゅぱ。おぱ~いおぱ~いおっぱ~~い。

「ん~…カケル~…」

寝返りで顎が飛んで来た。両隣の二人はくるくる躱し、俺だけ顎の下に収められた。ずっと前に、テイカが作ったトカゲの皮のテントを思い出す。焼肉と焼き魚の匂いのする、温かいテントの中で身動き取れず、そのまま寝た。


 目覚めて真っ暗。どうやら我が天使は寝返りせず寝ていたようだな。顎を浮かせて転がるようにテントから退出すると、やっぱり真っ暗。窓が欲しいな。光の棒は何処行った?《感知》で家を見渡すと、リュネとミーネは厨房に居るようだ。多分そこで使ってるのかな。暗がりの中をゆっくり飛んで厨房へ向かった。

「おはよう二人共」

「うふ、ご無事で何よりです」「起きたか」

「窓が無いと朝から夜か分からんな」

「私達は特性で気になりませんでしたが少し不便かも知れませんね」

「テイカ殿に家具と一緒に窓も作ってもらおうか」

「そうですね、クリスタル板を沢山用意しなきゃ」

ガラス板じゃないのか。そう言えばガラスとクリスタルの違いって何だろう?と言うかクリスタルって何の結晶なんだ?気にしてもしょうがないのでスープを混ぜるお手伝いに勤しんだ。

「カケーカーケルー」

「なーあーにー?」

「いた~」

カラクレナイが起きて来て、全身涎塗れにされた。俺は前菜か?リュネが転移で持って来たカラクレナイ用煮物野菜と大量の焼肉が、焼けた魚を仕切りにして俺の作った大皿に山盛りになる。俺と大人龍はそこからちょっとだけ頂いて、スープと共にいただきます。野菜美味いな~…。

 朝食の後は島を見に外へ出る。対岸の街にはまだ動きは無いな。こっちもまだ整備しきれてないのでゆっくり話し合っててくれ。
空に上がり島の全景を確認するが、土が全く無い。なので緑も一切無い。

「なあリュネ。魔法で出した土って、作物とか育つのかな?」

「育つ土を出すんですよ」

「成程な。難しいぜ」

よく言うNPKは肥料として必要な成分であり、それだけでは良い土にはならないのだ。更に鉄や硫黄や炭素、亜鉛や銅等色んな成分が必要なのである。で、一から作るのを諦めた結果、土魔法で出した土にジョンの街を更地にした時の雑木を粉にして水と混ぜた。あの時の雑木は周囲五キロハーン分もあるからな、半々で混ぜても余裕で足りる。足りないのは土の方。リュネにも土を出してもらってコネコネして島にぶちまけて行った。
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