548 / 1,519
学園ではそこそこやれてる
しおりを挟む宿へと向かう道すがら、ニットが疑問を投げ掛ける。
「そういやカケル様ぁ、魔力を増やすって、どーやんの?」
「セカンドハウスに帰ったら教えてやるつもりだし、此処でやるにはニットには負担が大きい。それでも今知りたいか?」
「知りたい!」
即答か。
「明日ハークと遊べなくなっちゃうぞ?」
「後でいい!」
即答か。
「俺は聞くだけ聞きたいぜ」「おれもー」
ダートとガットは知りたいそうだ。ガットの角はハークを痛め付けてる時に使い方が頭に浮かんだが、魔力を使うそうで、その時は使わなかったそうだ。使わなくて正解だな。
魔力を消費し角を突き刺した相手の体液を奪う。奪った体液は自身の体力と魔力に還元される。
…と、そんな効果だそうだ。呼び水分の魔力さえあればドレインし放題。頭突きの間合いは中々シビアだが、大型種との戦闘には特化してそうだな。そうなると、ガットも魔力を使えるようにしなきゃならんのか。ダートは一人になって可哀想だし、魔力臓器の覚醒と魔力増加は三人共にやる事にした。
翌日も朝食を食ってハーク邸へ向かうと、四人仲良く地下闘技場へ降りて行く。今日は手加減して相手するみたいだな。相対しながら、此処の動きはこう、なんて事やってる。近接の間合いでの長剣の扱い方とか、俺も勉強になりそうだ。
「カケルー。僕も狩りとか討伐とかしたーい!」
「坊っちゃま」
すかさずブルランさんの注意が入る。ブー垂れたハークを諌めたのはあの三人だった。
「ハークはすぐへばるから体力つけろし」「剣筋ふらふら、筋力あげろし」「体かたい。じゅーなんしろし」
「そこまで言われるとは…。学園ではそこそこやれてるのに…」
諌めると言うより凹ませてるな。
「そのうちカケル様に頼んで島で鍛えてやんよ」「ミーネ様に頼んでやんよ」「死ぬかもだけど」
「お三方、出来得れば死なない程度にお留め下さい」
ブルランさんの頬を伝う一筋の冷や汗を、俺は見逃さなかった。
「ハークは魔法系だからな。ミーネよりリュネかリームの方が良いだろう。まあ今はまだまだ会わせるレベルじゃ無いけどな」
「カケル、その、ミーネとかリュネって人達は強いの?」
「強いぞー。俺なんて一瞬で灰になるか廃人になる」
「さまをつけろー」「しょんべんチビらされっぞ」「だっぷんすっぞー」
「だ、脱糞はヤだな…。けど会ってみたいなー」
「ブルランさんが外に出しても恥ずかしくないと認めたら招待してやるよ」
「爺やっ!」
「ふふっ、まだまだお恥ずかしい限りで」
「んもーっ!三人に勝てるくらい強くなってやる!」
頬っぺた膨らますハークきゅん可愛い。
昼飯をご馳走になったらギルドに寄ってヒズラーに帰る。玄関前でくっ付いて離れなかったハークには課題を出しておいた。しっかりこなしたなら何時かは島に招待してやろう。
「ギルドに寄るからバルタリンドに直行するぞ」
「「「は~い」」」
仮眠して、気付くとバルタリンド上空。殆ど寝た気がしない。《阻害》を掛けて、三人を連れてUFOから飛び降りる。自由落下させてないのでそれなりにゆっくりだ。勝手知ったるいつもの街でも視点が違うと新鮮で、少年隊の三人はキョロキョロしながらあれがあれでと騒いでる。静かにしないとバレるんだがなぁ。
森の中に着地して、《阻害》を解いたら素知らぬ顔で街に入る。どうやら気付かれずに済んだようだ。
「あら、カケル様にダーニーガー。カケル様と一緒にダンジョンに潜ったと聞きましたが、戻られたのですね」
仕事モードのカロが居た。
「ドラゴン殺ってきたー」「素材取れた!」「またなんかつくるー」
ドラゴンを殺った。なんてこんなガキンチョ共には土台無理な話…。と思っているに違いない。午後で暇してる受付嬢が温かい目をしてるよ。
「あ、魔石売りたい」「毛布買えって言われてたんだ」「俺も工具買うー」
「魔石でしたら受付でも大丈夫ですよ。アリエッタ、受けてあげて」
アリエッタの驚く顔はちょっと面白かった。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
CV〇〇〇〇とか最強じゃん~憧れの声優〇〇〇〇の声を手に入れた男の勘違い成り上がり~(〇〇〇〇にはお好きな方の名前を入れてお楽しみください)
星上みかん
ファンタジー
親の借金を返すために睡眠時間を削ってバイトをしていた高校生のハルは、無理がたたって過労死してしまう。
異世界に転生して喋ってみると、なんとあの大人気声優〇〇〇〇(お好きな声をご想像ください)の声になっているではないか。
これは無双確定だな……ってあれ? なんか弱いような……
……まぁCV〇〇〇〇だし大丈夫だろう!
*CV〇〇〇〇の部分にはお好きな方の名前を入れてお楽しみください。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】
一樹
ファンタジー
貧乏農民出身、現某農業高校に通うスレ主は、休憩がてら息抜きにひょんなことから、名門校の受験をすることになった顛末をスレ立てをして語り始めた。
わりと強いはずの主人公がズタボロになります。
四肢欠損描写とか出てくるので、苦手な方はご注意を。
小説家になろうでも投稿しております。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる